
離婚をしたい人の中には、経済的な損失を避け「家庭内卒婚」という同居を続ける選択をする人もいるでしょう。けれど、あなたが隙を見せてしまったら、せっかくの卒婚が失敗に終わる可能性も。
岡野あつこさんの著書、『その熟年離婚、妻は絶対「損」します!: 相談実績4万件の夫婦問題カウンセラーが教える!人生後半を笑って過ごすための「卒婚」&「離活」戦略』では熟年離婚で失敗しないためのノウハウを紹介しています。
今回は本書から一部を抜粋し、卒婚におけるタブーをお伝えします。自分の立場を守り抜くための鉄則を学んでおきましょう。
<目次>
卒婚を失敗させないための「鉄の掟」とNG行動
卒婚を始めると決めた瞬間から、あなたは長年縛られてきた「妻」という重い足枷を外し、自由な空気を吸うことができるようになります。しかし、ここで勘違いしてはいけないのが、「自由とは、何をしてもいいということではない」という点です。
卒婚は、婚姻関係を継続したまま、お互いの独立を認める高度な「大人の契約」です。感情のままにルールを無視して暴走すれば、せっかく手に入れた「籍というシェルター」を自ら破壊し、悲惨な泥沼離婚へと真っ逆さまに落ちてしまうリスクがあります。
あなたが「賢い卒婚ライフ」を末長く謳歌し、老後の権利を確実に手中に収めるために、絶対に守らなければならない「3つの鉄の掟」をお話しします。
鉄の掟1:お金と生活の「事務的ルール」を明文化する
同居卒婚は、感情でつながるのではなく「ルール」でつながる関係です。最も揉める原因となるのが「お金」です。
これまでのように、夫が家計の主導権を握り、あなたが生活費を「もらう」という立場では、いつまで経っても精神的な自立はできません。逆に、夫が定年退職して収入が減った時、どちらが何を負担するかを曖昧にしていると、必ず不満が爆発します。
「これからは、住居費(固定資産税や修繕費)と光熱費は夫の口座から、食費や日用品はそれぞれ自分の分を自分で、共通の雑費は折半にする」といった具体的な分担を、できればメモや合意書として残してください。
また、緊急時の連絡についても決めておきましょう。「お互いの行動には干渉しないけれど、夜12時を過ぎて帰宅しない場合や、体調が急変した時はLINEで一本入れる」といった、ルームシェアとしての最低限のマナーです。
そして忘れてはならないのが、親の介護や子供の結婚式、孫の誕生といった「家族の節目」への対応です。卒婚していても、対外的には夫婦。こうした親族行事には「チームとして協力する」という合意がなければ、周囲を巻き込んだ大きなトラブルに発展します。
鉄の掟2:精神的自立を徹底し、期待と甘えを「廃棄」する
「卒婚したはずなのに、やっぱり夫が不機嫌だと気になってしまう」「たまにはどこかへ連れて行ってほしいと思ってしまう」。そんな心の揺れが、卒婚を失敗させる最大の要因です。
あなたが卒婚を選んだのは、夫の機嫌に左右される人生を卒業するためだったはずです。それなのに、心のどこかでまだ「察してほしい」「歩み寄ってほしい」と願うのは、厳しいようですが「依存」です。
卒婚において、夫はもはや「あなたの心を満たしてくれるパートナー」ではありません。同じ家を別けて住む「同居人」であり、同じ家計を運営する「共同経営者」です。
隣の部屋に住んでいる他人が、今日何を食べて、何を考えていようと、あなたには関係ありませんよね? そのくらいの突き放した俯瞰的な感覚を持ってください。期待を捨てることは、冷たさではありません。自分自身を守るための、最強のメンタル防衛術なのです。
自分の楽しみは自分で見つける。パート仲間とランチに行く、趣味の教室に通う、推し活に励む。あなたが自分一人で機嫌を直せるようになれば、夫の言動に一喜一憂していたあの頃が、遠い昔のように感じられるはずです。
鉄の掟3:【最重要】異性関係は「墓場まで持っていく覚悟」か「完全NG」
これが最も重要なポイントです。卒婚して自由になったからといって、堂々と「彼氏(彼女)」を作ってはいけません。
繰り返しますが、卒婚は「婚姻関係の継続」が前提です。日本の法律において、婚姻中に配偶者以外の異性と肉体関係を持つことは「不貞行為」とみなされます。
「卒婚に合意したんだから、恋愛も自由でしょう?」と開き直る女性もいますが、裁判所はそう簡単には認めません。もしあなたが外で恋愛を楽しんでいることが夫にバレれば、夫から多額の慰謝料を請求されるだけでなく、「有責配偶者」として離婚を突きつけられた際に、あなたが必死に守ろうとしてきた財産分与や年金分割で、極めて不利な立場に立たされることになります。
戦略的に卒婚を選んだはずが、一時の感情の迷いで「不倫妻」という烙印を押され、老後の資金をすべて失って放り出される……。そんな愚かな真似は絶対にしないでください。
もしどうしても誰かを好きになってしまったら、それは「卒婚」ではなく、覚悟を決めて「離婚」してからにする。
しかし、この本を手に取っているあなたへの私のアドバイスは、迷わず「異性関係は完全NG」です。今のあなたに必要なのは、誰にも邪魔されない「自分自身の平穏」のはずですから。
卒婚は、あなたの権利と財産を守りながら、自由を手に入れるための「攻めの守り」です。この鉄の掟を守ることこそが、あなたが夫という呪縛から解放され、第二の人生を勝ち逃げするための絶対条件なのです。
岡野 あつこ(おかの・あつこ)
立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院修士課程(社会デザイン学)修了。夫婦問題研究家・パートナーシップアドバイザー・公認心理師。これまで35年以上にわたり、約4万件の夫婦・離婚・男女関係の相談に向き合い、現場第一主義で数多くの家庭の再生と新たな人生のスタートを支援してきた。YouTube「岡野あつこチャンネル」は登録者7万人以上。現代のリアルな夫婦問題をわかりやすく発信し、多くの共感を集めている。






