Q. 金の値段は誰がどのように決めているのですか?
【今回の質問】資産として持っている人もいる金ですが、高値が続いていると聞きました。金の値段は誰がどのように決めているのですか? また、値上がりし続けているのはなぜですか?
A. 金価格は複数の要因から上昇しています
【回答】まず、金は世界中で取引されています。特に金価格の動きに大きな影響を与えるのは、現物市場ではロンドン市場、先物市場ではニューヨーク市場で、この2つを二大市場と呼ぶこともあります。
具体的な金価格の値決めは、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)にて1日2回(現地時間午前10時30分と午後3時)行われています。金融機関による入札に基づき、電子入札システムにより透明性、公正性が保たれることで価格が決まります。
国際基準では、1トロイオンス当たりの価格が決定されます。1トロイオンスとは、約31.1035gで、金価格は米ドル建てで表記されます。
金価格は、複数の要因から上昇しています。例えば、世界情勢が不安定になればなるほど金価格は上昇する傾向にあります。
金は昔から「有事の金」といわれていますが、これは、戦争などにより情勢が不安定になると、いざという時に備えて金が買われるためです。昨今では、ロシアとウクライナによる紛争や、イスラエルとパレスチナの対立などが金価格を押し上げています。米国の関税問題も世界経済情勢を不安定にさせる一因となっていることから、金価格高止まりの要因となっていると考えられます。
次に、物価要因が挙げられます。世界を見渡せば、中長期的に物価が上昇しています。物価の上昇により手元にある紙幣で買える物の数量は目減りします。一方、金はインフレに強いとされており、物価の上昇に金価格上昇も連動する傾向があるため重宝されるのです。
3つ目に、通貨への不信感が強まると金は買われる傾向にあります。財政問題などにより通貨への不信感が生ずれば生ずるほど、実物資産である金へ逃避する可能性があるのです。このほか、中国政府など金購入を増やす国が増えていることも、金価格の押し上げに寄与しています。
また、金はあくまで現物資産のため、保有していても利息は付かないというデメリットがある半面、米国における利下げの兆候が見られると、相対的に見て利息の付かない金資産にメリットが生じ、金が買われ金価格が上昇するといったことも足元で生じているといえるかもしれません。
このように、金価格上昇にはさまざまな要因が考えられ、今後もこうした要因から金価格が大幅に下がることは考えにくいといえるのではないでしょうか。