鉄道/特急

新宿発のコラボ特急で日光・鬼怒川へ行こう(2ページ目)

2006年3月18日、新宿から日光・鬼怒川方面へアクセスする新しい特急列車がデビューします。JR東日本と東武鉄道の共同運行という画期的なこの特急列車の概要と誕生までの経緯をご紹介しましょう。

執筆者:高橋 良算

国鉄VS東武、仁義なき乗客争奪戦!

今回デビューする直通特急列車のうち1往復は、東武日光線・東武日光駅に発着しますが、JRにだってちゃんと日光線も日光駅もあるんです。その開業は明治23年までさかのぼりますが、このように競合する路線を持つことから、日光やその周辺の観光地への乗客獲得をめぐっては、かつての国鉄と東武鉄道の間で熾烈な競争が行われていました。

東武日光駅舎
東武日光駅は昭和54年に改築された山小屋風駅舎
昭和4年、東武日光駅が日光駅のまさに目と鼻の先に開業して、浅草から直通列車の運転を開始。これをきっかけに「国鉄VS東武」の乗客争奪戦が始まるのですが、スピードの出る「電車」を走らせる東武に対し、非電化の国鉄は最初から苦戦を強いられます。

しかし国鉄は戦後の昭和31年、戦後の好景気を背景にした旅行ブームに乗り、上野~日光間を2時間で結ぶ準急〔日光〕を走らせ、巻き返しを図ります。さらに昭和34年には念願だった日光線の電化も完成。特急並みの「デラックス」な車内設備を売りにした157系電車を準急〔日光〕(のちに急行化)に投入しました。

すると東武も負けじと時速100kmで走る豪華な新型車両「デラックスロマンスカー(DRC)」をデビューさせ、これを機に運賃も安い東武の優勢に転じます。東武は、昭和49年には浅草~東武日光間を101分で結ぶまでになっていました。

やがて鉄道の全盛期が過ぎると、競争相手は観光バスやマイカーへと移っていきます。東北自動車道と直結する有料道路・日光宇都宮道路が開通して「自動車>鉄道」という構図ができ上がった翌昭和57年、東北新幹線が開業。これに伴い国鉄の急行〔日光〕はとうとう廃止に追い込まれ、何だか身内にまで裏切られた格好で、国鉄はこの乗客争奪戦から離脱したのでした。

それから四半世紀。このような経緯がある両者が手を組んで列車を走らせることになったというのは、鉄道史の上でもまさにエポックメーキングな出来事といえるでしょう。

日光駅を見ずして結構と言うなかれ

JR日光駅舎
気品あふれるJR日光駅舎はまもなく築100年を迎える
ところでJR日光線・日光駅には、大正元年に建てられ、まもなく築100年になるという大変貴重な駅舎があります。全国の駅舎の中でも横綱級の名建築。ですから、JRの特急列車がその駅舎を素通りしてしまうのは、ちょっと寂しい気がしなくもありません。

様式的にはネオ・ルネサンスといわれ、気品と威厳その両方を併せ持つ、左右対称の建築で、旧日光田母沢御用邸を訪れる皇族をはじめ外国の要人たちの利用も多かったため、駅には貴賓室も設けられていました。

駅舎の2階には、かつて1等客の特別待合室として使われた、「ホワイトルーム」と呼ばれるシャンデリア付きの広間があり、歴史を感じさせます。今でも地元の方々による絵画展等に使用されており、開催時は自由に見学することが可能です。

東武日光駅とJR日光駅は徒歩2分ほどしか離れていませんので、直通特急で東武日光駅まで行ったら、ぜひJRの日光駅にも寄り道してみてくださいね。



[All Aboutガイドによる日光・鬼怒川直通特急関連記事]

セレブが愛した日光の癒しスポット癒しの旅

日光・憧れの老舗ホテルと湖畔リゾート癒しの旅

まだまだ広がる。東京発・電車の旅東京



[関連サイト]

JR東日本と東武鉄道の特急列車直通運転の開始について(JR東日本)

JR・東武 日光・鬼怒川フリーきっぷなどの案内(JR東日本)

3月18日伊勢崎線・日光線でダイヤ改正を実施(東武鉄道)

直通運転開始記念 東武グループキャンペーン(東武鉄道)

栗橋駅構内の異社間直直セクション
 JRと東武を結ぶ連絡線についてとても詳しく解説されています。
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