国鉄VS東武、仁義なき乗客争奪戦!
今回デビューする直通特急列車のうち1往復は、東武日光線・東武日光駅に発着しますが、JRにだってちゃんと日光線も日光駅もあるんです。その開業は明治23年までさかのぼりますが、このように競合する路線を持つことから、日光やその周辺の観光地への乗客獲得をめぐっては、かつての国鉄と東武鉄道の間で熾烈な競争が行われていました。東武日光駅は昭和54年に改築された山小屋風駅舎 |
しかし国鉄は戦後の昭和31年、戦後の好景気を背景にした旅行ブームに乗り、上野~日光間を2時間で結ぶ準急〔日光〕を走らせ、巻き返しを図ります。さらに昭和34年には念願だった日光線の電化も完成。特急並みの「デラックス」な車内設備を売りにした157系電車を準急〔日光〕(のちに急行化)に投入しました。
すると東武も負けじと時速100kmで走る豪華な新型車両「デラックスロマンスカー(DRC)」をデビューさせ、これを機に運賃も安い東武の優勢に転じます。東武は、昭和49年には浅草~東武日光間を101分で結ぶまでになっていました。
やがて鉄道の全盛期が過ぎると、競争相手は観光バスやマイカーへと移っていきます。東北自動車道と直結する有料道路・日光宇都宮道路が開通して「自動車>鉄道」という構図ができ上がった翌昭和57年、東北新幹線が開業。これに伴い国鉄の急行〔日光〕はとうとう廃止に追い込まれ、何だか身内にまで裏切られた格好で、国鉄はこの乗客争奪戦から離脱したのでした。
それから四半世紀。このような経緯がある両者が手を組んで列車を走らせることになったというのは、鉄道史の上でもまさにエポックメーキングな出来事といえるでしょう。
日光駅を見ずして結構と言うなかれ
気品あふれるJR日光駅舎はまもなく築100年を迎える |
様式的にはネオ・ルネサンスといわれ、気品と威厳その両方を併せ持つ、左右対称の建築で、旧日光田母沢御用邸を訪れる皇族をはじめ外国の要人たちの利用も多かったため、駅には貴賓室も設けられていました。
駅舎の2階には、かつて1等客の特別待合室として使われた、「ホワイトルーム」と呼ばれるシャンデリア付きの広間があり、歴史を感じさせます。今でも地元の方々による絵画展等に使用されており、開催時は自由に見学することが可能です。
東武日光駅とJR日光駅は徒歩2分ほどしか離れていませんので、直通特急で東武日光駅まで行ったら、ぜひJRの日光駅にも寄り道してみてくださいね。
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[関連サイト]
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JRと東武を結ぶ連絡線についてとても詳しく解説されています。