鉄道/SL

大井川鐵道・五感で味わう本物の汽車旅(2ページ目)

南アルプスに発し駿河湾に注ぐ大井川。この川に寄り添って走る大井川鐵道では、昔懐かしいSL列車が今も現役。そんなローカル線の「汽車旅」と、茶どころ川根名物「抹茶たいやき」の2つを味わう旅に出かけました。

執筆者:高橋 良算

SL急行で本物の「汽車旅」を満喫

C10-8
C10-8号機は今年で75歳!
ホームで待つ人々の視線を一身に浴びて、SL急行「かわね路」号がやってきました。

この日乗った列車は、1930(昭和5)年製造の蒸気機関車「C10-8」を先頭にした計8両編成。連結されているのはいわゆる「旧型客車」と呼ばれる車両で、全て昭和10年代~20年代に製造された年代物です。国鉄末期の昭和50年代頃までは見ることができた旧型客車も、合理化や近代化で次々と姿を消してしまいましたが、SLにはやっぱり旧型客車が似合います。

扇風機が天井に残る車内
扇風機が天井に残る車内
そんな昔ながらの車両ですから、冷房なんてものはもちろんありません。ここは思いっきり窓を開けてみましょう。最近は普通列車でも窓が開かない車両が増え、窓を開けるという行為そのものが何だか新鮮に感じられます。ただし、トンネルに入る時には必ず閉める、これが汽車に乗る時の決まりです。さもないと煤や煙が窓から入って大変なことになります。「もうすぐトンネルに入ります」と車掌さんが放送で教えてくれますが、トンネル進入直前には機関士さんが汽笛を鳴らしますので、それを聞いているとわかります。

車両の扉は手動。降りる時は、取っ手を回して自分で開けます。今では考えられませんが、昔は走行中に開けっ放しになっているのも珍しいことではありませんでした。窓も扉も開けて走るのが、古き良き時代の汽車旅だったわけですね。

汽車は、大井川のゆったりとした河原を眺めながら、時速30~40kmくらいでのんびり走ります。途中、線路脇の国道を走るクルマにどんどん追い越されますが、もうそんなことは問題ではありません。反対に、そんなに急いでどこへ行く、と気持ちまでゆったりしてくるから不思議です。

次のページでは家山駅で途中下車して気になる「抹茶たいやき」を食べます!
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