鉄道/SL

SLばんえつ物語・鉄道の街に復活した貴婦人(3ページ目)

新潟~会津若松間に運転される人気定番SL列車「SLばんえつ物語」。牽引する「C57 180」は、鉄道の街の人々の熱い想いで、約30年の眠りから覚めた蒸気機関車でした。力強く優しいその姿に会いに行ってみませんか。

執筆者:高橋 良算

知る人ぞ知る幻の駅弁・日出谷駅の「とりめし」

日出谷駅付近の集落
山間の集落日出谷の家並はどこか懐かしい

山間にひらけた静かな集落にある日出谷(ひでや)駅では、幻の駅弁「とりめし」(700円/朝陽館)の販売があります。これはかつてこの駅で販売されていた駅弁を復活させたもの。ただし、停車時間が3分しかない上、限定個数の販売ですのであっという間に売切れ必至。絶対に食べてみたい!という方は、日出谷駅到着前に2号車のドアに移動して待機しておきましょう。

日出谷駅からしばらく走り、豊実駅の先でゆるい峠を越えるといよいよ福島県。かなり長い間付き合ってきた「阿賀野川」は「阿賀川」と名前を変えますが、広い川幅いっぱいに水をたたえ、悠々と流れる様子には変わりありません。

野沢駅にて
旅も終盤、C57180も気合いを入れ直す(野沢駅)
野沢駅が近付いた頃、車内では「SLピンバッジ抽選会」が始まりました。抽選会というのは要するにジャンケン大会。子どもたちは大喜びです。

10分停車の山都(やまと)駅では、だめ押しの名物弁当「そば弁当」の販売があります。この駅のある喜多方市山都町(旧耶麻郡山都町)はそばが名産。首都圏などからそのそばを食べるためだけに訪れるファンもいるほどだとか。そんな山都産のそばが楽しめる「そば弁当」は、SL列車到着の直前に茹でられるそうで、もちろん飛ぶように売れていました。ただし、こちらも個数限定です。

裏磐梯の山々に迎えられて、終着駅へ

裏磐梯の山々
裏磐梯の山々が会津路の旅を印象づける
山都駅を出ると左窓の飯豊連峰が遠ざかり、列車は久しぶりに速度を上げながら会津盆地へと一気に下って行きます。

突然家が多くなり、喜多方(きたかた)駅着。言わずと知れた「ラーメンと蔵の街」ですが、このSL列車と喜多方ラーメンを組合わせたパッケージツアーでもあるのか、団体客がどっと降り、それと同じくらいの人数がまたどっと乗車。この乗降に時間がかかり予定より3分ほど発車が遅れた列車を、真っ白な制服の駅長さんが手を振って見送っていました。

会津若松駅にて
会津若松駅に到着、役目を終えてホッと一息
あと残すところ30分。いよいよ「SLばんえつ物語」号の旅も大詰めですが、ここからは左窓に裏磐梯~磐梯山のパノラマが広がり、その雄大な眺めが心に残ります。

最後の停車駅となる塩川では、旅の終わりを惜しむかのように、汽笛を長めに鳴らして発車、そして新潟駅から3時間55分、長いような短いような汽車旅は、会津若松駅で完結したのでした。

次のページでは「C57 180」の復活「SLばんえつ物語」号乗車のポイントをご紹介>>
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