テレビの場合は
紙フィルムを作りながらフレームを実感していたのですが、ここで、テレビでの動画の表示方法についてまとめておきましょう。
動画は、フレームと呼ばれる静止画像を高速に表示して動きを表現していますが、このとき、1秒間に静止画像を何枚表示するかということを「フレームレート」といいます。単位はfps(frames per second)で、たとえば1秒間に15枚の静止画像を切り替えて表示するなら、15fpsと表記します。
では、テレビはどうかというと、一般的には30fpsとして解説されています。これを、もうちょっと詳しく見てみましょう。
●NTSC方式で表示
日本では、テレビの映像信号を表示する方法として、NTSC(National Television Standards Committee)という規格が採用されています。これは、1枚の静止画像を525本の「走査線」と呼ばれる単位に切り分け、前のフレームの奇数の走査線と、次のフーレムの偶数の走査線とを合わせて表示する、「インターレース方式」で映像を表示する方法です。
▲NTSC方式で表示した1つのフレーム。 |
この表示方法によって、テレビでのフレームレートは、「30fps(60フィールド)」とも表現されています。ここで、もうちょっと表示方法について見てみましょう。
【インターレース方式】
テレビ放送では、1画面の映像を一度に送ることが出来ないので、細い横線に分解して送っています。この線が「走査線」です。
分解して送られた走査線は、テレビの画面上でもう一度組み立てることで、元の映像を再現しています。このとき、実は前後の映像の走査線を半分ずつ組み合わせて映像が表示されているのです。たとえば、ある画面の奇数番号の走査線は、次の画面の偶数番号の走査線と合わせて1画面として表示されているのです。
といっても、1秒間に約30画面を高速に切り替えているので、そのようなことを目視することはできません。これによって、滑らかな動きを表現しているのです。簡単にいえば、目の錯覚を利用しているということです。正確には、脳の「仮現運動」という錯覚らしいのですが、詳しくは「大人の科学マガジン Vol.15」で解説されています。
なお、前後のフレームの偶数、奇数の走査線を互い違いに利用して映像を表示する方法を、「インターレース方式」といいます。
◎インターレース方式の表示方法
▲映像を細い横線に分解したものが「走査線」。 |
▲前の映像は、奇数の映像を使って表示。 |
▲現在の映像は、前の映像の偶数の走査線と、次の映像の奇数の走査線を、互い違いに表示。 このように、前後の映像の走査線を互い違いに表示するため、ちらつきが発生しやすい。 |
▲次の映像は、残った偶数の走査線を利用して表示。 |
【プログレッシブ方式】
ちなみに、前後のフレームの走査線を互い違いに表示するのではなく、1フレームの走査線を上から順に表示する方法を「プログレッシブ方式」といいます。この場合、異なる映像の走査線を互い違いに表示しないので、ちらつきの少ない映像を表示できるという特徴があります。
◎プログレッシブ方式の表示方法
▲「プログレッシブ方式」では、1画面の映像の走査線を、上から順に表示する。 |
●正確には29.97fpsですが・・・
ところで、テレビで利用しているNTSCのフレームレートは30fpsだと説明しましたが、正確には29.97fpsとうい、なんとも半端なフレームレートが採用されています。このフレームレートやそれがどう影響するのかなどについては、また改めて解説しましょう。
さて、付録話からNTSCの話しに進んでしまいましたが、「大人の科学マガジン Vol.15」で動画の原点に戻ってみると、これからのビデオ編集に対しての理解度や親密度が変わるかもしれません。
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