年金の受取口座は、一度決めるとなかなか変えないものです。しかし、退職後に生活スタイルが変わったことで、「今のままでいいのかな」と感じる人は少なくありません。
68歳のT美さんもその一人。ある日、近所の友人との何気ない会話がきっかけで、口座選びを見直すことになりました。いったい何が決め手になったのでしょうか。

昔から使っている年金口座、退職後もそのままでいい?
T美さん(68歳)は、会社員時代から使っていた口座で年金の振り込み手続きをしていました。しかし、退職後は自宅近くでのパート勤務に切り替えたこともあり、買い物も美容院も通院も、専ら近所中心の生活になりました。それでも年金の受取口座だけは、昔のままにしていたのです。
「近くのショッピングセンターでもお金は下ろせるし、口座を開いた支店が多少遠くても、まあいいか」そんなふうに考えていました。しかし、いざ何か手続きが必要になれば、少し離れた支店まで足を運ばなければなりません。その点では、不便さを感じていました。
「年金が振り込まれる口座なのだから、もっと普段の生活で使いやすいところに変えてもいいのかもしれない」。そんなことを考え始めた頃、近所の友人との会話の中で年金の受取口座の話題が出たのです。
近所で使えるゆうちょATMは、年金生活の強い味方
近所に住む友人と年金の話をしていたとき、「私は、ゆうちょ銀行を年金の受取口座にしているよ」と教えてもらいました。詳しく聞いてみると、T美さんが特にいいなと思ったのは、ATMの使いやすさでした。
郵便局やゆうちょ銀行の店舗に設置されているATMなら、通常貯金の預け入れ・払い戻しは、原則として土日祝日も含めて全時間帯無料で利用できます(硬貨を伴う取引など、一部の取引には別途手数料がかかります)。
「近所の郵便局で、手数料を気にせずお金を下ろせるなら便利ね」と感じたT美さん。年金を生活費の中心として使うようになると、必要なときに現金を引き出せる場所が近くにあることは、意外と大きなポイントです。
ただし、ファミリーマートなどに設置されているゆうちょATMは、無料になる時間帯が限られています。平日8時45分~18時、土曜9時~14時は無料ですが、それ以外の時間帯は110円の手数料がかかります。利用するATMの種類や時間帯は、事前に確認しておきたいところです。
スマホでも通帳でも、年金と生活費を管理しやすい
ゆうちょ銀行のATMでは、条件を満たす通帳であれば、キャッシュカードを使わず通帳だけで払い戻しができます。「カードを何枚も持ち歩くのが面倒」、通帳の記帳も済ませたいT美さんにとっては安心材料です。
さらに、スマートフォンで残高や入出金明細を確認できる「ゆうちょ通帳アプリ」もあります。入出金明細のほか、月ごとの収支をグラフで確認することもでき、年金がきちんと入金されたか、今月はいくら使ったのかをスマホで手軽に把握できます。デジタルは苦手だけど、慣れておきたいという方にも便利な機能といえます。
年金の受取で最大1500円の特典も
そして、友人が最後に教えてくれたのが、現在実施されている「ゆうちょ年金&通帳アプリキャンペーン」です。
キャンペーン期間中に、ゆうちょ銀行で新たに1万円以上の公的年金を受け取り、さらに年金を受け取り始めた月の翌月末までに「ゆうちょ通帳アプリ」の登録をすると、現金500円がもらえます(そのほかの要件あり。詳しくは公式Webサイトをご覧ください)。さらに、この特典を受け取った人が同じゆうちょ口座で1年間継続して公的年金を受け取ると、追加で1000円が進呈されます。条件を満たせば、合計で最大1500円の特典です。応募は不要で、自動エントリーとなっています。
ただし、対象となるのは国民年金、厚生年金、恩給などの公的年金のみです。企業年金などの私的年金は対象外なので注意しましょう。また、特典の判定は、年金事務所などで受取口座の変更手続きをした日ではなく、実際にゆうちょ口座へ公的年金が入金された日を基準とします。手続きから入金までに2~4カ月ほどかかる場合があるため、キャンペーンを利用する際はスケジュールを確認しておきましょう。
年金口座は「特典」より「普段の使いやすさ」で選ぶ
T美さんは、「特典もうれしいけれど、それ以上に近所で気軽に使えることが自分には合っている」と感じ、次の手続きの機会に、年金の受取口座をゆうちょ銀行へ切り替えることを決めました。
年金の受取口座は、長く使い続けるものです。そのため、キャンペーンの金額だけで決めるのではなく、自宅や勤務先、買い物先など、普段の生活圏で使いやすいかどうかを考えることも大切です。ATMの場所や手数料、スマホでの管理のしやすさ、通帳の使い勝手など、自分の暮らしに合っているかを確認しましょう。







