暮らしの法律

【世界陸上】厚底特許シューズでNIKEを打倒!? マラソンで「asics」が“ゼロ”から逆襲できた理由

【“特許”という視点から見る世界陸上 #3】東京2025世界陸上の男子マラソンは、最後まで結果が分からないほど激しいレースとなりましたが、その裏側で各シューズメーカーの激しい戦いがあり、日本メーカーasicsが躍進しました。※画像:amanaimages(画像はイメージ)

藤枝 秀幸

藤枝 秀幸

弁理士 ガイド

弁理士・行政書士。IT会社等でのプログラマ・SEとしてのシステム開発等を経て、2009年に当事務所(現:藤枝知財法務事務所)を開業。現在はIT分野やエンタメ分野のクライアント様を中心に契約書業務や知的財産業務を日々行わせて頂いております。

...続きを読む
34年ぶりに東京で開催された2025世界陸上。選手らの活躍の裏に「特許技術」の影響が!? ※画像:amanaimages(画像はイメージ)

34年ぶりに東京で開催された2025世界陸上。選手らの活躍の裏に「特許技術」の影響が!? ※画像:amanaimages(画像はイメージ)

連日熱戦が繰り広げられた東京2025世界陸上。実は選手の活躍の裏に「特許技術」が影響していたことは、あまり知られていないかもしれません。今回は9月15日に行われた「男子マラソン」にフォーカス。自身もフルマラソンを走るなど大の陸上好きである弁理士の筆者が、日本メーカーが躍進している「最新の厚底シューズ事情」について解説します。

日本メーカー「asics」の躍進

連日熱戦が続いていた東京2025世界陸上ですが、9月15日早朝には男子マラソンが行われました。

気温30℃近くで湿度も高い中、日本代表では近藤亮太選手が最後まで先頭集団に食らいつき、見事11位に入る素晴らしい走りを見せてくれました。そして優勝争いは、タンザニアのシンブ選手とドイツのペトロス選手の、最後までどちらが勝つか分からないすさまじいラストスパート合戦の末に、シンブ選手に軍配が上がるというドラマチックな結果となりました。

実はこうした熱いレースの裏で、激しい“シューズメーカーの争い”もありました。

2019年7月にNIKEが販売した「ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%」により、マラソンや箱根駅伝において“厚底シューズ”が席巻し、現在ではほぼ全てのマラソントップランナーが厚底シューズを履いています。
厚底シューズ旋風を巻き起こした「ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%」※画像:NIKE 公式Webサイト

厚底シューズ旋風を巻き起こした「ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%」※画像:NIKE 公式Webサイト

今回の世界陸上男子マラソンでも、どの選手も厚底シューズを履いて走っていましたが、その中でも日本メーカー「asics」の赤い厚底シューズがとりわけ目立っていました。上位入賞者におけるシェアは、asicsの厚底シューズがNo.1でした。

【上位入賞者が履いていた厚底シューズ】
1位:シンブ(タンザニア)/adidas「ADIOS PRO EVO 2」
2位:ペトロス(ドイツ)/PUMA「FAST-R NITRO ELITE 2」
○3位:アウアニ(イタリア)asics「METASPEED RAY」※最新モデル
○4位:アルマヤ(イスラエル)asics「METASPEED」
5位:チェランガット(ウガンダ)/adidas「ADIOS PRO EVO 1」
6位:チャッピネーリ(イタリア)/NIKE「ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%4」
○7位:アヤレ(イスラエル)asics「METASPEED」
8位:アマレ(エリトリア)/NIKE「ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%4」
※敬称略、着用シューズはいずれも筆者の目視による判定

日本勢最高位の11位の近藤選手や、女子マラソン7位入賞の小林香菜選手もasicsの赤い厚底シューズ「METASPEED」を履いて走っていました。

そのほか全体的にも、asicsの厚底シューズを着用した選手が多く見られたため、上位入賞者のシェア割合も踏まえると、ついに「asicsがNIKEを打倒した」と言ってもいいのではないかと、筆者は考えます。

また同時にこれは、一時は箱根駅伝で着用者“ゼロ”になるなど、危機的状況に陥っていたasicsの“逆転劇”でもあると言えるでしょう。

>次ページ:箱根駅伝で着用者“ゼロ”からの逆襲
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 次のページへ

あわせて読みたい

カテゴリー一覧

All Aboutサービス・メディア

All About公式SNS
日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
公式SNS一覧
© All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます