鉄道/寝台・夜行列車

寝台急行『銀河』の夜(3ページ目)

東京~大阪間に寝台列車が運転されているのをご存知ですか?その名は寝台急行『銀河』。新幹線や飛行機ならあっという間に到着してしまう距離ですが、寝台列車で一晩かけて行くというスローな旅をしてみませんか。

執筆者:高橋 良算

ある日の寝台急行『銀河』(小田原~大阪)

■ 0:14 小田原駅
もう0時を過ぎているというのに、小田原駅のホームにはまだたくさんの人がいます。ベンチにはスーツ姿の男性が酔いつぶれて寝ていましたが、こんな都会の風景もこのあたりで見納めになるでしょう。

■ 0:35 熱海駅
熱海駅停車
熱海駅で2分停車
2分ほど停まります。深夜にもかからわず、ここから1名乗車。しかしもうホームの人影はまばらで、20分前の小田原駅での喧噪がウソのように静かです。駅員が定刻に発車の合図を送るべく、じっと腕時計を見つめています。夜行列車も、こうしてたくさんの人々のおかげで正確に運転されているんだと思うと、ちょっと感動です。

■ 1:08 富士駅
かなり眠くなってきたところで、富士に停車。しかし時刻表を見るとここは通過することになっている駅。実はこういう乗客の乗り降りをともなわない停車のことを「運転停車」といい、時間調整や乗務員の交代が行われたりします。『銀河』はこうした運転停車を何度か繰り返しながら、朝のちょうど良い時間に目的地に着くようにしているのです。

するとまもなく、貨物列車が全速力で『銀河』の横を通過して行きました。やっぱり東海道本線は日本の大動脈なんですね。結局富士駅には10分停まっていました。

■ 1:48 静岡駅
静岡駅に停車中
深夜の静岡駅で小休止
こんな時間なのに、隣のホームにたくさんの人がいます。いったい何だろうと思ったら、どうやら夜行快速列車の「ムーンライトながら」を待っているようです。

ここは7分間停車するのでホームに降りてみました。ちょうど車掌もホームに出ていたので今日の乗車人員を尋ねると、135名とのこと。普段に比べてどうですかと聞くと、関西方面のイントネーションで「そりゃ全然多いですわ。普段の倍は乗ってます。普段は60~70人ですから」という答え。車内を観察してみると寝台の上段は空いているところが多いという印象で、とても満席にはほど遠く、それでも普段の倍ということに少々寂しさを覚えました。

さてもうこんな時間です。このあたりでそろそろ眠ることにします。

■ 6:00 滋賀県内走行中
朝の眺め
終着駅はもうすぐ
「おはようございます。列車は定刻に運転しております」という放送で起床。静岡駅を発車した後、浜松駅などでも運転停車をしたはずですが全く気付かず眠っていました。しかしまだもう少しの間、寝台の中でうとうと。朝の寝台でまどろんでいる時間というのは、寝台列車に乗ったものだけが味わえるゼイタクな時間です。

■ 6:43 京都駅
京都駅でだいぶ降りて行きました。さあ、そろそろ起きて身支度をしなければなりません。

このあたりは複々線になっていて、『銀河』の横を快速電車が並走します。一瞬まったく同じ速度で並んだりするのですが、通勤で毎日のことだからか、ベッドの上でぼーっとしている寝台の客などには興味がないようでした。

■ 7:13 新大阪駅
新幹線との接続駅新大阪でさらに降り、車内はだいぶ寂しくなりました。終着の大阪駅まではあと5分です。

■ 7:18 大阪駅
大阪駅に到着
大阪駅に到着した『銀河』
大阪駅4番線へ定刻に到着、寝台急行『銀河』8時間18分の旅はこれで終わりです。ホームへ降り、ここまで私を運んでくれた『銀河』を眺めて別れを惜しんでいると、数分後には回送列車となって発車していきました。



どうでしたか?寝台急行『銀河』の旅を少しイメージしていただけましたでしょうか。

お盆期間などの混雑時が過ぎれば、当日でも比較的空席がありますので、夏休みのちょっとした思い出作りに利用してみては。たった2,000円ほどプラスして新幹線を寝台列車に変えるだけで、いつもの何倍もの旅情と新しい発見がきっとあなたを待っていますよ!

※最新の空席状況は出発前に必ずこちらでご確認ください。
列車空席案内(JRサイバーステーション)
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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