大井川鐵道は、金谷駅~千頭駅の「本線」と、千頭駅~井川駅の「あぷとライン」からなる65.0kmの路線で、このうちSL列車が走るのは、千頭駅までの本線。大井川に寄り添って走る沿線は、銘茶「川根茶」の産地で、SL車内では缶入りお茶のサービスもあります。
始発の金谷駅はJR東海道本線と接続する駅で、新幹線で行く場合には、掛川駅で乗り換えるのが便利です(ただし掛川駅に停車するのは〔こだま〕のみ)。
大井川鐵道の3つのこだわり
大井川鐵道はその社名にあえて「鐵」の字を使っていることからも、鉄道への愛着を感じさせてくれる鉄道会社ですが、中でも大きな3つのこだわりがあります。こちらは元南海電鉄の車両 |
■こだわり1:車両
1つ目は何といっても本線を走る車両。自社のオリジナルデザインの車両というものはなく、各地の鉄道から譲り受けた車両が、ほぼ往時の姿そのままに走っているのです。現在は、近鉄・京阪・南海の懐かしい車両たちが現役で、さながら列車の動態博物館といった感じ。元の地での活躍を知る方には、とても懐かしいことでしょう。近鉄で特急列車として活躍した16000系という車両が、「志摩スペイン村へ」のステッカーを貼ったまま、静岡の山あいを普通列車としてのんびり走っています。
■こだわり2:アプト式
千頭から先の井川線にある日本で唯一の「アプト式」区間。アプト式は、車両と線路に取り付けた双方の歯車を噛み合わせて走行させるという、急勾配を登り降りするための特殊な方式で、かつては旧信越本線横川~軽井沢間の碓氷峠で使われていた方式です。井川線にある「90パーミル」(1,000m進むと90m登る)という日本一の急勾配区間がこのアプト式になっています。
■こだわり3:SL列車
そして残る一つが、本線を走るSL列車です。最近は各地でSL復活がブームですが、そういった良くある休日だけのイベント列車ではなく、ここでは毎日ごく普通に走っています。SLは全席指定席の急行列車として運転されるので、乗車券の他に「SL急行券」(800円)を事前に買い求めて座席の指定を受ける必要があります。夏休みなどの繁忙期には満席になることも考えられますので、出かける前に確認&予約しておくことをおすすめします。
まずは新金谷駅へ行ってみよう
新金谷駅舎 |
そして駅前広場にある「PLAZA LOCO」で、まずはお弁当を手に入れましょう(SL車内で買えるものもあります)。この広い屋内にはその他にも、実物のSLやレイアウトが展示されている「ロコ・ミュージアム」が併設されており、発車時刻までを楽しく過ごすことができます。
さあ準備ができたら、SL列車の旅に出発です