Q:夫は1962年生まれ、私は1960年生まれです。夫は再雇用中、私はパートで年収100万円ほど。勤務先から「社会保険に加入できる」と言われました。このまま扶養のままでいいのでしょうか?
「私は1960年生まれの女性です。夫(1962年生まれ)は長年勤めた会社を再雇用で継続中です。私はパートで15年ほど勤務しており、年収は100万円前後。夫の扶養に入っています。勤務先から『社会保険に加入できる』と案内がありました。扶養のまま続けるのと、社会保険に加入するのとでは、どちらが得でしょうか?」(えみこさん)
年収100万円でアルバイト。社会保険に入った方がいい?(画像:PIXTA)
A:社会保険に加入すると手取りは減りますが、医療・年金・障害時の保障が充実します
短時間労働者(パート・アルバイト)にも、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用が広がっています。現在は、従業員51人以上の企業で週20時間以上働き、月の給与が8万8000円以上あるなどの条件を満たすと、社会保険に加入できるようになっています。えみこさんのように、パートで働く人も社会保険加入に該当する可能性があります。下記の条件で働いている人が対象になります。
①週の勤務が20時間以上(残業時間は原則含まず)
②月額の給与が8万8000円以上
③2カ月以上を超えて働く予定がある
④学生でない
また、2025年5月に、社会保険の適用拡大がおこなわれています。企業規模の要件については10年かけて縮小・撤廃され、月額8万8000円以上の賃金要件も法律の公布から3年以内で撤廃されます。
社会保険に加入すると給与から保険料が天引きされるため、手取り収入は減りますが、その分、医療や年金の保障が手厚くなります。
加入するメリットの1つは、病気やけがで休んだときに受け取れる「傷病手当金」などがあることです。これらは、業務外での病気やけがに対して通算して最長で1年6カ月間、給与の3分の2相当が支給される制度です。
また、年金面でも将来の老齢厚生年金額が増えます。さらに、障害を負ったときには障害厚生年金、万一のときには遺族厚生年金を受け取れるなど、公的な保障が広がります。
えみこさんが月額8万8000円の給与で社会保険に加入した場合、東京都の協会けんぽ(令和7年度保険料率)をもとにすると、厚生年金保険料は月8052円、健康保険料(40歳以上のため介護保険料を含む)は月5060円。あわせて月約1万3100円、年間では約15万7000円の負担になります。
一方で、厚生年金に2年間加入した場合、65歳以降にもらえる老齢厚生年金は年額でおよそ1万1000円増えます。短期間でも、将来の年金額を確実に増やせるのは大きなポイントです。
社会保険に加入すると、手取りは減りますが、病気やけがへの備えが充実し、老後の年金額も上乗せされます。民間の医療保険などに入らなくても安心できる面もあり、トータルで見ると「損」ではありません。ご主人の再雇用期間や家計全体を考慮しながら、今後の働き方を話し合ってみるとよいでしょう。
※専門家に取り上げてほしい質問がある人はこちらから応募するか、コメント欄への書き込みをお願いします。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)






