神岡鉄道の車両
廃止間近となった神岡鉄道
神岡鉄道は、富山県の猪谷(いのたに)駅と岐阜県の奥飛騨温泉口駅間を結ぶ第三セクター鉄道。

1966(昭和41)年に国鉄神岡線として開業した、比較的新しい路線ですが、残念ながら2006年11月30日限りでの廃止が決定しています。

トンネルが連続する「奥飛騨の地下鉄」

沿線は、1,300メートルを超える山々に囲まれた急峻な地形。一般に、昭和後期に建設された鉄道路線は、山も谷もトンネルと橋梁でどんどん突き進むのが特徴ですが、この神岡鉄道も、距離は全線で19.9kmと非常に短いにもかかわらず、その約64%がトンネルで、「奥飛騨の地下鉄」と言われるほどだとか。

高原川の谷
急峻な谷を見下ろすように走る
トンネルとトンネルの間でチラリと姿を見せる谷の景色は素晴らしく、もう少し外が見える区間が多ければ、トロッコ列車を走らせるなどして観光客を集めることもできたかもしれないと残念な気もします。もちろん観光鉄道として敷設されたわけではありませんから仕方のないことですけれど……。

猪谷から3つ目の茂住(もずみ)駅近くには、世界的にも有名な「スーパーカミオカンデ」があります。これは東京大学宇宙線研究所の神岡宇宙素粒子研究施設にある巨大な実験装置。世界中から研究者が集まる権威ある施設ですが、残念ながら一般の見学は原則として年一回の見学会時に限られます。

奥飛騨温泉口
神岡鉄道の終点、奥飛騨温泉口駅
終点の奥飛騨温泉口駅は、第三セクター開業時にそれまでの神岡駅から改称され、文字通り奥飛騨温泉郷への玄関口、と言いたいところなのですが、一番近い栃尾温泉まででもバスで40分以上かかります。しかもそのバスの本数は非常に少ない上、高山方面からは便利な直通バスも走っていますからますます劣勢です。


神岡鉄道の命運を握った神岡鉱山

神岡鉱山への専用線
神岡鉱山は専用線の鉄橋の奥
そのような状況の中、国鉄末期には特定地方交通線(いわゆる赤字ローカル線)として真っ先に廃止対象になったものの、第三セクターを設立して神岡鉄道として今まで存続してきたのには理由がありました。

それは、沿線にある三井金属鉱業神岡事業所(現在の神岡鉱業)の貨物輸送を担っていたから。三井金属鉱業は神岡鉄道の51%の株式を保有する筆頭株主でもあります。貨物輸送は神岡鉄道の売上の7~8割を占めていました。

ところが、収益面で神岡鉄道存続のカギを握っていたこの貨物輸送が2005(平成17)年に廃止されると、資金難や乗客減少を理由に、あっけなく路線自体の廃止に至ってしまったのでした。


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