普通預金で資産を守りたい!(画像:PIXTA)
今回は、「john1」さん(64歳・自営業)。長年、安全志向で普通預金を中心に資産を守ってきましたが、NISA制度をきっかけに社債などのリスク資産の活用にも目を向け始めました。
■プロフィール
ペンネーム:john1さん
年齢:64歳
性別:男性
家族構成:本人、妻(60歳)
居住:持ち家(戸建て)
職業:自営業
世帯年収:100万円
■資産と運用状況
普通預金:2700万円(金利0.2%)
社債:200万円
投資信託:70万円
毎月の積立:投資信託3万円(NISAの積立)
デフレ時代は安全志向。銀行預金で資産を守る
john1さんが預貯金を始めたのは1984年、22歳のとき。就職と同時に給与振込口座として三菱UFJ銀行を利用し始め、そのまま現在まで預け続けています。選んだ理由は「自宅の近くにあり、潰れる心配のない大きな銀行だったから」これまでデフレ基調が続いていたことや、妻が株式投資に消極的だったこともあり、安全志向で普通預金に資産を置いてきました。住宅ローンもあり、投資に大きく踏み出すタイミングはなかったといいます。
NISAで少しずつリスク資産へ
総資産は約2970万円。そのうち2700万円を普通預金で保有し、金利0.2%の利息がつくようになったことに安心感を覚えています。「ゼロ金利時代には利息がほとんどつかず物足りなさを感じたが、最近は少し利息が戻ってきてうれしい」と話します。一方で、これからは老後資金を意識し、新NISAを利用して投資信託を月3万円積み立てています。社債200万円も保有しており、「株や投資信託を専門家に聞いて購入するつもりはない。自分で勉強し、自分で選べるようになりたい」と語ります。
「社債の情報は証券会社を通じて得ているが、これからも低リスクで選べる商品を探したい」と、少しずつ守りから攻めへの意識が芽生えています。
専門家への質問
そこで専門家に投げ掛けたいのは、次のような問いです。「専門家に銘柄を聞いて購入するつもりはありません。自分で勉強しながら選べるようになりたいと思います。ただ、社債のような債券については証券会社の情報を参考にしているので、社債投資についてアドバイスがほしいです」
今回の「john1」さんからの質問に、ファイナンシャルプランナーの舟本美子さんが回答します!
ファイナンシャルプランナーの舟本美子さんからのアドバイス
社債(企業が資金調達のために発行する債券)は、定期預金よりも高い金利が設定されることが多く、安定した利息収入を得られる点が魅力です。また、企業が破綻しない限りは、満期時に元本が戻ってくるため、比較的安全性の高い投資商品と言えます。ただし、安心感がある一方で、社債にもいくつかの注意点があります。ここでは、代表的なリスクとその対応策を整理します。
社債のリスクと対応策って何?
社債のリスクとしては、以下の3つが挙げられます。●信用リスク
企業の経営が悪化して倒産した場合、社債の元本や利息が戻らないリスクのことをいいます。「高利回り」をうたう社債ほど、信用リスクが高くなる傾向にあります。
対応策としては、信用力の高い企業を選ぶこと。発行会社の財務諸表、事業内容、資金調達の安定性をチェックすることが大切です。
●価格変動リスク
社債は満期前に中途換金できますが、市場金利や景気の変動によって市場価格が上下する価格変動リスクあります。そのため、途中で売却すると購入時よりも安くなる場合があります。
対応策としては、満期まで保有するとよいでしょう。もし、途中で現金化する可能性がある場合は、それにあわせて短期~中期(3~5年程度)の社債を選ぶようにしましょう。
●社債購入にはまとまった資金が必要
社債は一般的に最低購入額が100万円前後と設定されており、少額からコツコツ投資するのにはやや不向きです。
社債のリスクへの対応策としては、社債への投資は5~10%になど投資比率をあらかじめ決めておくとよいでしょう。john1さんの場合、総資産が2970万円なので、社債への投資は5~10%(約130万~270万円程度)にとどめておくのが安心です。
john1さんのように、「専門家まかせにせず、自分で勉強しながら判断したい」という姿勢は、資産形成を続けていくうえで大きな強みになります。これからも知識を深めながら、ご自身の納得感を大切に選んでいってください。この探究心と冷静な判断力が、きっとjohn1さんの将来の安心につながっていくはずです。
教えてくれたのは……
舟本 美子さん
会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。保護猫たちと暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。
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※記事の内容はあくまで個人の体験談および専門家の一般的な見解であり、特定の金融商品や投資手法を推奨するものではありません。
※金融商品には元本割れや金利変動などのリスクがあり、将来の成果を保証するものではありません。最終的な判断は必ずご自身の責任で行ってください。






