今回は、フリーランスAさんと経営者Bさんが一緒に行ったプライベート旅行のエピソードをもとに、「まわりが見えないお金の使い方」が人を遠ざけ、結果として「貧乏体質」につながる理由をひも解きます。
「割り勘なんでしょ?」なのに、なんか変……
フリーランスのAさんが、以前にこんな体験をしたといいます。相手は、同じく自営業者のBさん。共通の趣味を通じて仲良くなり、ある日、2人で日帰り旅行に出かけました。もちろん、完全なプライベート旅行。仕事の話は一切なし、純粋に遊びを楽しむ時間でした。
ところが旅行中、ランチ代やタクシー代などをBさんが「まとめて支払う」スタイルで会計し、あとでAさんに本人分を請求してきたそうです。ここまではよくある話ですが、問題はその後。
なんとBさん、その支払いを会社の経費として処理するらしいことが分かります。
「割り勘だから実質的には1人分の負担だけど、経費としては2人分……なんかおかしくない?」Aさんは、違和感を覚えたそうです。
まわりが見えない人の「信頼」を失う行動
このエピソードに出てくるBさんのような行動、一見すると「要領がいい」「抜け目がない」と思う人もいるかもしれません。でも、実は非常に危うい習慣です。一緒にいる相手の立場や感情をまったく考えず、自分だけが得をする形を平然と選んでしまう。これは「まわりが見えない人」といえませんか。
経費処理の是非はさておき、「なぜこの人は私との旅行を経費にしたいのか?」という疑問や、「私の支払った分はどう見なされているのか?」という不信感は、じわじわとBさんの相手であるAさんとの信頼関係を削っていきます。
実際Aさんは、その体験の後、Bさんとの関係を自然とフェードアウトしたそうです。「また会おう」とは、もう思えなかったと。
お金の使い方は「対人センス」の鏡
お金の使い方には、その人の本質が表れます。特に、目の前の人に対してどう使うか、どう回収するか、どう処理するか。そうした所作の全てに、「その人が人をどう見ているか」がにじみ出ます。今回のケースでは、BさんはAさんを「割り勘相手」とは見ていても、「同等の立場の人」としては見ていなかったのかもしれません。もしくは、「このくらいバレないだろう」と思ったのかもしれません。いずれにしても、信頼されるお金の扱い方ではありません。
お金は生活や仕事をスムーズにしてくれる便利なツールです。ただし、人とのつながりや信頼までも、単なる道具のように扱ってしまうと、関係が一気に冷めてしまうことがあります。大切なのは、お金以上に人との関係に誠実であることです。
お金は人が運んでくる
「お金は人が運んでくる」これはよくいわれる言葉ですよね。信頼され、応援され、チャンスをもらえる人には、自然とお金も仕事も集まってくるという意味ととらえることができます。
一方で、目先の小さな得にばかり気を取られて、周囲の感情や空気を読めない人は、長期的に見て損をすることが多くなるといえそうです。
今回のように、「割り勘なのにモヤモヤする」「自分だけ得しているように見える」と感じさせてしまうお金の使い方は、人を遠ざけ、結果的に「孤立」してしまいます。
というのも、信頼や応援が得られなくなった人には、どれだけ経費をうまく使っても、どれだけ得をしたつもりでも、「人生の収支」そのものがマイナスになっていくからです。
まとめ
「ちょっとだけなら」と見えないところで得をしているつもりでも、人は意外と気付いているものです。「自分さえよければ」「バレなきゃいい」という発想が積み重なると、やがて人が去り、チャンスが遠のき、お金も巡ってこなくなります。まわりが見えない行動こそが、一生貧乏を招く根本原因なのかもしれません。








