Q:昭和41年3月生まれの女性です。特別支給の老齢厚生年金の支給を受けた場合、年金の繰り下げはできる?
「昭和41年3月生まれの女性です。64歳から特別支給の老齢厚生年金がもらえる予定です。特別支給の老齢厚生年金の支給を受けた場合、年金の繰り下げはできるのでしょうか?」(匿名希望)
65歳からの年金は繰り下げできる?(画像:PIXTA)
A:特別支給の老齢厚生年金をもらっても、65歳からの老齢年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)を繰り下げできます
老齢年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)は原則65歳から受け取りますが、生年や1年以上厚生年金に加入しているなどの条件を満たせば65歳前に「特別支給の老齢厚生年金」を受け取れます。昭和41年3月生まれの女性は、64歳から特別支給の老齢厚生年金がもらえます。この特別支給の老齢厚生年金は65歳になると支給が終了します。65歳からは老齢基礎年金と老齢厚生年金が支給されます。
繰り下げ受給とは、本来65歳から受け取れる年金を66歳以降75歳まで(昭和27年4月1日以前生まれの方の繰り下げの上限年齢は70歳まで)繰り下げることで、受給額を増やせる制度です。1カ月遅らせるごとに0.7%増額します。最大84%増額(75歳まで繰り下げた場合)し、増額は一生涯続きます。
ここで注意すべき点は、繰り下げできるのは65歳以降の老齢基礎年金と老齢厚生年金のみであり、特別支給の老齢厚生年金は繰り下げの対象外ということです。
特別支給の老齢厚生年金をもらっても、老齢基礎年金も老齢厚生年金も繰り下げできます。
相談者が64歳から特別支給の老齢厚生年金をもらい、65歳になったら年金の繰り下げをする場合、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方とも繰り下げできますし、片方だけ繰り下げすることもできます。
繰り下げするときの注意点として、老齢厚生年金を繰り下げすると、加給年金を受給できる要件を満たしていた場合は、加給年金は支給されません。加給年金は老齢厚生年金が支給されるときに上乗せされる年金になるからです。
64歳で特別支給の老齢厚生年金の請求手続きをした人は、65歳になる誕生月の初め頃(1日生まれの方は前月の初め頃)に、日本年金機構本部から「年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)」が日本年金機構から届きます。
老齢基礎年金と老齢厚生年金両方とも繰り下げを希望する場合は、「年金請求書」を提出しなければ、老齢基礎年金と老齢厚生年金両方を繰り下げすることになります。
老齢基礎年金、老齢厚生年金どちらか片方のみ繰り下げを希望する場合は、「老齢基礎年金のみ繰下げ希望」「老齢厚生年金のみ繰下げ希望」の欄を○で囲み、年金事務所に提出すると、片方のみ繰り下げできます。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)