亀山早苗の恋愛コラム

「不倫じゃなくても許せない」15年の結婚生活で分かった「多趣味すぎる夫」の本性

友達が多く、多趣味な夫と結婚し15年。子どもが小学生になっても一人で趣味に没頭する夫に、義母は「不倫じゃないならいいじゃない」と言う。そんなときに義母が体調を崩し……。夫の行動を見て妻が気づいた「夫の本性」とは。※サムネイル画像:PIXTA

亀山 早苗

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恋愛 ガイド

どうして男女は愛し合うのか、どうして憎み合うのか。出会わなくていい人と出会ってしまい、うまくいきたい人とうまくいかない……。独身同士の恋愛、結婚、婚外恋愛など、日々、取材を重ねつつ男女関係のことを記事や本に書きつづっている。

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家庭を顧みず趣味に没頭する夫に……(画像:PIXTA)

家庭を顧みず趣味に没頭する夫に……(画像:PIXTA)

夫も妻も、そして子どもたちも家族の一員であると同時に、それぞれが自分の人生を生きる一人の人間でもある。好きなことをする権利はあるし、自分の人生を自分で決める権利もある。だが、あくまでも「家庭を形成する一人」であることとのバランスを考えた上で行動するべきだろう。一人で勝手なことばかりするなら、「結婚などしなければよかったのに」と言われかねない。

多趣味すぎる夫

「夫はもともと友達も多くて多趣味な人でした」

そう言うのはアサミさん(44歳)だ。4歳年上の夫とは職場で知り合い、先輩後輩としてつきあっていくうちに親しくなった。29歳のとき妊娠が分かって結婚した。

「ちょうど彼が異動になり、部署もフロアも違うし、夫婦で働いている人たちも少なくないので、私もそのまま仕事を続けることにしました。30歳で長女、32歳で次女を産み、産休やら育休やらで、落ち着いて仕事ができるようになったのは30代半ばからです」

保育園への送迎、子育ては協力しながらやっていこうという話だったのに、夫は「オレの代わりに母さんがやってくれるから」と近くに住む母親に丸投げ状態。夫は「仕事」と言いながら、独身時代からの趣味を何ひとつやめることなく生活してきた。

子どもが大きくなっても

「夏はサーフィン、冬はスケボー、サッカーもキャンプも大好き。それどころか毎年のように新たなことにチャレンジし、趣味を広げていくんです。続くものもあればあっさりやめるものもある。お金もかかるし、週末はいないし、もうちょっと家庭に目を向けてよと何度言ったことか」

そのたびに「大丈夫だよ、母さんがいるから」とニコニコしながら言う。お義母さんは父親の代わりにはならないと詰め寄ったこともあった。

「もう少し子どもたちが大きくなれば一緒に遊べるからさ、とよく言っていました。でも実際、子どもたちが小学校に入ってからも、夫は一人で趣味の世界に入り込んでいる。それぞれの趣味に友達もいるようなので、子どもと遊ぶより楽しいのかもしれません」

こんなことでいいのかと、義母に話したこともあるが、義母は苦笑いしながら「あの子は小さいころから自分を曲げないから」と、逆に息子を増長させた。

義母が体調を崩してからは

「子どもたちが大きくなれば、夏休みに旅行の1つもさせてやりたいじゃないですか。でも夫は『3人できみの実家に行ってくれば』という感じ。今まで家族4人で旅行したのなんて、片手で数えられるくらいですよ」

家族のありかたを考えようと、夫には何度も進言した。そのたびに「何か問題があるなら言ってよ」と夫は言うのだが、実際には聞く耳をもたない。

あげく、義母からは「いいじゃないの、不倫しているわけじゃないんだから」とまで言われてしまった。

「中学生と小学校高学年になった娘たちは、すでに父親には何も期待していない。行きたいところがあると私か義母に言う。父親として寂しくないのかと夫に尋ねたこともありますが、『娘たちが20歳になったら一緒に酒を飲むのが楽しみ』なんて言ってる。それまでに子どもたちに見捨てられるわよと言ってやりました」

さすがのアサミさんも、すっかり疲弊して、今さら夫には何も頼ろうとは思っていなかったのだが、今年の春、義母が体調を崩してからは、そんなふうにも言っていられなくなった。

「元気だった義母が入退院を繰り返し、看護していた義父も夏に転倒して骨折して。いずれこうなることは分かっていたのに、夫はあわてふためくだけで何もできない。もう趣味なんて言ってられないわよと脅したら、『母さんのことは妹に頼もう』と、また人任せにしようとしている。うちはお義母さんには本当に世話になったのだから、なんとか面倒を見てあげようと言っても逃げるだけ」

もう別れてもいい

結局、夫は自分の親のことも子どもたちのことも、何も考えていなかったのだ。この人は何のために結婚したのだろう。アサミさんにはそれが不思議でならない。

「義父母のことはケアマネさんをつけていろいろ相談しながらやっています。義妹も協力的なので助かった。でも考えてみれば、両親も妹も、彼のことをずっとそうやって甘やかしてきたんでしょうね。そういう男が妻の言うことなんて聞くわけもないんだと、結婚して15年たってやっと分かりました」

この分だと年をとって自分が健康を損ねても、夫にはまったく頼れないとアサミさんは覚悟している。逆にもし夫が病気になったとしたら……。

「私もあっさり夫を見捨てるかもしれません。世話になった義父母がいなくなったら、もう私は夫と別れてもいいとすら思っています」

家庭を顧みなかったのは、彼には不要だったからなのだろう。最近、そんなふうに冷たい考えが頭に浮かぶのだと、彼女は少し寂しそうに言った。
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