老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、障害厚生年金を申請するか、老齢年金を繰り下げるか迷っている場合の考え方について解説します。専門家に質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。
Q:64歳10カ月です。障害厚生年金を申請するか、66歳まで年金を繰り下げるか迷っています
「現在64歳10カ月です。膀胱がんで膀胱全摘となり、障害等級3級に認定される予定です。障害厚生年金を申請するか、66歳まで老齢年金を繰り下げるか迷っています。障害厚生年金を受給した場合は年間約200万円、66歳まで繰り下げた場合は年間約217万円になる見込みです。現在も週3日で働き、厚生年金に加入しています。どちらを選ぶべきでしょうか?」(しんさん)

A:初診日証明や診断書を用意できるのであれば、まずは障害厚生年金の申請を検討するとよいでしょう
膀胱がんの手術を経験され、今後の生活や働き方について不安も大きいことと思います。
しんさんのように、64歳10カ月時点で膀胱全摘手術を受け、障害等級3級に該当する見込みがある場合、病院で初診日証明や診断書を作成してもらえるのであれば、まずは障害厚生年金の申請を検討する方法があります。
障害厚生年金は、障害認定日の時点で受給権が発生します。今回のケースでは、65歳になるまで障害厚生年金を受け取り、その後、65歳以降は「障害厚生年金」と「老齢基礎年金・老齢厚生年金」のどちらが有利か比較して選択する形になります。
一方で注意したいのは、障害厚生年金の「受給権」が発生すると、その後は老齢年金の繰り下げ受給ができなくなる点です。そのため、障害厚生年金を請求して実際に受け取るかどうかにかかわらず、障害等級3級に該当し、受給権が発生した時点で、66歳以降の老齢年金の繰り下げは選べなくなります。
繰り下げ受給をすると、繰り下げ月数に応じて1カ月につき0.7%ずつ年金額が増額されます。66歳まで1年間繰り下げると約8.4%増額される計算です。
ただし、繰り下げ受給は、長生きした場合に受取総額が増える仕組みです。今回のケースのように、65歳時点で受け取る場合と比べると、66歳から受け取る場合は、おおむね78歳前後より長生きした場合に総受給額が逆転する目安になります。
また、繰り下げ期間中は老齢年金を受け取らないため、その間の生活費をどう確保するかも重要です。万一、病状の変化などで働けなくなった場合、65歳から66歳までの無年金期間をどのように過ごすかも考えておく必要があります。
現在も週3日で働いているとのことですが、今後の健康状態や治療状況によって、働き方が変わる可能性もあります。年金額だけでなく、生活費や健康面も含めて、主治医や年金事務所とも相談しながら判断していくと安心でしょう。
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