そのためにも、日ごろからどんな言葉を相手に言っているのかを自覚することは大切。「日常的に言ってしまい、関係を壊しがちなひと言(=関係を終わらせるひと言)」のほか、「関係を修復するために、今後、意図して言った方がいいひと言(=関係を上向かせるひと言)」などを具体的に紹介します。
「関係を壊してしまう」夫婦が言いがちなこと
まず、はじめに知っておいていただきたいことがあります。基本的に関係を壊してしまう夫婦が日常で言いがちなことといえば、「相手への人格否定」と「未来への絶望」です。例えば、「あなたって本当にダメね」「あなたと一緒にいる意味を感じない」なんて、つい言ってしまっていませんか?多くの人が「パートナーは自分にとってよき理解者であってほしい」と願うので、人格を否定してくる相手とは「共に生きていく意味」を感じなくなってしまうもの。自分の心やプライドを傷つける相手のことは信頼できないし、関係が修復不可能になるケースは多いです。
さらに、「言霊」というように、言葉には現実に影響を与える力があります。あなたが二人の関係に対して絶望的なことばかりを言っていると、その言葉通りに関係が終わってしまうことは少なくありません。普段から口にする言葉には、十分に気を付ける必要があるのです。
逆に、「関係を上向かせるひと言」には、相手を人として尊重し、明るい未来への可能性を感じさせる力があります。
例えば、相手の意見を頭ごなしに否定するのではなく、「もう少し一緒に考えてみない?」とお願いしたり、「今後どうしたら、互いに楽しく過ごせるかな?」と言って、自分は関係を修復させて仲よくやっていきたいと思っていることをさりげなく伝えたりします。
夫婦のコミュニケーションがうまくいっていない人ほど理解しなくてはいけないことは、「“不満を伝える”のと“関係を壊す”のは違う」という点です。
この点を踏まえながら、関係を「完全に終わらせるひと言」と「上向かせるひと言」の例をいくつか挙げていきます。
日常的に言いがちな危険なフレーズ&言い換え例4つ
・終わらせるひと言:「もうあなたのことは信用できない」
・上向かせるひと言:「信頼したい気持ちはあるけど、こういうときは不安になる」
「信頼したい気持ちがある」ことをきちんと伝えた上で、直してもらいたいことを提案すると、相手の心に響きやすくなります。
・終わらせるひと言:「あなた、私(僕)の時間を全然考えてない!」
・上向かせるひと言:「あなたが忙しいのは分かるけど、私(僕)も少し時間がほしいな」
相手の状況への理解を見せた上で、自分の要望を伝えると、相手が受け入れやすくなります。
・終わらせるひと言:「そんなやり方ではダメ。もっとちゃんと考えてよ」
・上向かせるひと言:「こういう方法もあると思うんだけど、どう思う?」
「相手の考えを否定する」のではなく、「自分の案を提案する」ことで、うまく物事を進めた方が建設的です。
・終わらせるひと言:「あなたは全然私(僕)の気持ちを分かってない!」
・上向かせるひと言:「私(僕)はこう感じているんだけど、あなたはどう思う?」
「自分の気持ちを分かっていないことを怒る」のではなく、「きちんと思いを伝えた上で、相手がどう思うのかを聞く」方が得策です。
少し言い方を変えるだけでも、相手への印象はかなり変わります。トラブルが起こったときに、怒りの感情に任せて「あなたはダメだ」「あなたなんて価値がない」なんて、人格そのものを否定してしまうと、状況は悪化し、関係も壊れてしまう可能性が高まります。
前向きに解決できる方向に進むための提案をした方が建設的だし、二人で乗り越えられたときには、絆が一層深まることは多いでしょう。
関係修復したいときに効くフレーズとNG例4つ
今後、関係を修復させたいのであれば、これから紹介する「終わらせるひと言」を言っていないかを反省し、意図して「上向かせるひと言」を言うようにした方がいいでしょう。・終わらせるひと言:「どうせあなたは変わらないんでしょ?」
・上向かせるひと言:「あなたが頑張っているの、ちゃんと分かっているよ」
あくまでも「私はあなたの“よき理解者”である」というスタンスでいることが、互いの信頼を深めます。
・終わらせるひと言:「もうあなたには何も期待していない」
・上向かせるひと言:「ごめんね。私(僕)もちょっと意地を張っていた」
本当に期待していない人には、わざわざ「期待していない」なんてことは言いませんよね? 逆に、きちんと「自分が意地を張っていた」ことを伝え、反省を見せることで、関係が改善していくことは多いです。
本当に関係を終わらせたくないのであれば、素直になることは大切です。
・終わらせるひと言:「あなたと過ごした時間は無駄だった」
・上向かせるひと言:「あのとき助けてくれて、ありがとう」
これまでの二人の時間を否定するのは、絶対にNG。むしろ、過去のよい記憶を呼び戻すことで、互いの心が温まりやすいもの。日ごろから、心の奥にある「愛」や「感謝」を言葉にすることを心がけるといいでしょう。
・終わらせるひと言:「あなたといると、疲れる」
・上向かせるひと言:「最近すれ違っていたけど、本当はもっと一緒に笑い合いたい」
「未来への希望」の思いをきちんと伝えることが大切。人は「自分が希望したり、想像したりしている方向」に向かって、(無意識に)行動する傾向があります。だから、できるだけ明るい未来につながるようなことを想像し、言葉にした方がいいのです。
言葉だけでなく、“思い”も見直そう!
言葉は暴力になり得ます。そのため、相手を傷つけ、関係を壊してしまうこともあります。だから、単に怒りに任せて傷つけることを言ったり、後先考えずに思ったことを口にしたりするのは、大人として避けたいことです。結局、内面の在り方が言葉に出てくることが多いもの。だから、ただ言葉だけを直せばいいのかというと、そんな単純なことではありません。
まずは「今、パートナーが傍にいるのは当たり前ではないこと」に気付くことが大事。日ごろから感謝をし、相手への愛情と理解を持って、「これからも一緒に人生を歩んでいこう」と心から思うからこそ、相手の心に響く言葉が出るのです。言葉だけでなく思いも改善して、関係を修復していきたいものですね。