男のこだわりグッズ

これからは“ノートだけ”ではない。発売50周年・コクヨ「キャンパス」が刷新した理由と込めた思い

コクヨの「キャンパスノート」が50周年を迎えた節目に、ノート製作で得た「まなびかた」についての知見をブランドへ発展させました。そこから、「キャンパス ペンのように持ち運べるブッククリップ」のようなユニークな製品も登場。ブランドリニューアルと製品の開発経緯を聞きました。

納富 廉邦

納富 廉邦

男のこだわりグッズ ガイド

「おとなのOFF」「日経トレンディ」「グッとくる文房具」「GetNavi」「夕刊フジ」などの雑誌をはじめ、書籍、ネットなど、さまざまな媒体で、文具などのグッズ選びや、いまおすすめのモノについて執筆。グッズの使いこなしや新しい視点でのモノの遊び方、選び方をお伝えします。

...続きを読む
新しい「キャンパス」ブランドのキービジュアル

新しい「キャンパス」ブランドのキービジュアル

コクヨの「キャンパスノート」といえば、使ったことがない人はいないのではと思えるほどに普及しているノートの一大ブランドです。その「キャンパスノート」の発売50周年を機に、コクヨではブランドをリニューアル。公式Webサイトによると「ノートだけではない『まなびかた』のブランドへ刷新」しました。

ノートを軸に周辺の文具を合わせた学び方を提案したい

「もともと、50年間ずっとノートをブラッシュアップし続けてきたのですが、その作業はノートだけを見るのではなく、ノート以外の文具の使われ方、時代の変化なども合わせて見てきました。『キャンパスノート』を新しいブランドに生まれ変わらせたいと考えた時に、その知見が活かせるのではないかと思ったんです。ずっとノートの周辺を見てきたからこそ、周辺の文具と合わせた学び方が提案できるのではないかと考え、今回のリニューアルが始まりました」と、コクヨ株式会社マーケティング部の服部慎吾さん。

今回のリニューアルを分かりやすく示しているのが、勉強の仕方をカテゴリ分けして、そのスタイルに合った文具を使った勉強法を提案していくという方法。勉強のやり方を、「メモ勉」「ちょこ勉」「とじ勉」「モチ勉」とカテゴライズして、それぞれに向いたツール群としてキャンパスブランドの文具を提示。

さらに、それらのどれにも共通する文具を「ベース文具」としてまとめ、それらを総称して「まなびレシピ」と呼ぶというプレゼンテーションのスタイルです。

「もちろん、今でもキャンパスブランドの中では『キャンパスノート』が主軸ですし、これからもキャンパスの真ん中に居続けるのはやはりノートなのだろうと思っています。ただ、これまで文具は道具的に使われていたと思うのですが、私たちはそれを“メソッド”にしたいと考えているんです。文具単体ではなく、組み合わせることで学び方や学習に貢献できるという提案。例えば、今回の製品で言えば『ペンのように持ち運べるブッククリップ』で教科書をとめて開いた状態にすれば、ふせんをキレイに正確に貼れるといった勉強法を“レシピ”として提案できたらいいなと考えたわけです」と服部さん。

「メモ勉」に役立つ「ペンのように持ち運べるブッククリップ」

コクヨ「キャンパス ペンのように持ち運べるブッククリップ」550円(税込)。色は写真のグリーンのほか、パープル、ブラックがある

コクヨ「キャンパス ペンのように持ち運べるブッククリップ」550円(税込)。色は写真のグリーンのほか、パープル、ブラックがある

ブランドのリニューアルにあたって、新たに発売された製品の中で筆者が面白いと思ったのは、「メモ勉」の中で紹介されている「キャンパス ペンのように持ち運べるブッククリップ」です。長い商品名ですが、その名の通りの製品。

本やノートのページを開いた状態にキープしておく製品は、古くは文鎮だったり、昔は大きなクリップを左右のページに留めたり、最近ではサンスター文具の「ウカンムリクリップ」660円(税込)などもある中で、新しいキャンパスブランドが出してきたのが、折り畳み式でペンケースに入るのが特徴の製品でした。

「コクヨには『本に寄り添う文鎮』という製品があって、そのクリップバージョンが作れないかという話が持ち上がったため、いろいろ考えていたんです。まだ、キャンパスブランドのリニューアルが立ち上がる前のことなのですが」と、「キャンパス ペンのように持ち運べるブッククリップ」の開発を担当された同社リージョン開発部の岡野颯太さん。

その後、キャンパスの中でブッククリップを出したいという話が出て、岡野さんもキャンパスのチームに合流。学生にフォーカスを当てたクリップを考えるにあたって、実際に学生にヒアリングを行ったそうです。

「学生さんが抱えている悩みなどを実際に聞いたうえで形にしようと進めていきました。そのため、それ以前に考えていたアイデアはいったん捨てて、新しいものを組み立てました。学生さんが実際に困っているところを丁寧にくみ取る視点と、自分が学生だった時に、この製品を本当に欲しいと思うかといった視点の両方を大事にしました。客観的な部分と主観的な部分の掛け算を軸にして進めていったんです」と岡野さん。

左右で厚みが違う状態でも、本をしっかり開いたまま保持

折り畳むと棒状になるのでペンケースに入るし、ペン立てに立てておける

折り畳むと棒状になるのでペンケースに入るし、ペン立てに立てておける

そうしてできたのが、左右2つのクリップが、1本のバーに付いていて、それが可動してペンケースに入る形状。クリップは、開いたページ側に来る上側は透明で短く、ノートや本の下に来る下側は長く作られているため、文字が隠れにくく、安定性は高くなるように作られています。左右が別々のクリップになっているので、厚手の本の最初の方や最後の方のページなど、左右のページの分量が異なっていても、問題なく開いた状態でページを押さえることができるわけです。

「第1に携帯性、第2に両方のクリップが独立しているため、左右それぞれのページの厚さが違っていてもしっかり挟めるという点も好評いただき、この2つがクリップの主な顔だと思っています」と話す岡野さんが、開発で気を付けたのは“安全性”の部分だと言います。
力加減も絶妙に調整されたバネ部分は、安全性も考慮されている

力加減も絶妙に調整されたバネ部分は、安全性も考慮されている

「バネを使用するため、“安全性”は十分考慮しました。上クリップにはバネが前方に飛ばないように壁のようなものを付け、後ろの方はバネの端を曲げることで、バネが飛び出ないように工夫しています。バネの強さも、いくつも強度を変えた物を作って試しました。開きやすさと、ページを押さえる力のバランスを見極めながら、ページを押さえる部分にフェルトなどを貼らない構造のため、バネが強過ぎてクリップの跡がページに残らないようにする点にも配慮しています」と岡野さん。

細かい部分まで配慮することで実現した使い勝手のよさ

ブッククリップの使用シーン。左右独立していて、上のクリップが透明になっているのは本当に使いやすい

ブッククリップの使用シーン。左右独立していて、上のクリップが透明になっているのは本当に使いやすい

ノートや教科書なら、別にクリップの跡が付いても構わないのではと思ったのですが、学生の間ではノートの貸し借りなどもあって、借り物に跡を付けるのは抵抗があるのだそうです。

筆者も図書館から借りてきた本を資料に使うことも多いので、跡が付かないに越したことはありません。実際に使っていて、押さえる力が足りないと思ったことはないので、そのあたりのバランスもとてもよく取られていると感じました。
台座に少し食い込むように付けられたクリップ。このような小さなデザインの積み重ねで、全体に柔らかい印象がつくられている

台座に少し食い込むように付けられたクリップ。このような小さなデザインの積み重ねで、全体に柔らかい印象がつくられている

「クリップには、“メカメカしい”までではないものの、“道具”という印象があると思うのですが、ブッククリップはどちらかといえば女性が使ってくれるものなので、そういう印象を和らげたいと考えていました。そこで、クリップの支点になる部分を台座側に少し食い込ませたり、各パーツの角を丸くしたりして、柔らかい感じになるようにデザインしています。細かい部分では、真ん中のバーに少し傾斜をつけているんです。こうすることで、クリップの開閉時にクリップを持ち上げたりしなくても、スムーズに開閉できます。そういう小さなストレスをなくすように考えました」と岡野さん。
「メモ勉」で使うアイテム一式

「メモ勉」で使うアイテム一式

このブッククリップと、「キャンパス スキマに書き足すロールふせん」「キャンパス 教科書やプリントにもっと書き足せるノートふせん」を組み合わせて実践できるのが、すぐ書いて、見返す「メモ勉」です。補足説明をふせんで隙間にメモしたり、自分なりのポイントをもっと書き足すことができます。

単なる道具の提供にとどまらず、このように具体的な「学び方(メソッド)」を提案する。それこそが、50周年を機に「“まなびかた”のブランド」へと進化した新生キャンパスが目指す姿なのではないでしょうか。

<あわせて読みたい>
コクヨ「キャンパス」がブランド刷新! 文具ライターが注目する商品3選【担当者に聞く開発秘話も】
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

カテゴリー一覧

All Aboutサービス・メディア

All About公式SNS
日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
公式SNS一覧
© All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます