名古屋の観光・旅行

まるで迷路「名古屋駅」が変化している!電車も地下街も多くて分かりにくい→「脱・迷駅」への取り組み

名古屋の玄関口、名古屋駅(名駅)。メイエキの読み方に引っかけて「迷駅」とも称される。多くの公共交通機関が乗り入れ、地下街も複雑に交錯するまさに迷宮。脱・迷駅に向けての取り組みと、迷わない方法を紹介する。※画像:筆者撮影

大竹 敏之

大竹 敏之

名古屋 ガイド

名古屋めしと中日ドラゴンズをこよなく愛する名古屋在住のフリーライター。雑誌、新聞、Webなどに名古屋情報を発信。著書は『名古屋の喫茶店完全版』『名古屋の酒場』『なごやじまん』など。コンクリート仏師・浅野祥雲の研究をライフワークとし作品の修復ボランティア活動も主宰する

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名古屋駅、名駅、迷駅

名古屋の玄関口、名古屋駅。多くの交通機関が乗り入れ、駅前には高層ビルが建ち並ぶ ※画像:筆者撮影

名古屋の玄関口、名古屋駅。JRや私鉄、地下鉄、市バス、高速バスなど数々の公共交通機関が乗り入れ、1日平均およそ100万人が利用します。地元の人は「名駅」(めいえき)と呼びますが、これに引っかけて「迷駅」(めいえき)とも称されます。多くの路線や交通網が集まると同時に、地下街が7つも交錯する複雑さはあたかも迷宮のごとし。初めての旅行者はもちろんのこと、地元の人ですら右往左往してしまうことが珍しくありません。

鉄道も地下街も多くて複雑なラビリンス

名古屋駅、名駅、迷駅

複雑な名古屋駅の構内図(2021年12月時点) ※画像:ジョルダン (C)JorudanCo.,Ltd.

迷いやすい理由の1つが、交通事業者が多いこと。鉄道だけでも9路線、他に路線バス、高速バス、観光周遊バスなどが乗り入れます。市営地下鉄は東山線、桜通線の2路線があり、フロアが分かれているため意外や複雑。

名鉄名古屋駅にいたっては3面2線しかないホームに、行き先の異なる4路線の列車が次々と入ってくるという全国でも類を見ない構造と運営で、うっかり乗り間違えてしまったら目的地とはまったくの別方向へ行ってしまう、なんて悲劇も。このように難易度の高い構造の割には構内の案内が十分とはいえず、すいすいと乗り替えたり使いこなしたりするのは至難の業です。
 
「迷駅」と呼ばれるもう1つの理由は地下街の多さ。とりわけ表玄関に当たる東側には「サンロード」「ミヤコ地下街キタチカ」「ダイナード」「ユニモール」「ゲートウォーク」と5つの地下街があり、縦横無尽に交錯するのに加えてカーブしている通りもあるため、方向感覚が怪しくなってしまうのです。
名古屋駅、名駅、迷駅、サンロード

名古屋は地下街が多いことでも有名で、その大半は名古屋駅に集中する。写真は日本最古の本格地下街とも称される1957(昭和32)年3月開業のサンロード。写真のように斜めに交錯する通路が多い ※画像:筆者撮影

床サインの設置で地下鉄からの乗り換えが分かりやすく

「迷駅解消」は名古屋にとって積年の課題。名古屋市営地下鉄は、今年7月に解決策として名古屋駅の改札周辺に大きな「床サイン」を設置しました。
名古屋駅、名駅、迷駅、床サイン

2025年7月に地下鉄名古屋駅の改札周辺に設置された床サイン ※画像:筆者撮影

「名古屋駅は複数の鉄道が乗り入れているため、地下鉄から乗り換える際、どちらへ進むかで迷う方が多い。そこで『新幹線=青』『JR線=オレンジ』『あおなみ線=水色』『名鉄線=赤』『近鉄線=黄色』と色分けした床サインを、改札を出た箇所ごとに設置し、スムーズに誘導するようにしました」と名古屋市交通局担当者。

床サインは最大横4m×縦2.33m。ピクトグラムとカラフルな色分けですぐに目に飛び込んできます。
 
改札を出た後の1歩目がスムーズになるので、改札前のお客さまの滞留が減りました。何よりお客さまから各方面への行き方を尋ねられる回数が大幅に減少しました」
 
地下鉄を降りた後の誘導だけでなく、地下鉄東山線ホームには、地下鉄に乗る際の並び方を案内する床サインも設置。3列乗車を促すもので、ホームの混雑を軽減し地下鉄移動をスムーズにしてくれます。
名駅,迷駅,床サイン

地下鉄東山線ホームにも、3列乗車へ誘導する大きな床サインを設置 ※画像:筆者撮影

「スーパーターミナル・ナゴヤ」に向けた計画が目白押し

今後も、迷駅解消のために数々の再整備計画が控えています。名古屋鉄道は名鉄名古屋駅の4線化を発表。2040年代前半には、中部国際空港への空港アクセスホームも設置します。2026年2月には名鉄百貨店本店が閉店し、商業施設やホテル、オフィスが入居するターミナルビルを2033年以降の開業を目指して建設。駅も含めた再開発が本格的に始まります。
名古屋駅、名駅、迷駅

西側駅前広場(リニア中央新幹線開業時の姿) ※画像:「名古屋駅周辺まちづくりの現在の状況」(名古屋市 2025年4月)

名古屋市による「名古屋駅駅前広場の再整備プラン」はリニア中央新幹線の開業に向けて、名古屋駅および周辺を再整備し、「スーパーターミナル・ナゴヤ」を構築しようというもの。リニア開業は工事の遅れなどによって当初計画の2027年から大幅に後ろ倒しになってしまいましたが、再整備の計画は継続して進められています。
名駅,迷駅、ターミナルスクエア

「ターミナルスクエア」を名鉄側から中央コンコース前方向を臨むイメージ図 ※画像:「名古屋駅駅前広場の再整備プラン 中間とりまとめ」

市の再整備プランで最も特徴的なのが東側エリアの「ターミナルスクエア」です。現在のタクシー・一般車スペースを分離配置して、ロータリー交差点がある場所にまで広場空間をつくり、現在は地下や地上に分散している公共交通機関の乗り換えを分かりやすくします。完成はまだ先ですが、実現すれば駅内での移動や乗り換え、さらには町中への周遊もスムーズになることが期待できます。

さらには名古屋駅と、名古屋駅南側の「ささしまライブ24地区・名駅南地区」を結ぶ約300mの地下通路の整備が、2032年度完成に向けて進められる予定となっています。

今、迷いたくない人向け「名駅簡単ガイド」

「脱・迷駅」化は今後どんどん進んでいきそうそうです。とはいえ計画が一通り完了するのはまだ先のこと。とりあえず現状でもできるだけ迷うのは避けたいところです。各路線などの詳細な攻略法はさまざまなサイトで紹介されているのでそちらを参考にしていただくとして、ここでは主要交通機関を利用する際に便利な出口と待ち合わせ場所を挙げておきます。

【桜通口】
・JR在来線
・地下鉄東山線・桜通線
・路線バス、なごや観光ルートバスメーグル(名古屋駅バスターミナル)
★待ち合わせ場所/金の時計
名古屋駅、名駅、迷駅

表玄関ともいうべき東側の桜通口。名古屋城や繁華街の栄など市内主要エリアへの移動はこちらから ※画像:筆者撮影

名古屋駅、名駅、迷駅、金時計

桜通口の待ち合わせスポットはJR名古屋駅中央コンコースの金の時計。非常に混雑するので、向かい側のエスカレーター横などで待ち合わせるのもおすすめ ※画像:筆者撮影

【広小路口】
・JR在来線
・名鉄線
・近鉄線
・高速バス、空港バス、基幹バス(名鉄バスセンター)
★待ち合わせ場所/ナナちゃん人形
名古屋駅、名駅、迷駅

広小路口は名鉄百貨店の後ろに当たるのでちょっと分かりにくいが、名古屋グルメが豊富な「名古屋うまいもん通り」などがあり、慣れれば使い勝手がいい ※画像:筆者撮影

名古屋駅、名駅、迷駅、ナナちゃん人形

名鉄百貨店メンズ館前の巨大マネキン、ナナちゃん人形。ほぼ1週間サイクルでさまざまな衣装に着せ替えられるので、待っている間も楽しい。JR名古屋駅広小路口からは徒歩約3分と少し距離があるので注意。また2026年の名鉄の再開発計画では、現在の居場所は工事エリアに入り、去就は2025年8月時点では未定 ※画像:筆者撮影

【太閤通口】
・新幹線
・あおなみ線
・地下鉄桜通線
・高速バス(名古屋駅ハイウェイバスのりば)
※待ち合わせ場所/銀の時計
名古屋駅、名駅、迷駅、エスカ

JR名古屋駅太閤通口。新幹線改札のすぐ横で旅行者の利用は多い。地下街のエスカにも直接つながる。エスカは2本の通路が並行して通るシンプルな構造かつ名古屋めしの人気店も目白押しで、観光客にとっては非常に便利 ※画像:筆者撮影

名古屋駅、名駅、迷駅、銀の時計

太閤通口の内側にある銀の時計。新幹線改札の北口・南口の真ん中にあり非常に分かりやすい。ただし桜通口の「金の時計」と間違えるのは「名古屋あるある」なので、金か銀のどちらか事前にしっかり確認を ※画像:筆者撮影

以上を参考にスムーズな乗り換え、移動、そして名古屋観光をお楽しみください。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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