長年セックスレス問題に取り組み、『女性用風俗 [超入門]』(アイデア出版)、コミック原作『妻で母ですが、女性風俗にハマりました』(全2巻・KADOKAWA)を手掛けた筆者が、3回にわたって女風のメリット、デメリットについて詳しく解説してきた本記事。今回は、「悪質セラピスト」によるトラブル例をご紹介します。
<目次>
ななこさん(仮名・40代)の場合
ななこさんは保険会社に勤める夫と高校生の一人息子との3人暮らし。夫は仕事柄、3、4年おきに転勤がありますが、一人息子は私立大学付属の中高一貫校に入学したために転校はしたくないという事情があり、ずっと単身赴任を続けていました。「夫が単身赴任先から帰ってくるのは2、3カ月に一度程度。こちらから赴任先を訪問するのは、息子の夏休みか冬休みぐらい。向こうに行っても夫の暮らす部屋には来客用の寝具はないので、私と息子はホテル泊です。夫婦仲が悪いわけではないですが、これだけ長い間離れていると、もう寂しいという感覚はなくなりました。今ではキスだけでなく、もちろんエッチもないですが、特に不満はないです」
そんなななこさんでしたが、女子大時代の友人たちと集まった際、女性用風俗の話題に遭遇したそうです。
「そのとき集まった友人6人が、全員セックスレスだったんです。そのうちの一人のA子が、『このまま一生、エッチな快楽を味わうことなしには死ねない』と、半年前から風俗を定期的に利用している、と爆弾発言をしました。
居合わせた私たちは『えええー!』と興味津々。根掘り葉掘りA子を質問攻めにしました。A子の『マジで人生が変わった』と断言する様子を見て、『私も風俗を使ってみようかな』と、そのとき初めて女風に興味を持ちました」
その後、ななこさんは3カ月ほどかけて、ネット上のさまざまな女風の情報を吟味し、この人と見込んだセラピストを予約し、初めての施術を迎えました。
初めての施術でリピ確定
「予約の1週間ぐらい前から、アンダーヘアの処理をどうするか、どんな下着にするかなど、いろいろ考えて緊張していたのですが、いざホテルの部屋でセラピストと会って話をすると、俺様系の夫と違ってとにかく穏やか。物言いもやさしく、話が弾んでしまいました。その分、施術時間が短くなってしまったのですが、『ななこさんとお話するのが楽しすぎて、施術時間がなくなったのは僕のせいだから、今回は追加料金なしで延長しておきますね。その代わりまた指名してください』と無料で延長してくれたんです。
施術は、恥ずかしいやら、懐かしいやら、複雑な気持ちで、あっという間。結果は、「気持ちがよかったので、リピしたい」という感じでした。その場で次回の日程を決めて、2コマ分のロングの予約を入れました」
二度目に会ったセラピストさんは、また優しくアロママッサージをしてくれて、初回よりエッチな部位にも進出。ななこさんの性的な快感も蘇りました。その後、「この後の予定がなかったら、ごはんに行きませんか? 誰にも会わない個室焼肉屋を知っているのでそこなら安心でしょ」と誘われたそうです。
ななこさんは少し迷いましたが、これに応じ、二人分で8万円を超える料金をカードで支払いました。それでも「私は特別扱いされている」と幸せだったそうです。
セラピストから直接連絡が
そこで個人的な連絡先を交換したななこさん。直接彼から連絡が来ることが増えました。ときには、「今週の木曜日、13時から15時で急にキャンセルが出たから会わない?」というような、本来ではルール違反である店を通さない予約の誘いも。
「今月、店のキャンペーンがあって、僕は予約の数が足りなくてやばいんだよね。予約入れてもらえないかな」
「ウチのお店は前払い制度があって、先に50万を入れてもらうと、52万円分使えてお得なんだよ。これを使おうよ」
といった、営業行為もありました。
気づけば逃げられなくなっていた
さすがに前金は入れませんでしたが、ななこさんは月に3回も予約させられるはめに。彼からの連絡はお金お金お金……。ホテル代と施術代とルームサービスのお酒代。かなりの金額になっていましたが、感覚がまひしていたそうです。「よく、ホストに貢ぐ女性の話を聞いて『バカだな』と思っていたのですが、気づけば私が同じような立場になっていました。でも、彼にはすでに本名や連絡先なども明かしていたし、調子に乗って二人のキス写真なども撮影していたので、逃げられなくなっていました。『断わられたら風俗を利用したことを晒しちゃうかも……』などと言われると怖くなって、彼の言うがままになっていました」
最終的には個人の貯金が底をつき、クレジットの利用枠が上限に達したことで夫に告白し、大騒動に。怒り沸騰の夫が連絡することで、関係は終わりを迎えました。
もとかさん(仮名・30代)の場合
もとかさんは、外資系コンサルティング会社に勤める未婚女性。会社は高い報酬と激務で知られ、もとかさんも繁忙期には深夜2時まで勤務してタクシーで帰宅することが当たり前の生活だそう。そんなハードワークを癒すために、定期的に通っている整体サロンで、女風のことを耳にしたそうです。「今の会社に転職してすぐに、多忙なために彼と別れて以来、4年ほど付き合う人もいませんでした。でも、今は彼より自分のキャリアの方が大事な時期。彼氏はめんどくさいけど、風俗なら手軽に女性としての気持ちよさを得られそうだからいいかも、と考え、女風のお店のリサーチをしてみました。
調べてみると、ホントにいろんなお店、いろんな値段、いろんなセラピさんがいてすごく迷ったのですが、スポーツマンな感じの爽やかイケメンにしました。今考えれば、セラピストのSNSとかもしっかりチェックすればよかったのですが、忙しかったし、顔だけでぱっと決めちゃったんですよね。ぼかしが入ってても分かるじゃないですか。イケメンだろうなって」
予約当日、ホテルに現れたセラピストは筋肉質の体に童顔で短髪。イメージ通りのすてきな人だったそうです。
イケメンセラピストにマッサージされて
「最初のカウンセリングでいろいろ聞かれたときに、私の過去の性的経験についてもかなり突っ込んで聞かれました。以前の彼はいつも一方的な自己満セックスで、全然気持ちよくなかったこと、その後4年間は彼氏ナシ、性体験ナシなので、膣が干からびてるかもしれないみたいな話もしました。セラピストさんは、持ってきたいろいろなラブグッズを見せながら、『大小いろいろあるので、ローションとかを使えば痛みもなしに入れられるよ』と言ってくれました」そして、シャワーを浴びた後にまずはオイルマッサージからスタート。普段通っている整体師の施術よりも力強く、心地いい。そしていよいよ性感マッサージに移ると、セラピストさんの舌や唇で、眠っていたもとかさんの性感帯が掘り起こされていきました。
「セラピストが、あおむけで寝ている私の上から覆いかぶさるような姿勢で首筋に舌を這わせるんです。彼の筋肉質な体の重みが心地よい圧力となって、体が震えるぐらいぞくぞくして、思わず大きな声を出しちゃいました。セラピストさんも『もとかさん、キレイだ。すてきだよ、もっとみだらになって』と声をかけつつ、一層敏感な部分を攻めてきます。
彼の行動に疑問が……
そのうちに彼は私の手を取って、自分の下半身に触れさせました。彼は、最初はパンツをはいていたのに、知らないうちに下半身を露出していたんです。そして『僕も興奮してきた、触って』とささやくのです。ちょっと戸惑いましたし、なんで私がサービスしてあげなくちゃいけないの? と思いましたが、せっかく盛り上がっているのに断りづらいので、そのまま彼の下半身を触ってあげました」そのあともセラピストの要求は「もっと強く握って」「口でして」とエスカレートしていったそうです。もとかさんは断りたいと思ったそうですが、個室で二人きりでもあり、もし相手が怒って暴力をふるって来たらどうしようと怖くなって、言われるがままになってしまったそう。
しかし最後になって挿入されそうになり、勇気を振り絞ってセラピストを跳ねのけたそうです。
密室で身を守る難しさ
相手は「ハハハ。冗談、冗談……。マジに受け取らないでよー」と笑ってごまかしたそうですが、もとかさんにしてみれば、レイプされかかったわけですから、冗談どころではなく、身の危険を感じた悪夢の女風体験になりました。「知らない男性に自分の体を預けるリスクを改めて感じました。密室に二人だけで、明らかに相手の方が力も強いわけですから、もしかしたら無理やりされていたかもしれません。あのセラピストは同様の手口で本番行為をしているに違いない。今までは女性側が泣き寝入りしていたのではないでしょうか。私もいろいろ要求されたことに対して、きっぱりと断ることが怖かったですし、もし相手に脅されたりしたら言うなりになっていたかも。ああいう場で自分の身を守ることは難しいと、しみじみ思いました」
その後、もとかさんはそのセラピストのことを所属している店にすぐに報告し、しばらくすると店のホームページから彼の写真は消えていたそうです。
安全に女風利用するために大切なこと
女風体験がマイナスの意味で「人生が変わる体験」となってしまった二人。女性用風俗にはこのような悪質セラピストがいることも残念ながら事実です。このような不幸な経験をなくすためには、まず店選び、セラピスト選びを慎重に行うことが大切です。店によっては「セラピストはパンツを絶対に脱がない」と明言しているところもあります。セラピスト個人のSNSやYouTubeでの言動なども念入りにチェックしてください。
そして、セラピストに個人情報を明かさないのも自分を守る大切なルール。シャワーを浴びているときにバッグの中を見られる危険も見込んで、個人情報が見えるものをできるだけ部屋に持ち込まない慎重な人もいます。
また、施術が始まる前に、このような悪質な具体事例を話して「もし、こんな怖いことになったらお店に言うからよろしくね」と笑顔でけん制するのもいいでしょう。
実際の施術の場面では嫌なことは真顔でNOということも大切。泣き寝入りはその後の被害者を増やしてしまうことにもなります。「まあいいか」と甘い顔をせず、お金を払っている顧客として毅然(きぜん)とした態度を心がけてください。
そのような利用者の態度が、悪質な店、悪質なセラピストを淘汰(とうた)していくことにつながり、業界全体の質の向上につながっていくと私は考えています。
前回の記事でも書いたように、女性用風俗でよい方向に人生が変わった方々も大勢いるのですから、この業界は守らなければなりません。
利用する女性が、自分たちで安全に楽しめる環境を作ってゆくのが理想です。
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