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「保守」なのにグローバリストとしての顔も?安倍晋三元首相の二面性を世界史講師が解説

安倍晋三元首相には、外交安保の顔とは別に「経済グローバリスト」としての顔がありました。「働き方改革」などを推進する一方、親中派の影響力も増大していった背景とは? 世界史講師が解説します。※画像:PIXTA

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「保守」なのにグローバリスト?安倍晋三のもう一つの顔 ※サムネイル画像:PIXTA

「保守」なのにグローバリスト? 安倍晋三元首相のもう1つの顔 ※画像:PIXTA

「保守」のイメージとは裏腹に、安倍政権は「グローバリズム」を推進しました。なぜ海外メディアは安倍批判をやめたのか?

世界史講師が語る「保守」って何?』(茂木誠著)では、世界史的視点と戦後日本政治史の視点で「保守」と「リベラル」の現在について解説しています。

今回は本書から一部抜粋し、安倍晋三元首相の「経済グローバリスト」としての政策と、それが保守層の分裂や親中派の台頭を招いた背景について紹介します。
<目次>

経済グローバリストの顔

外交安保政策において、安倍晋三は真正保守の政治家だった、といえるでしょう。しかし安倍晋三にはもう1つの顔がありました。経済グローバリストの顔です。小泉政権の経済ブレーンだった新自由主義者の竹中平蔵をアドバイザーとし、経産官僚の今井尚哉を首相補佐官としました。

ダボス会議などの国際経済会議で安倍は、「日本社会の規制という岩盤にドリルで穴を開ける」と繰り返します。「働き方改革」「子育て支援」「外国人労働者受け入れ」などの目玉政策は、硬直した日本の労働市場を自由化し、安い労働力を活用するという方針に基づくものでした。これは、小泉路線の継承です。

第2次安倍政権になって、グローバリストの海外メディアがアベ・バッシングをやめた最大の理由は、彼がこのグローバリスト路線を明確にしたからです。

親中派の台頭と保守分裂

経団連をはじめとする経済界もこの路線を歓迎し、軍事的な対中包囲網とは裏腹に経済的な対中依存を強めていきました。

このことは国内の親中派を勢いづかせ、かつて日中国交30周年を記念して、地元和歌山に江沢民の言葉を刻んだ石碑を建てようと運動(地元の反対で挫折)した、自民党内親中派の筆頭二階俊博幹事長や、日中友好を党是とする連立与党の公明党の影響力を強化させました。

この点について、「反グローバリスト」を標榜する保守論客は厳しい安倍批判を展開し、保守層が「親安倍」/「反安倍」で分裂する事態を招きました。

しかし国民の大半はそんなことには興味がなく、アベノミクスで景気が良くなり、求人倍率が上がったことに満足していたのです。

2020年の中国発の新型コロナウイルス感染症COVID-19の流行は、アベノミクスにも打撃を与えました。致命的だったのは、すでに武漢で感染が確認されていた1月の段階で、安倍首相が中国の春節(旧正月)に合わせて、中国人観光客を歓迎するメッセージを送ったことです。

水際での防疫に失敗した安倍首相は、自ら緊急事態宣言を出さざるを得なくなりました。これも党内親中派に配慮した結果、墓穴を掘ったわけです。

第2次安倍政権は、グローバリストと親中派を政権内に取り込み、記録的な長期政権を現出させました。しかし彼らは、いずれも日本の自主独立を望みません。「属国日本」のままカネ儲けに専念すればよいという発想です。よって憲法改正にも消極的で、安倍首相もこの最大の公約である「改憲」を、口にしなくなっていきました。

「安倍政治」を評価するにせよ、否定するにせよ、安倍晋三という存在の大きさは、彼が二度目の辞任を表明したあとで、多くの人が共有したでしょう。予測不可能となった近未来への漠然たる不安を感じた人が少なくなかったのです。
  茂木 誠(もぎ・まこと)プロフィール
作家、予備校講師、歴史系YouTuber。駿台予備学校、ネット配信のZEN Study(旧N予備校)で世界史担当。『世界史で学べ! 地政学』(祥伝社)、『「戦争と平和」の世界史』(TAC)、『教科書に書けないグローバリストの近現代史』(ビジネス社・共著)、『「リベラル」の正体』(WAC出版・共著)、『世界の今を読み解く政治思想マトリックス』(PHP)、『日本人が知らない!「文明の衝突」が生み出す世界史』(ビジネス社・共著)、『弱肉強食の現代史18バトル』(KADOKAWA)など著書多数。YouTubeもぎせかチャンネルは、登録者23万人。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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