離婚

「ここは家賃ゼロのシェアハウス」夫への情と罪悪感を捨てて自由に。損をしない家庭内卒婚のススメ

離婚を検討している人の中には「経済的に不安でできない」といった方も多いでしょう。しかし、あきらめる必要はありません。お金がなくてもできる「家庭内卒婚」という選択があなたを導きます。※サムネイル画像:PIXTA

All About 編集部

損をしない家庭内卒婚のススメ ※画像出典:PIXTA
損をしない家庭内卒婚のススメ ※画像出典:PIXTA

「離婚をしたいけれど、お金の不安があって身動きが取れない…」と悩む方は少なくありません。損をするのがわかっているのに、家を飛び出す決断はなかなかできることではないでしょう。

岡野あつこさんの著書、『その熟年離婚、妻は絶対「損」します!: 相談実績4万件の夫婦問題カウンセラーが教える!人生後半を笑って過ごすための「卒婚」&「離活」戦略』では熟年離婚で失敗しないためのノウハウを紹介しています。

今回は本書から一部を抜粋し、経済的な基盤を失うことなく夫と距離を取る方法をお伝えします。

<目次>

お金がなくてもできる! 「家庭内・同居卒婚」の現実的な始め方

卒婚には、大きく分けて二つのスタイルがあります。一つは、完全に住居を別にして暮らす「別居スタイル」。そしてもう一つが、同じ屋根の下で暮らしながら生活を分ける「同居スタイル」です。

理想を言えば、物理的な距離をしっかりと取れる別居スタイルが一番スッキリするでしょう。しかし、夫の住む家とは別に、あなたが暮らすためのマンションを借り、光熱費や食費といった二重の生活費を捻出するのは、よほど裕福な家庭か、あなた自身に十分な経済的自立(正社員としての収入など)がない限り不可能です。

パート収入だけで、家賃を払いながら一人で生きていくことは現実的ではありません。だからといって「お金がないから、夫の顔色をうかがって我慢し続けるしかない」と諦める必要は一切ないのです。

そこで私が強く推奨するのが、お金がなくても今すぐ始められる【同居スタイル(家庭内卒婚)】です。

「それって、ただの家庭内別居でしょう?」と思うかもしれませんね。しかし、「家庭内別居」と「同居卒婚」は似て非なるものです。

家庭内別居は、お互いに憎しみ合い、無視し合いながら、ただ仕方なく同じ空間にいるだけの「冷戦状態」です。家の中は常にピリピリとした空気が漂い、心は休まりません。

一方、同居卒婚は、お互いが「それぞれ自由に生きよう」と合意した上で、前向きに生活を分ける「自立した大人のシェアハウス」のような状態です。挨拶や必要な業務連絡は普通に行いますし、憎しみ合う必要もありません。ここが決定的な違いです。

では、具体的にどうやって同居卒婚を始めればいいのか。重要なのは「空間」と「家事」の分離です。

第1ステップ「生活スペースの分離」

まず第1ステップとして、徹底的に「生活スペースを分ける」ことから始めましょう。

寝室が一緒なら、今日からすぐに分けてください。もし、すでに子どもたちが独立して空き部屋(元・子供部屋など)があるなら、そこをフル活用します。一部屋を完全に夫のプライベート空間(書斎や趣味の部屋)とし、もう一部屋をあなたの部屋にします。

「うちは狭くて、そんなに部屋が余っていない」という場合でも大丈夫です。リビングの一角をパーテーションや家具で仕切り、「ここから先は夫のテリトリー、こっちは私のテリトリー」と明確に境界線を引くのです。

その後、絶対に守るべきルールは「相手のテリトリーには一切干渉しない」ということ。夫の部屋がどれだけ散らかっていようと、脱いだ靴下が転がっていようと、あなたは掃除する必要はありません。「見えない場所のことは気にしない」というスルースキルを身につけてください。

第2ステップ「家事の分離」

次に第2ステップとして、「家事の分離」に踏切ります。あなたのストレスの最大の原因は、休日のたびに「おい、飯はまだか」「お茶」と顎で使われ、夫の世話を焼き続けなければならないことでしょう。同居卒婚では、この「世話焼き妻」の役割を完全に手放します。

「自分のご飯は自分で作る」「自分の洗濯物は自分で洗う」。これが基本ルールです。

例えば、食事。「これからはお互いの健康や好みのペースに合わせて、食事は別々にしましょう。冷蔵庫のこの段はあなたのスペースね」と宣言します。最初は夫も戸惑い、「俺に飯を作れというのか!」と怒り出すかもしれません。昭和気質の夫にとって、妻が飯を作らないことは「反逆」に映るからです。

しかし、ここでひるんではいけません。「あなたはもう立派な大人なんだから、自分の食事くらい自分で管理できるわよね。私もパートで疲れているし、自分のペースで食べたいの」と、淡々と、しかし毅然と伝えます。

どうしても夫が料理をしないなら、スーパーのお惣菜や冷凍食品、宅配弁当のパンフレットをテーブルに置いておきましょう。お腹が空けば、大の大人は自分でなんとかするものです。「かわいそう」「妻なんだからやってあげなきゃ」という罪悪感は、今日限りで捨ててください。

洗濯も同様です。「洗濯カゴは別々にするから、自分のタイミングで洗濯機を回してね」と伝えます。夫がワイシャツのアイロンがけを要求してきたら、「クリーニングに出すか、形状記憶のシャツを買ってね」と笑顔でかわしましょう。

これまで何十年も夫の世話を焼いてきたあなたにとって、突然突き放すことは少し勇気がいるかもしれません。しかし、これは夫への「意地悪」ではありません。夫がこの先の長い老後を生き抜くために必要な「自立訓練」でもあるのです。

もし、この先あなたが病気で倒れたら、お茶も淹れられない夫はどう生きていくのでしょうか。同居卒婚を通じて自分の身の回りのことができるようになれば、結果的に夫自身の助けにもなります。

「家賃ゼロ」で、安心・安全な住居に住み続けながら、煩わしい夫の世話から解放される。リビングのテレビを一日中占拠されても、「あ、そう。じゃあ私は自分の部屋でスマホでドラマを見るわ」と気にならなくなる。

これが、お金がない専業主婦やパート主婦にとっての「最強の防衛策」です。

ただし、この同居卒婚を「ただの冷戦」に終わらせず、快適なシェアハウス状態を維持するためには、いくつか絶対に守らなければならないルールがあります。次項では、卒婚で失敗しないための「鉄の掟」について解説していきましょう。

岡野 あつこ(おかの・あつこ)

立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院修士課程(社会デザイン学)修了。夫婦問題研究家・パートナーシップアドバイザー・公認心理師。これまで35年以上にわたり、約4万件の夫婦・離婚・男女関係の相談に向き合い、現場第一主義で数多くの家庭の再生と新たな人生のスタートを支援してきた。YouTube「岡野あつこチャンネル」は登録者7万人以上。現代のリアルな夫婦問題をわかりやすく発信し、多くの共感を集めている。

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