パリ・オルセー美術館と東京国立博物館の共同企画による展示会です。ヨーロッパのジャポニスム(日本趣味)に日本の北斎や広重などの浮世絵が多大な影響を与えましたが、今回は、テーブルウェア(ファイアンス陶器)を中心に紹介していることがガイドにとても興味があるところです。1866年から1930年代までフランスで人気を博した「セルヴィス・ルソー(ルソー・セット)銅版転写による絵付け」と「セルヴィス・ランベール(ランベール・セット)手描きによる絵付け」を、元絵に使われた浮世絵の日本の版画や版本と対比してわかりやすく展示してあります。手描きで現存する数少ない「セルヴィス・ランベール」の作品は、日本初公開で、繊細ですばらしい筆のタッチと美しい色合いは見る人を魅了します。また、会場の一部屋には、華麗なテーブルセッテングが一テーブル展示されており、器の用途について、ひとつずつわかりやすく説明されたボードも置かれています。
今回の記事は、ジャポニスムの影響を受けた当時のフランスの芸術家たちのすばらしいテーブルウェアの数々と、そのモチーフとなった浮世絵の版画や版本を交互にご紹介いたします。フランスのテーブルウェアの絵とオリジナルとなった日本の絵を比較対照しながらご覧下さい。
水切り付き楕円形皿 鯉に朝顔図
オルセー美術館蔵
©photo P. Schmidt, musée d'Orsay
魚料理を丸ごと一匹盛り付けることができる皿です。鯉と朝顔の絵の取り合わせは日本では考えられません。フランスだからできた、ある意味では新鮮な発想と言えるかもしれません。この皿は次のページの、《東海道五十三次》などで有名な歌川広重筆《魚づくし》 鯉をモチーフにしています。