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【2025年・東京】ゴッホ、ユトリロ…美術館へ急げ! 年内終了の注目展覧会3選

都内では現在数々の魅力的な美術展・展覧会が行われていますが、残念ながら年内に終了してしまうものも……。その中から、最終日までになんとしても駆け込みたい! 注目の美術展を3つご紹介しましょう。

藤丸 由華

藤丸 由華

東京 ガイド

学芸員

東京のラジオ局のアナウンサー時代を含め約20年、東京にこだわった取材を敢行。ニューオープンのスポットはもちろん、八丈島や高級ホテルのバックヤード、東京上空600mにも足を延ばし(?)取材した都内のスポットは1500以上。08年に独立し、現在はAll About東京ガイド、ラジオパーソナリティー、2足の草鞋で活動中。

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2025年も残り約1カ月。芸術の秋に私たちを熱狂させたアートイベントも、年をまたがず終了してしまうものがちらほら。その中から、最終日までになんとしても駆け込みたい、注目の美術展を3つご紹介します。
<目次>

モーリス・ユトリロ展(SOMPO美術館)

■2025年12月14日まで
モーリス・ユトリロ展会場

会場内は写真撮影できる作品が多く、ファンにはたまらない空間!

20世紀初頭のパリの街並みを描き、戦前から日本でも紹介され人々を魅了してきた風景画家、モーリス・ユトリロ。画家シュザンヌ・ヴァラドンの婚外子として誕生し、幼少期からアルコール依存症を発症。その治療の一環で始めた絵画制作で才能を発揮し、画家となったユトリロの複雑な生い立ち、その後の人生と作風の変化などを、展示されている約70点の作品でたどることができます。
《可愛い聖体拝受者、トルシー=アン=ヴァロワの教会(エヌ県)》  1912年頃 油彩/カンヴァス 52×69cm 八木ファインアート・コレクション

《可愛い聖体拝受者、トルシー=アン=ヴァロワの教会(エヌ県)》  1912年頃 油彩/カンヴァス 52×69cm 八木ファインアート・コレクション

会場は、画家としての出発点である「モンマニー時代」、建物の白い壁の表現にこだわった「白の時代」、原色に近い色彩を使い、人物も描くようになった「色彩の時代」の3つに分けられています。

中でも建物の漆喰の壁を、絵の具に石膏や砂、鳥の糞などを混ぜて質感まで表現した「白の時代」の作品は圧巻。建物に沿うように描かれた道の表情も魅力的で、吸い込まれるようにずっと見ていたくなる作品群です。
 
また出生時のユトリロの手型から母・ヴァラドンが作らせたというブロンズは、とても愛くるしく印象的。複雑だったといわれる親子関係にも、確実に愛情があったのが伝わってきます。
©Hélène Bruneau 2025
 
<DATA>
モーリス・ユトリロ展 

ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢(東京都美術館)

■2025年12月21日まで

2025年から来年2026年にかけて、日本人が大好きな芸術家・ゴッホの展覧会が全国各地で複数行われています。何度行われても常に人気のゴッホの展覧会はこれまでさまざまなテーマで行われてきましたが、上野の東京都美術館で開催中の「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」は、彼の“家族”を切り口にした初の企画展です。
画家としての自画像

ファン・ゴッホ美術館からやってきた《画家としての自画像》

生前評価を得られなかったゴッホの死後、弟テオ、その妻ヨーが、彼の作品を世に出すべく奔走。また作品がむやみに分散しないよう保存にも力を入れ、それが世界一のゴッホ作品を所蔵する「ファン・ゴッホ美術館」の設立へとつながりました。今日私たちがたくさんの作品を見ることができるのも、コレクションを大切に守り抜いたゴッホ家の人々のおかげなのです。
傘を持つ老人の後ろ姿が描かれたアントン・ファン・ラッパルト宛ての手紙

色あせしやすいインクで書かれているため、実物が展示されることはめったにない手紙も来日

今回はゴッホの作品30点以上と、日本初公開の手紙4通などが展示。遺族たちのゴッホへの温かい愛情を感じることができる美術展です。
 
<DATA>
ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢
※土日、祝日および12月16日(火)以降は日時指定予約制
※巡回展:2026年1月3日(土)~3月23日(月) 愛知県美術館

静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝(静嘉堂@丸の内)

■2025年12月21日まで
国宝 「曜変天目(稲葉天目)」 南宋時代(12~13世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵 通期展示

国宝 「曜変天目(稲葉天目)」 南宋時代(12~13世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵 通期展示

「大阪・関西万博2025」の開催記念として、20世紀初頭に世界各国・日本各地で行われた博覧会に、岩崎家(静嘉堂)から出品された国宝、重要文化財を含む20件余りを一挙公開するという豪華な展覧会。

静嘉堂の代名詞ともいえる国宝「曜変天目(稲葉天目)」をはじめ、日本画や油絵、工芸品などジャンルはさまざまですが、どれも万博に出品した=世界に誇る日本を代表する芸術品ばかりです。
菊池容斎「阿房宮図」 江戸時代(19世紀前半) 静嘉堂文庫美術館蔵 後期11/11(火)~12/21(日)

菊池容斎「阿房宮図」 江戸時代(19世紀前半) 静嘉堂文庫美術館蔵 後期11/11(火)~12/21(日)

今後国宝になるのではないか? と期待される室町時代後期の水墨画家・式部輝忠の稀少な山水図屛風が、修復後16年ぶりにお目見え。

さらに幕末、明治初期の日本画家・菊池容斎が描き、1910年の日英博覧会に出品された「阿房宮図」は、秦の始皇帝が建造した大宮殿・阿房宮に、秦を滅亡させた項羽が火を放ち3カ月燃え続けたという様子を描いた作品。美術愛好家はもちろん、歴史好き、そして大人気マンガ『キングダム』ファンも必見の未来の国宝候補作です。

<DATA>
静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝
 
以上、年内になんとしても見ておきたい、東京で注目の3つの展覧会をご紹介しました。慌ただしい年の瀬ですが、時間を捻出してぜひ!
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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