そこで、今回は限られた時間の中で、多忙な医師がこの制度を活用するためのコツや注意点をご紹介します。
寄付する自治体の数はある程度絞り込むのがベター
ふるさと納税の自己負担額を2000円の自己負担のみですませるためには、寄付上限額の範囲内で寄付金額と寄付先を決めることになります。どこにいくら寄付するかは寄付者の自由で、全額を1自治体に集中しても、複数の自治体に分けてもかまいません。さまざまな返礼品を見るとあれもこれも……と考えがちです。しかし、寄付先をあまり細かく分けてしまうと、そのつど申し込みや決済が必要になるうえ、翌年に税金の控除を申告する際の手間(確定申告の記入や申請書送付の件数)も増えます。例えば、寄付上限額が25万円の場合、全額1カ所なら手続きは1回ですみますが、5万円ずつ5カ所に分けると5回に増え、ワンストップ特例の申請書も5通分、それぞれ5カ所に返送する必要があります。しかも、6カ所以上になるとそもそもこの特例を使えません。特に慣れていない初心者が期限内に寄付を完了したい場合は、寄付先を1~3件程度に絞ったほうが賢明です。
時期を分けて送られる「定期便」がおすすめ
さらに、自治体側もより多くの寄付金を集めようと、高額の返礼品を充実させています。低い金額では申し込めないレアな返礼品が選べるほか、同じ品物でも寄付金額が高くなるほどお得になるように個数や重量を設定しているケースが目立ちます。例えば、寄付金額1万円なら300gのところ、5万円なら2kgといった具合です。したがって、まずは上限額に近い「30万円」「20万円」といった、まとまった金額ゾーンから検索するのが効率的です。
またフリーワードで検索できる場合は、「幻の」「希少品」「訳あり」といったキーワードで探してみてもいいでしょう。 そして、上限額に余裕がある方にこそおすすめしたいのが、一度にではなく、毎月、あるいは年2~6回など、時期を分けて届けてくれる「定期便」です。生鮮食品は一度に届くと冷蔵庫や冷凍庫がいっぱいになり、食べ切れないケースも出てきます。お米も精米してから時間がたつと食味に影響します。
その点、時期を分けて送ってもらえれば、新鮮なうちに無駄なく食べ切れます。特に魚やフルーツは、一番おいしい旬の時期に食べ頃を見計らって産地から直送してくれるので、鮮度も味も格別です。
普段から利用しているサイト・サービスの「ふるさと納税」のサイトを活用
ふるさと納税が申し込めるサイトや窓口は、ここ数年でかなり増えました。「寄付先を選んで寄付をする」というベースはどこも同じですが、取り扱う返礼品の種類や自治体の数、決済手段などに違いがあるほか、それぞれ得意分野があったり、サイト限定の返礼品を用意したりしています。普段から利用している通販サイトやカード会社でキャンペーンを行っていれば、それを利用して申し込むという方法もあるでしょう。
時間がなければ返礼品を後から選べるタイプも
最後に、ふるさと納税を始める方に特に注意してもらいたい点を挙げておきます。ふるさと納税は選んだ自治体に寄付をすることで、納める税金の控除を受けられる制度です。そのため、自分で税金を納めていない専業主婦や子どもは利用できません。逆に、共働きの夫婦の場合は、夫も妻もそれぞれの収入に応じた上限額のもとで利用できます。
ちなみに、使用するクレジットカードは本人名義のものに限られます。寄付した金額は通常のショッピングと同様、クレジットカードやキャッシュレス決済などによりいったん引き落とされます。翌年、確定申告やワンストップ特例の申請書返送を行うことで税金が控除されるので、くれぐれもこの手続きをお忘れなく!
ふるさと納税の上限額の枠はその年の12月31日23時59分までに利用しないと消滅してしまいます。期限ギリギリになると、申し込みサイトがつながりにくくなったり、寄付完了までに時間がかかったりする可能性があるので、時間に余裕を持って進めましょう。
9月末や12月末などの期限までに間に合わせるには、即時決済が可能なクレジットカード決済、キャッシュレス決済などが確実です。
なお、期限までに返礼品を決められない場合は、寄付だけ先にすませて返礼品は後からゆっくり選べるタイプ(「あとからセレクト」「カタログギフト」など)を利用するといいでしょう。 今年もあと数カ月。できるだけ早めに着手して今年の枠を確実に使い切り、「ふるさと納税生活」を楽しみましょう。
執筆:塩田真美(しおたまみ)
出版社の女性誌・マネー雑誌の編集部を経て、フリーの編集者・ライターとして活動。主に女性誌や広報誌、金融関連サイト、書籍などで、人物インタビューのほか、NISA(少額投資非課税制度)、株主優待、ふるさと納税、節約術などの記事を手掛ける。