第四列車:大船 12:08 → 14:27 小金井1670E・2階建グリーン車・サロE231-1016
今回の乗り継ぎでは最長の、2時間19分も乗る列車である。大船を出て15分ほどで着く横浜からは、さすがにたくさん乗ってくるだろうと身構えたのだが、意外にそうでもなく、席はやっと半分が埋まった程度だった。しかしちょうど昼時なためか、皆何か食料を持って乗ってくる。それらが一斉に開かれ、車内に匂いが充満する。
新川崎駅近くには貨物列車用電気機関車の基地がある |
新川崎駅の先では、マンションの建設ラッシュが目につく。数年後、新川崎駅と西大井駅の間にできる新駅を当て込んだものだろう。南武線と東急東横線が交差する武蔵小杉駅のすぐ東側で、相互に利用客も増えそうだが、遠くから通勤している人にとっては、もうこれ以上乗客が増えるのはありがたくないだろう。
と、間もなく左から東海道新幹線の線路が現れて並走する。2階席だとちょうど真横に新幹線が並ぶ眺めだが、1階席からはフェンスしか見えないかもしれない。東京行の新幹線は品川が近いためこのあたりから速度を落としていて、普通列車が新幹線を追い抜くこともたまにある。
都心部を通り抜けて再び郊外へ
新宿駅に到達、まだまだ先は長い |
荒川を渡り埼玉県に入ったあたりで、前席の女性が手の爪にマニキュアを塗り始めた。空調の関係でシンナーのような臭いがまともにこちらに流れてくるからたまらない。そうかといって注意するほどのことでもないから我慢していたが、終わるまで10分以上かかった。
その間も列車は快走を続けて大宮へ到着。大船と同様、主要な路線が分岐する交通の要となる駅だ。ここでも1分ほど停車するが、乗客はほとんど降りず、逆に少し増えた。
都会を脱し、風景もだいぶ鄙びてきた |
蓮田では特急列車に抜かれるため4分停車。東北本線はかつて特急列車が数多く走り、特急待ちの停車などよくあることだったが、新幹線にシフトした今では珍しい。
退屈な区間に襲う睡魔、そして小金井
それにしても、大宮から小山あたりまでは東北本線の中でもっとも退屈な区間である。都会でも田舎でもなく、沿線は住宅ばかりで、それに畑がポツポツと混じる平凡な郊外の雰囲気。しかも関東平野のまっただ中を行くため特筆すべき車窓風景はない。駅だってどれも同じような橋上駅舎ばかりでかわり映えしない。小金井で最後のグリーン車を待つ |
小金井は、車両基地や乗務員の拠点がある列車運行上の重要な駅ではあるが、旅行者にとっては単なる東北本線の途中駅にすぎない。だからこの駅で降りる人は、小金井止まりの列車に乗ってきて仕方なく降ろされたか、住んでいるかのどちらかである。
前者の人たちが後続の列車に乗り継いでさっさと行ってしまうと、ホームに一人取り残される。交代の運転士がこちらをチラと見ながら詰所のほうへ歩いていく。すぐ脇に東北新幹線の高架があり、時折轟音とともに新幹線が通過する以外は、寂しいほど静かである。
手持ち無沙汰にホームの名所案内板を見上げると「下野国分寺跡」とある。そう、もうここは下野国、栃木県なのであった。
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