鉄道/はじめての鉄道旅行

ロングかクロスか?旅の大問題、座席の話(2ページ目)

通勤や所用で乗るくらいなら座席のことなどあまり気にしませんが、旅に出たらそうはいきません。旅を楽しくするのもつまらなくするのも座席次第、と言えるほど。さあまずは座席種類の基本をマスターしましょう。

執筆者:高橋 良算

クロスシートは、線路方向と直角に配置されている座席です。乗車時間の長い特急列車などには必ず採用されています。2人並んで座るものを「ロマンスシート」などと言うこともありますね。このクロスシートには、さらに次のように分類することができます。

回転クロスシート

回転クロスシート
特急料金などを払って乗車する列車のほとんどが回転クロスシート
座席ごとくるっと1回転させることができるクロスシートです。常に列車の進行方向に向いて座ることができます。通常、新幹線や特急列車などのシートにはこのタイプが採用され、そのほとんどは背もたれを倒すことができるリクライニング機構も備えています。

リクライニング機構には、自在な位置でリクライニングを止めることができる「フリーストップ式」と、体重をかけることで位置を固定する「簡易式」があります。近年新造される車両の場合はほとんどがフリーストップ式となっていて、最近では背もたれと座面を別々に調整できるものも増えてきました。また、足を載せるフットレストが装備されている場合もあります。

追加料金を払って乗る特急列車ですから、座り心地が良くて当たり前。各社とも様々な工夫をこらしていますので、色々な列車に乗って座り比べるのもまた楽しいですね。

転換クロスシート

転換クロスシート
転換クロスシートはシートの把っ手部分を持って反対側に倒すことができる
背もたれの部分を前後に移動させることができるクロスシート。一部の席以外は、常に進行方向に向いて座ることができます。転換クロスシートの場合は、通常リクライニング機構はありません。

首都圏では京浜急行電鉄の一部の車両などを除いてほとんど見かけることはありませんが、全国的に見ると札幌周辺や名古屋、大阪、福岡周辺などの急行・快速列車を中心に、この転換クロスシート車両が多数導入されています。これらの地域ではJRと私鉄、あるいは高速バスが並行して走っていることが多く、少しでも乗り心地の良い車両を導入して乗客を自社に誘導しよう、という考え方も影響しています。

余談ですが、関東生まれの私はかつてこの転換クロスシートの存在をよく知らず、初めて乗った時には進行方向とは反対に向いたままおとなしく座っていたのでした。ところが後から乗ってきた人たちがみんな当たり前のようにバタンバタンと勢い良く背もたれを動かしているのを見て、なるほどそうやるのかと、その文化の違いに感心したものです。

固定クロスシート

固定クロスシート
鈍行列車の旅を象徴する固定クロスシート
その名の通り、常に座席の向きが固定されているクロスシートです。特に、2人ずつが向かい合わせになって4人分が一組になっているものは「ボックスシート」とも呼ばれます。ひと昔前までは、都市部以外の普通列車などはほとんどの車両がこのタイプの座席でした。「汽車旅」などという言葉からはこのボックスシートを連想する方も多いことでしょう。

空いている時には事実上4人分のスペースを1人でのびのびと使うことができるのですが、4人が同時に座るとなるとかなり窮屈なのが欠点といえば欠点。そして4人のうち2人は、常に列車の進行方向とは反対向きに座ることになります。また、背もたれは直立していてもちろん動きませんから、長時間姿勢を崩して座っていると腰が痛くなることも……。でも狭い分、地元の人との会話が生まれやすいのもこの座席ですね。

ちなみにこの固定クロスシートには、車両を真横から見た中心から左右対称に全ての座席が車両の中央を向いている「集団見合型」と、同じく全ての座席が車両の車端部(連結器側)を向いている「集団離反型」というのもありますが、見かけるのはごくまれです。

次のページでは残る一つ、セミクロスシートをご説明します。
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