朝の生麦魚河岸通り、あるおばちゃんの証言
国道駅裏にある生麦魚河岸通り |
ちょうど朝の活気がある時間帯だ。市場などに共通の独特な雰囲気で、カメラを提げた部外者の私は浮いている。ぼんやりしていると何だか怒られそうな気がするから、遠巻きに様子をうかがいながらさっさと歩く。
その中の一軒に、お惣菜の看板を出している店があって足を止めた。すると中から「夕方の4時頃から売るから、その時にまた来てみてねー!」とおばちゃんの威勢の良い声がかかった。それをきっかけにちょっと立ち話をする。
通りの裏手には鶴見川が流れる |
その頃は都心からもたくさん買い付けに来ていたが、スーパーや都心の市場に押されて、近頃はわざわざこんな遠くまで来なくなったのだという。このおばちゃん自身も、魚をかごに入れ、電車を乗り継いで新宿の初台まで納品に行っていたことがあるそうだ。
地域格差というのは例えば都市部と農村部といった比較で論じられることが多いが、都市の中にだって格差はあると思う。しかもここは、都市を大きく発展させた象徴ともいえる京浜工業地帯を背景にした場所だ。鶴見線は、そんな此岸と彼岸とを彷徨っているかのようにも見える。
ひっそりとした国道駅ホーム |
ホームには誰もいない。国道を走る車の音に混じって電車の音も聞こえる。きっと近くを走る京浜急行だろう。その音をつれてきた風が、カーブしたホームをするりと抜けていった。
いよいよ扇町駅で鶴見線全線を完乗。しかしまだ旅は終わらない…… >>