下町の水を作る金町浄水場
金町浄水場 |
今回訪ねたのは、東京都葛飾区にある「金町浄水場」
金町浄水場といえば、一昔前には「まずい水」を作る浄水場の代名詞のようなところでした。東京の水がまずいと言われた主な犯人は金町浄水場だったと言えるほど、高度成長期の47年頃には、水がまずい、かび臭いといった苦情が多く寄せられたといいます。
その当時は浄水の技術が未熟だったことももちろんありますが、下水の処理が不十分だったことで、河川に藍藻類が繁殖して原水をひどく汚染し、浄水も悪くなるという悪循環が起きていました。特に金町浄水場は最も河口に位置するため、原水の汚れは相当なものだったといいます。
東京都の浄水「東京水」 |
東京の水を作っている浄水場は11箇所あり、そのうち朝霞に次いで2番目に多い水量を作るのが金町浄水場です。浄水量は1日に25mプールにして約3,000杯分。主に東京23区内の下町の水をまかなっています。
東京の水の多くは、利根川水系のものと多摩川水系のものになりますが、金町浄水場は江戸川から水を取水している利根川水系になります。原水を比較すると、多摩川水系よりも利根川水系の方が水質が良くないので、より美味しい安全な水を作るために高度浄水施設が導入されています。
浄水場のしくみ
沈でん池で濁りを沈殿させる |
オゾンを散気し臭いや汚染物質を分解 |
生物活性炭の吸着作用で汚染物質を除去 |
第3期の高度処理施設を建設中 |
前篇にもあったように、水道水は国が厳しい安全基準を設けていますが、東京の浄水施設では国の基準のさらに上を行く安全基準を設けているのです。ここまで水道水は進化しているのです。
浄水を試飲
できたての水を試飲 |
どう味わっても「塩素」と思える味や臭いは感じません。それもそのはず、高度浄水施設で浄水をしているため多量の塩素は必要なく、法で定められている必要最低限量しか添加されていないのです。この水を飲んで、本当に「水道水はまずい」とか「塩素臭い」と思う人ははたしているでしょうか。
水道水を飲んで味を確かめてみてください
今回はあえて、東京の水はまずいと思われている元凶であろう下町の金町浄水場の様子を紹介しましたが、これだけ浄水技術が発達していることに正直驚きました。土地が違えば浄水場も違い、浄水の方式も異なってくると思います。ですがいずれの場合も、現在は下水処理の技術も向上したたため原水となる河川もきれいになっており、浄水の技術も飛躍的に良くなっています。
昔と同じ感覚で、先入観から「水道水はまずい」「塩素臭い」と思われている方は、一度普通に蛇口から出る水をそのまま飲んでみてください。きっと「こんなに美味しかったっけ?」と水道水を見直すことができるでしょう。
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