鉄道/引退

銀河・なは・あかつき、惜別のラストラン!(2ページ目)

2008年3月15日のJRダイヤ改正で、東京と大阪を結ぶ寝台急行「銀河」、関西と九州を結ぶ寝台特急「なは」「あかつき」の3列車が姿を消します。もはや風前の灯となったブルートレイン。その現状に想いを馳せます。

執筆者:高橋 良算

【廃止】寝台急行「銀河」

寝台特急銀河
東京発大阪行という列車も、この「銀河」を最後に姿を消すことになる

東京~大阪間を結ぶ寝台急行「銀河」は、オール寝台の定期急行列車としては日本で唯一の存在。急行列車自体がほとんど姿を消してしまった現在では、それだけで貴重な列車でした。

そのダイヤは、下りが東京発23:00・大阪着7:18、上りが大阪発22:22・東京着6:42。上り下りとも、最終の新幹線より後に発車、始発の新幹線より先に目的地に着き時間を有効に使えるため、ビジネス需要が多いのが特徴です。東京~大阪間の運賃・料金は、新幹線「のぞみ」に比べて2千円ほど高いものの、寝ている間に移動できるというメリットは大きいわけです。

B寝台
「銀河」のB寝台
1949(昭和24)年に走り始めた東京~大阪間の急行列車が、現在の「銀河」のルーツ。東海道本線を約60年間にわたって走り続けてきた伝統の名列車といえます。

しかし最近では他の寝台列車同様、乗客の減少に歯止めがかかりませんでした。ダイヤ改正がある度に「今度こそ廃止になるのでは」と言われ続けてきたことが、ついに現実のものとなってしまったのです。

「銀河」のいない東海道本線なんて……3月号の時刻表には、がらんとした部屋に一人ぽつんと取り残されたような、そんな虚無感が漂っています。

【廃止】寝台特急「なは」「あかつき」

寝台特急なは
ブルーの車体を輝かせて京都駅に停車中の「なは」
関西と九州とを結ぶ寝台特急「なは」「あかつき」。熊本と長崎という異なる目的地のこの2列車は、京都~鳥栖間で併結され、一つの列車として走ります。そのため「なはつき」などとややありがたくない名前で呼ばれることも。

列車名の「なは」というのは沖縄県の那覇のこと。もちろん沖縄へ鉄道だけで行くことはできませんが、当時アメリカの占領下にあった沖縄の返還を祈念して公募により名付けられました。

現在では熊本止まりとなってしまった「なは」のかつての終着は西鹿児島(現在の鹿児島中央)駅。そこから海を越えた沖縄までをも結ぶ列車、という想いが込められたネーミングなのですね。

レガートシート
夜行高速バスを思わせる「あかつき」のレガートシート
一方の「あかつき」。なんとも夜行列車にふさわしい列車名です。この列車の特徴は、「レガートシート」と呼ばれる座席車が1両連結されていること。リクライニング角度が深く、足も伸ばせる座席で、運賃+指定席特急料金で乗れます。夜行バスに対抗する目的で導入されたのでしょう。

この「なは」「あかつき」の場合には、もちろん乗客の減少というのもありますが、九州新幹線の工事が進捗してきたことも廃止の理由の一つと考えられます。

新幹線ができれば、時間がかかる寝台列車などなくてもよいだろう、ということなのでしょう。



では、寝台列車はなぜ廃止されるのか銀河・なは・あかつきの廃止にとどまらず、この流れは寝台列車そのものの今後を大きく左右することになるかもしれません。 >>
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