実は、機能性インナーはその優れた仕組みゆえに、普通の綿(コットン)の下着よりも「臭いが発生しやすく、かつ落ちにくい」という弱点があります。
今回は、機能性インナーが臭いやすいその科学的な理由と、今日から実践できる「臭いゼロ」を実現するお手入れ術を徹底解説します。
機能性インナーが臭いやすい「3つの理由」
便利で暖かいはずのインナーが、なぜ臭いの温床になってしまうのか。そこには素材と機能の特性が関係しています。▼素材(化学繊維)と「皮脂」の相性の悪さ
ヒートテックをはじめとする機能性インナーの多くは、ポリエステル、アクリル、ポリウレタンといった化学繊維で作られています。これらの素材には「親油性(しんゆせい)」という性質があり、油分と非常になじみやすいのが特徴です。 私たちの体から出る「皮脂汚れ」を繊維の奥に吸着してしまい、通常の洗濯ではその油汚れが落ちきらず、蓄積していってしまいます。これが時間がたつと酸化し、独特の嫌な臭いを発するのです。 ▼「吸湿発熱」の裏側で起きる蒸れ
ヒートテックをはじめとする機能性インナーの多くは、体から蒸発する水蒸気をキャッチして熱に変える仕組みです。しかし、暖房の効いた室内に入ったり急ぎ足で歩いたりして「液体の汗」をかくと、吸湿能力が追いつかなくなります。すると、服の中が高温多湿な「サウナ状態」に。これは雑菌にとって最高の繁殖条件です。化学繊維は綿に比べて乾きが早いイメージがありますが、大量の汗を吸うと通気性が低下し、蒸れを加速させてしまうのです。
▼雑菌が入り込む「糸」の構造
保温性を高めるために、機能性インナーの糸は特殊な加工が施されていることが多いです。糸自体に微細な隙間があるため、そこに汚れや菌が入り込んでしまうと、表面を洗うだけではなかなか取り除くことができません。
臭いを根絶! 機能性インナーの「洗濯の極意」
一度染み付いてしまった臭いは、普通に洗うだけでは解決しません。家事アドバイザーである筆者が、臭いをリセットする洗濯術をご紹介します。▼「40度のお湯」が基本!
多くの人が水で洗濯をしていますが、皮脂汚れ(油)は冷たい水では固まって落ちません。40度前後のお湯を使うことで、繊維にこびりついた皮脂が溶け出し、洗浄力が劇的にアップします。ヒートテックなどの機能性インナーの洗濯マークはおおむね「40度以下で洗濯」となっているので、40度に近い温度のお湯で洗濯するのがいいでしょう。 ▼「裏返し洗濯」を徹底する
皮脂や角質、汗が直接付着するのは、衣類の「裏側(肌に触れる面)」です。表向きのまま洗うと、一番汚れている部分に洗剤が届きにくくなります。脱いだらそのまま裏返しでネットに入れる。これだけで、汚れ落ちが数段変わります。
▼「酸素系漂白剤」で定期的な除菌を
「洗ってもすぐ臭う」という場合は、菌が繊維に居座っています。40度のお湯に酸素系漂白剤(ワイドハイターなど)を溶かし、30分~1時間ほどつけ置きしましょう。粉末タイプは弱アルカリ性で油汚れに強く、かつ除菌力も高いため、蓄積した臭いに効果抜群です。
やってはいけない! 臭いを悪化させるNG習慣
よかれと思ってやっていることが、実は臭いの原因になっているかもしれません。▼柔軟剤の使いすぎはNG
柔軟剤は繊維をコーティングして肌触りをよくしますが、同時に「吸水性」を下げてしまうことがあります。また、残った皮脂をコーティングして閉じ込めてしまう「汚れのミルフィーユ状態」を作る原因にも。臭いが気になるときは、柔軟剤を一度お休みしましょう。
▼詰め込み洗いはNG
洗濯機に洗濯物を詰めすぎると、物理的な摩擦が起きず、機能性インナーのような細かい繊維の奥まで水が通りません。洗濯物は容量の7割程度に抑えるのが鉄則です。
買い替えどきを見極める! ヒートテックの寿命は?
どんなにお手入れをしても、化学繊維には寿命があります。「お湯で洗っても、着て数時間で臭い出す」
「生地が薄くなったり伸びたりしてフィット感がなくなった」
このような状態は、繊維の限界サインです。蓄積した汚れや菌の住処を無理に使い続けるより、新しいものに買い替える方が衛生的かつ保温効果も高いです。機能性インナーは「消耗品」と割り切り、買い替えましょう。寿命は使い方にもよりますが、ユニクロは3シーズンを目安に新調することをおすすめしています。
ヒートテックをはじめとする機能性インナーは、私たちの冬を快適にしてくれる素晴らしいアイテムです。だからこそ、その特性(油を吸いやすく、蒸れやすい)を正しく理解し、「お湯洗い」「裏返し」「定期的なつけ置き」を習慣にしてみてください。正しいお手入れで、清潔感のある暖かい冬を楽しみましょう!









