日本メーカー「asics」の躍進
連日熱戦が続いていた東京2025世界陸上ですが、9月15日早朝には男子マラソンが行われました。気温30℃近くで湿度も高い中、日本代表では近藤亮太選手が最後まで先頭集団に食らいつき、見事11位に入る素晴らしい走りを見せてくれました。そして優勝争いは、タンザニアのシンブ選手とドイツのペトロス選手の、最後までどちらが勝つか分からないすさまじいラストスパート合戦の末に、シンブ選手に軍配が上がるというドラマチックな結果となりました。
実はこうした熱いレースの裏で、激しい“シューズメーカーの争い”もありました。
2019年7月にNIKEが販売した「ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%」により、マラソンや箱根駅伝において“厚底シューズ”が席巻し、現在ではほぼ全てのマラソントップランナーが厚底シューズを履いています。

厚底シューズ旋風を巻き起こした「ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%」※画像:NIKE 公式Webサイト
【上位入賞者が履いていた厚底シューズ】
1位:シンブ(タンザニア)/adidas「ADIOS PRO EVO 2」
2位:ペトロス(ドイツ)/PUMA「FAST-R NITRO ELITE 2」
○3位:アウアニ(イタリア)/asics「METASPEED RAY」※最新モデル
○4位:アルマヤ(イスラエル)/asics「METASPEED」
5位:チェランガット(ウガンダ)/adidas「ADIOS PRO EVO 1」
6位:チャッピネーリ(イタリア)/NIKE「ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%4」
○7位:アヤレ(イスラエル)/asics「METASPEED」
8位:アマレ(エリトリア)/NIKE「ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%4」
※敬称略、着用シューズはいずれも筆者の目視による判定
日本勢最高位の11位の近藤選手や、女子マラソン7位入賞の小林香菜選手もasicsの赤い厚底シューズ「METASPEED」を履いて走っていました。
そのほか全体的にも、asicsの厚底シューズを着用した選手が多く見られたため、上位入賞者のシェア割合も踏まえると、ついに「asicsがNIKEを打倒した」と言ってもいいのではないかと、筆者は考えます。
また同時にこれは、一時は箱根駅伝で着用者“ゼロ”になるなど、危機的状況に陥っていたasicsの“逆転劇”でもあると言えるでしょう。
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