登場人物がよく食べているKOPIKOキャンディーって何?
劇中で主人公が疲れているときや、自分を落ち着かせるときなどに食べているKOPIKOキャンディー。 『ヴィンチェンツォ』『海街チャチャチャ』など、とにかくたくさんのドラマに登場しています。あのキャンディー、実は韓国製ではなく、インドネシア産のコーヒーキャンディー。成分にカフェインが含まれているため、眠気覚ましにいいといわれています。
ドラマでよく見かけるのは、韓国で国民的なキャンディーとして広く親しまれているから……という理由ではなく、PPL(Product Placement)、つまり間接的な広告商品だから。韓国のドラマは日本とは違い、放送中にCMがありません。その代わりに劇中の小道具として、スポンサーの商品を目立たせる方法で宣伝しているんです。
実は韓国の人の中にも、「あのキャンディーはなんなんだろう」「おいしいのかな……」と不思議に思っている人は少なくありません。今回この記事を書くにあたり、筆者の周りの友人・知人に、ドラマのようにオフィスや自宅でKOPIKOをよく食べるかどうか尋ねてみましたが、食べたことはあっても日常的には食べないという人がほとんどで、少し肩透かしをくらった気分でした。
しかし大手ECサイトの商品レビューの中には、「オフィスの必需品」といった内容のコメントも複数見受けられたので、眠気覚ましや気合を入れたい時などに食べている人も、実はたくさんいるのかもしれません。筆者は…… 数年前に銀行の窓口に置いてあったのを食べたのが最後だったような……。
上司がクレカを渡しておごることがある?
日本人が大きく違和感を覚えるシーンといえばこれではないでしょうか。上司が部下にクレジットカードを渡し、「これでおいしいものでも食べなさい」というあれです。確かに韓ドラでよく見かけるシーンの1つですね。自分のカードを他人に預けるのは、日本ではあまり考えられないことかもしれません。しかし韓国ではよくあること。決済された瞬間カードの持ち主のスマホに明細が届くようになっているので、不正利用がしにくいという事情もあり、親しい人同士なら心配なく使えるという信頼関係のもと成り立っている、といったところでしょうか。
ちなみに、家族間でカードを貸し借りして使うことも珍しくありません。例えば、子どもが親から借りたカードで塾の授業料を払ってくる、夫が妻の、妻が夫のカードで買い物するなんてこともよくあります。
「サインはどうするの?」と思う人もいるかもしれませんが、実際にはさっと横棒を引いたり、丸を書いたりするだけでも決済できてしまいます。手っ取り早く店の人が代わりにサインをすることもあるほど。本人確認はしないので貸し借りもできるというわけです。
ところで……劇中で上司が部下に渡すカードは、上司個人のカードかもしれませんが、法人カードという可能性もありそうです。もちろん何気ないドラマのワンシーンでは、そこまで細かい設定はされていないでしょうが……。
なぜフルネームで呼ぶの?
次の謎は、登場人物たちが互いにフルネームで呼び合っている点です。 韓国では同じ姓の人がとても多いので、 友達同士でもフルネームで呼ぶことはよくあります。韓国の学校のとあるクラスに行って、「キムさん!」と呼んだら、3分の1の生徒が振り向く、なんてこともあり得るほどです。区別のためだけでなく、怒っているときなどは感情を込めて相手をフルネームで呼ぶこともあります。 韓国の人の名前は、「姓一文字+名前二文字」というパターンが多いので、姓名合わせて呼ぶとリズム感がよく、印象に残りやすいですね。
ちなみに合格発表や当選発表のとき、個人情報保護のために名前の一部を*で表示しますが、三文字の人が多いため、ちょうど真ん中の文字を*で隠します。
お祝いでなぜトイレットペーパーをあげる?
お祝いをするときや、誰かの家を訪問するシーンなどで、登場人物がトイレットペーパーを持参していること、ありますよね。韓国では新居に引っ越した時、友人・知人を招いて家のお披露目パーティーを開いたりするのですが、お呼ばれした人の定番の手土産はトイレットペーパーなんです。これは、ロール状の紙がするするっと滑らかにほどけるように、相手の新生活や仕事が順調にいくように、という願いをこめているからです。また、日用品はいくらあってもありがたいもの、と考える人が多いので、もし新居に招待されて何をあげようか迷ったら、無難にトイレットペーパーを持参すればOK……。
とはいえ、これではベタすぎるため、最近ではディフューザー、おしゃれな洋菓子、タオルセットなどをプレゼントする人もいます。こんなときこそ自分のセンスの見せどころ、というわけですね。筆者も引っ越したとき、いろいろなものをいただきました。せっけんや基礎化粧品のセット、観葉植物などをプレゼントしてもらったこともあります。
初任給で「赤い下着」を両親にプレゼントするのはなぜ?
今回取り上げた不思議の中でも最大の謎はこれでしょう! 初任給をもらったとき、なぜ両親に赤い下着をプレゼントするのか。『キレイな男』『頑張って、ミスター・キム!』など、日本で放送されたドラマでも頻繁に描かれています。1980年代の韓国ドラマを見ると、就職したての主人公が親に下着をあげるシーンがよく出てきますが、年々その描写も減っているような気がします。とはいっても、2000年代以降のドラマでも時々登場するのは、やはり今でも残る慣習だからなのだと思います。
韓国で下着が普及し始めたのは1960年前後。当時、下着は今では考えられないほど高価なものでした。そのため、一人前になり自分で稼げるようになったら、両親に恩返しの意味で暖かい下着をプレゼントするようになったといわれています。
赤い色を選ぶ理由は、赤が「富」や「幸運」などを象徴する色だからという説と、当時の染色技術では赤が最も鮮やかで華やかだったからという説などがあります。染色の技術的な事情に、赤色が象徴するよいイメージを付け加え、下着メーカーが上手にマーケティングしたことで「初任給で赤い下着をプレゼント」、という慣習が生まれたのではないかともいわれています。
今では下着は特別高価なものではなくなり、韓国でも下着はそもそも自分で買うもの、と考えている人が大多数。恋人同士ならともかく、両親へのプレゼントに下着を選ぶ人は少なくなりました。それでも、理由はよく分からないけれど、「初任給で赤い下着をプレゼント」するものだと考えている若い人はまだまだいるようです。そんな背景がドラマにも反映されているのかもしれません。
蛇足ですが、ドラマに出てくる「赤い下着」で最も有名なシーンは、日本のドラマ『ハケンの品格』の韓国版『オフィスの女王』で、主演のキム・ヘスが通販番組で赤い下着姿を披露するシーンでしょう。両親に下着をプレゼントするシーンではありませんが、ドラマに出てくる赤い下着といえば、韓国では必ず話題に挙がる伝説的なシーンです。
韓国ドラマの不思議なシーンを5つ取り上げましたが、謎は解けたでしょうか? いろいろなドラマに登場するシーンばかりなので、次に見るドラマにも出てくるかもしれません。ぜひ一緒に見ている家族や友人に「これはね、こういうことなんだよ」と説明してあげてくださいね。
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