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「50代からでも年金は増やせる」って本当ですか? 受給額が少ない人が試したい3つの方法

50代からでも将来もらえる年金を増やすことは可能です。年金の受給額を試算する方法から具体的な年金の増やし方、そして見落としがちな遺族年金の注意点までを紹介します。※サムネイル画像:PIXTA

All About 編集部

老後の生活を支える公的年金。自分の受給額がいくらか把握していますか?※画像出典:PIXTA

老後の生活を支える公的年金。自分の受給額がいくらか把握していますか?※画像出典:PIXTA

老後の生活を支える「公的年金」。自分の受給額がいくらか把握していますか? 50代からでも、将来の年金を増やすための準備はできます。

ひとりで自分資産はつくれる 52歳からお金を貯める・増やす』(井戸美枝著)では、50代からでも間に合う、将来の年金を増やす具体的な方法についてお伝えしています。

本書から一部抜粋し、今回は「年金の試算方法」と「50代から受給額を増やす3つの方法」について紹介します。
<目次>

年金額がわからない場合は、自分で試算してみる

まだ50歳前で年金額がわからない場合は、自分で試算できます。

まず、自分が入っている年金を確認しましょう。日本の年金制度についておさらいすると、20歳以上の国民全員が加入する「国民年金」と、会社員や公務員などが加入する「厚生年金」の2種類があります。

自営業やフリーランス、専業主婦・主夫は国民年金のみ、会社員や公務員、条件を満たしたパートなどは、国民年金に厚生年金が上乗せされます。

年金額は、国民年金の場合、加入期間で決まり、20歳から60歳まで40年間(480カ月)加入すると満額の年83万1700円(2025年度)。加入期間が短いほど、年金額も減少します。

一方、厚生年金は現役時代の年収と加入期間で決まり、年収が高いほど、また加入期間が長いほど、年金額は多くなります。

年金額は、アプリの「公的年金シミュレーター」や日本年金機構のウェブサイト「ねんきんネット」でも調べられます。
自分の「公的年金」受給額を確認する(出典:『じぶん資産』)

自分の「公的年金」受給額を確認する(画像出典:『ひとりで自分資産はつくれる』)

年金額が少なくても「50代から増やせる」3つの方法

公的年金の受給額が少ない人は、3つの方法で増やすことができます。

1つめは、厚生年金に加入して働くこと。パートでも条件を満たせば加入できます。保険料の納付で手取り収入は減少しますが、扶養の範囲にこだわって働き控えるより、できるだけ働いて今の収入も将来の年金も増やしたほうがおトク。

ちなみに国民年金も、未加入期間がある人は65歳まで任意で加入できます。未加入期間が2年なら、保険料40万9490円(2025年度・2年前納の場合)を納めれば、年金額は年4万1600円アップ。

年金を増やす2つめの方法は、定年後も厚生年金に入って長く働くこと。年収180万円で5年働くと、年金額を年に約5万円増やせます。

3つめの方法は、受給開始年齢を繰り下げること。66歳から1カ月繰り下げるごとに年金額が0.7%増え、70歳受給なら42%増に。65歳以降も厚生年金に加入して働き、年金受給を繰り下げるとダブル効果が期待できます。

遺族年金に期待しすぎないで

夫婦で暮らしていても、最後まで一緒にはいられません。男女の平均寿命からいって、夫が先に亡くなる可能性も。「遺族年金があるから大丈夫」と安心するのは禁物です。

自営業の夫で年金が国民年金だけなら、18歳未満の子ども(※18歳未満の子とは、18歳になった年度の3月31日まで)がいない場合、遺族基礎年金はありません。会社員など厚生年金加入者なら子どもの有無や年齢にかかわらず遺族厚生年金はありますが、金額は夫の老齢厚生年金の75%です。

たとえば、夫婦の老齢年金が月29万円(夫・老齢厚生年金15万円+老齢基礎年金7万円、妻・老齢基礎年金7万円)の家庭で夫が亡くなった場合、年金額は月18万2500円(遺族厚生年金11万2500円+妻の老齢基礎年金7万円)まで減。

また、夫婦共働きの場合、遺族厚生年金は、夫婦の老齢厚生年金の差額分だけです。妻の老齢厚生年金のほうが多い場合は、遺族厚生年金はありません。自分のケースで計算しておきましょう。年金事務所でも教えてもらえます。

【Q&A】遺族年金カン違いあるある

【Q1】共働きだから、2人分の老齢厚生年金がもらえる?
→もらえません。夫の老齢厚生年金の75%が妻の老齢厚生年金より多い場合、その差額が遺族厚生年金になります。少ない場合、遺族厚生年金はありません。

【Q2】夫の老齢厚生年金がそのままもらえる?
→遺族厚生年金は夫の老齢厚生年金の75%。夫婦でいるときより、確実に年金額は減ると考えておきましょう。

【Q3】夫が亡くなったら翌月からすぐもらえますか?
→遺族年金は亡くなった月の翌月分から。ただし、手続きに約50日かかるため、実際に受け取れるのはそのあとになります。

【Q4】夫の年金は国民年金だけ。それでももらえるの?
→国民年金のみ加入の人は遺族基礎年金は、18歳未満の子がいる場合だけ。いない場合は、遺族基礎年金はありません。

【Q5】市役所へ行けば手続きできる?
→市役所で手続きできるのは、国民年金だけ。厚生年金の手続きは、年金事務所または街の年金相談センターで行います。
  井戸 美枝(いど みえ)プロフィール
ファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)、社会保険労務士。講演や執筆、テレビ・ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門に情報を発信。厚生労働省社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員などを歴任。国民年金基金連合会理事。「難しいことでもわかりやすく」をモットーに数々の雑誌や新聞に連載をもつ。
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