今回は、家の中に放置しておくと特に危険な6つのアイテムと、それらの正しい捨て方について解説します。
1. 古いスプレー缶・カセットボンベ
使いかけの殺虫剤、ヘアスプレー、余ったカセットボンベなどが洗面所やキッチンの棚に転がっていませんか? 缶は金属製のため、湿気の多い場所で長期保管するとサビて腐食します。そこからガス漏れが起き、静電気やキッチンの火花に引火して爆発事故につながる危険性があるのです。【正しい捨て方】
穴を開けるかどうかは自治体によって異なります。近年は爆発事故防止のため「穴あけ不要」とする自治体が増えているので、必ず地域のゴミ出しルールを確認してください。
穴を開けて捨てる場合は、必ず「火気のない風通しのいい屋外」で、ガス抜きキャップなどを利用して中身を完全に出し切り、自治体指定の方法で捨ててください。
2. 使い捨てライター(100円ライター)
タバコを吸わなくなった、あるいは防災用に置いておきたいなどの理由で、使い捨てライターを大量にため込んでいるご家庭もあります。 本体のプラスチックは経年劣化で脆くなり、金属部分はサビるものです。そこからガスが漏れ出し、引火する恐れがあります。また、夏場に直射日光が当たる窓辺などに放置すると、自然発火の原因にもなります。【正しい捨て方】
自治体によって、「ガスを抜く」「水に浸してから」など指定されている捨て方が違います。分別に関しても不燃ゴミや燃えるゴミなど違いがあるので、必ず自治体の捨て方を確認してください。ガスを抜く場合は、必ず屋外の火の気のないところで、操作レバーを押したままガスを出し切ります。
3. モバイルバッテリーなどリチウムイオン電池を使用しているもの
リチウムイオン電池の危険性については、頻繁にニュースにもなるのでご存じの人も多いでしょう。注意が必要なのが、モバイルバッテリーやコードレス掃除機、Bluetoothイヤホンや小型ゲーム機などに使われているものです。リチウムイオン電池は、使わずに放置していても劣化が進みます。劣化により内部でガスが発生してパンパンに膨張したり、衝撃が加わることで発火したりする恐れがあります。一度火がつくと爆発的に燃え上がり、火災になることも……。
【正しい捨て方】
絶対に「燃えるゴミ」や「不燃ゴミ」に混ぜてはいけません。 ゴミ収集車の中で圧縮された際に発火し、大規模な火災になる事故が多発しています。家電量販店やホームセンターなどに設置されている「JBRC回収ボックス(小型充電式電池リサイクルボックス)」や自治体が指定している回収方法で捨てるようにしてください。
製品によってはリコールが発表されているものもあるので、まずはメーカーの公式Webサイトなどで確認するようにしましょう。
4. 古い電源タップ(延長コード)
家具の裏でホコリをかぶったまま、何年も挿しっぱなし、あるいは使っていない差し込み口がある電源タップ。 差し込み口にたまったホコリが湿気を吸うと、電気の通り道ができて発火する「トラッキング現象」が起こります。コード自体も劣化して内部で断線している場合があり、発熱・発火の原因に。電源タップの寿命は一般的に3~5年といわれています。【正しい捨て方】
コードが変色している、硬くなっている、熱を持っているなどの異常があれば、即使用を中止しましょう。長さや素材によって「不燃ゴミ」や「小型家電リサイクル」など区分が分かれます。自治体の指示に従い処分してください。
5. 開封済みの粉製品(お好み焼き粉、ホットケーキミックスなど)
「賞味期限が切れているけど、粉だから腐らないだろう」と常温で放置していませんか? 開封後の粉製品には、目に見えないほど小さなダニ(コナダニなど)が侵入し、爆発的に繁殖します。これを知らずに調理して食べると、全身の蕁麻疹や呼吸困難などの重篤なアレルギー症状(アナフィラキシーショック)を引き起こす可能性があります。これは加熱しても防げません。【正しい捨て方】
迷う必要はありません。中身は「燃えるゴミ(生ゴミ)」として処分し、袋(プラ・紙)は地域の分別に従って捨ててください。
6. 古い処方薬・目薬
「以前風邪をひいた時の薬」や「いつ開けたか分からない目薬」も危険です。 薬は湿気や光、温度変化によって成分が変質したり、効果が失われたりします。特に目薬は防腐剤が入っていても、一度開封すると細菌が繁殖しやすい状態に。変質した薬の使用は副作用のリスクがあるほか、誤飲事故の原因にもなります。【正しい捨て方】
中身は「燃えるゴミ」として処分します。錠剤のシート(PTPシート)や目薬の容器がプラスチックの場合は、中身を捨てた後にプラスチックゴミとして分別してください。液体薬を下水に流すのは環境負荷になる場合があるため、紙や布に染み込ませて燃えるゴミに出すのが推奨されます。
今回挙げた6つのアイテムは、日常生活に溶け込んでいるだけに、その危険性を見落としがちです。「面倒だから」と放置することは、家のどこかに小さな火種を抱え続けているのと同じこと。これらのものを処分することは、単なる部屋の片付けではありません。「火災や事故のリスクを取り除き、自分と家族の命を守る防災活動」そのものとなります。大掃除の機会に、これらのものを積極的に処分してみてくださいね。









