老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、70歳以上で働く場合の厚生年金や健康保険の扱い、働き方の考え方について解説します。専門家に質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。
Q:70歳以上は厚生年金に入れないと聞きました。どのような働き方がベストですか?
「70歳以上は厚生年金に加入できないと聞きました。週20時間以内に働いたほうがいいのでしょうか? もし20時間を超えて働いた場合、年金や社会保険はどうなるのでしょうか?」(kさん)

A:70歳以降は厚生年金に加入できないため年金は増えませんが、20時間以上働いても、すぐに損になるわけではありません
70歳以上になると、原則として厚生年金保険の被保険者にはなれません。通常は、70歳の誕生日の前日に厚生年金の資格を喪失します。
ただし、老齢年金を受け取るために必要な受給資格期間(原則10年)を満たしていない場合には、「高齢任意加入」という制度を利用して、70歳以降も厚生年金へ任意加入できる場合があります。
一方、すでに受給資格を満たしている人が70歳以降も働く場合は、「70歳以上被用者」という扱いになります。これは、厚生年金に加入しているわけではありませんが、会社で働いている状態を届け出る仕組みです。
この場合、厚生年金保険料を支払う必要はありません。そのため、70歳以降に働いても、老齢厚生年金の受給額が増えることはありません。
ただし、働き方によっては「在職老齢年金制度」の対象になります。
在職老齢年金制度では、老齢厚生年金の基本月額と、給与などをもとにした総報酬月額相当額の合計が支給停止基準額を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止されることがあります。
2026年度の支給停止基準額は月額65万円です。
そのため、「年金+給与」の合計が65万円以下であれば、70歳以上で週20時間を超えて働いた場合でも、老齢厚生年金が支給停止される可能性は低いと考えられます。
また、70歳以上で働く場合は、「厚生年金」と「健康保険」の扱いが異なる点にも注意が必要です。
厚生年金は70歳で終了しますが、健康保険は75歳になるまでは加入できます。勤務先が社会保険適用事業所で、週20時間以上など一定の条件を満たす場合は、健康保険へ加入し、健康保険料を支払うことになります。
健康保険に加入すると、保険料は会社と折半になります。一方で、社会保険に加入しない場合は、国民健康保険へ加入することになります。
国民健康保険料は前年所得などによって決まり、自治体によっては負担が大きくなることがあります。そのため、会社の健康保険に加入したほうが、結果的に保険料負担を抑えられるケースもあります。
つまり、「週20時間以内に抑えたほうが得」と一概にはいえません。
年金と給与の合計が65万円以下であれば、健康保険の会社負担を活用しながら働く方法も考えられます。一方で、年金と給与の合計が大きく65万円を超える場合は、在職老齢年金による支給停止を避けるため、労働時間を調整するという考え方もあります。
どの働き方がよいかは、年金額、給与額、健康保険料の負担、働き方の希望などによって変わります。勤務先や年金事務所などで、社会保険の加入条件や年金への影響を確認しながら検討すると安心です。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)






