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DMV試乗完全ガイド!線路と道路を走るバス

JR北海道が開発を進めるDMV。線路と道路の両方を走る車両として、様々な面で期待も大きいようですが、実際のところどうなのでしょうか。現在、北海道・釧網本線にて試験運行中のDMVに、乗ってきました。

執筆者:高橋 良算


「DMV」は「デュアル・モード・ビークル(Dual Mode Vehicle)」の略。線路と道路の双方を走行できる機構を備えた車両という意味です。

線路や道路といった既存のインフラがそのまま利用でき、列車とバスの乗り換えもなくせる、などといったメリットがあるDMVは、地域交通の新たな手段として注目されています。

DMV車両
マイクロバスをベースに開発されたDMV

ご覧の通り、外観は鉄道車両というよりバスですが、それもそのはず。DMVは、日産自動車製の「シビリアン」という既存のマイクロバスを改造したものなのです。この、線路にマイクロバスを走らせるという発想は、DMV開発の中心人物であるJR北海道の柿沼博彦氏(現・副社長)が、幼稚園の送迎バスを見て思いついたのだといいます。

鉄道とバスを一緒にした「両用車」という発想そのものは約75年前からあり、イギリス、ドイツなどで開発が行なわれ、一部は短期間ながら営業運転されたものもあります。日本でも、1962年に当時の国鉄が「アンヒビアン(両生類)バス」と名付けた両用車の開発を行ないましたが、こちらは実用化されることはありませんでした。

DMVはどうやって線路上を走るの?

DMV車両
鉄車輪を出した線路走行モード
マイクロバスのゴムタイヤだけで線路上を走るのはもちろん不可能。DMVには車両の前部と後部に、専用の鉄車輪がついています。線路走行時には、前後の鉄車輪を線路上に下ろし、マイクロバスの前タイヤを浮かせます。そのため、DMVが線路上を走行するところを横から見ると、車体の前方が上に持ち上がった不思議な格好になっているのです。

車両を走らせるための駆動輪は、マイクロバスの後タイヤです。このため、改造のベース車となるバスは、FR(フロントエンジンリアドライブ)車であることが条件でした。タイヤを二つ並べた「ダブルタイヤ」ですが、線路走行の際には、内側のタイヤだけが線路に接しています。

DMV車両
駆動輪になるタイヤと後部鉄車輪
車両の最後部に付いている鉄車輪は、走行状況に応じて駆動輪と荷重を分け合うという機能を持っています。なお、DMVのタイヤはスタッドレスタイヤです。

DMVは元々が自動車なので、線路上でも自動車のアクセルとブレーキを足で操作して走行させます。線路走行時に操作が不要なハンドルは、固定され動かせないようになっています。

動力はマイクロバスのエンジンですから、非電化路線であっても問題なく走ることができます(釧網本線も非電化路線)。


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