
ChatGPTで任天堂のゲーム『どうぶつの森』風のイラストを生成するのが話題に ※画像:『あつまれ どうぶつの森』 公式Webサイト
例えば、あるX(旧Twitter)ユーザーがChatGPTによる「どうぶつの森風」イラストの生成方法と、実際に生成したイラストを載せた投稿に対して、「著作権侵害だ!」「任天堂に通報した」といったリプライが多数寄せられるなどしています。
以前、「ジブリ風」のイラストをAIで生成してXなどのSNSに掲載するのが一部で流行していたときも、「著作権的にはどうなのか」と議論を呼んでいました。
そこで、今回は、こうした「どうぶつの森風」「ジブリ風」のイラストをAIで生成することの法的問題点について、弁理士である筆者が解説します。
絵柄や画風が似ている場合の法的な考え方
今SNSで話題の「どうぶつの森風」イラストは、AIで生成されたイラストが『どうぶつの森』のような絵柄・画風であるために議論が生じているわけですが、こうした絵柄・画風が似ている場合の法的な考え方を示すものとして、参考になる裁判例が2つあります。まず1つ目は、博士イラスト事件です(東京地判平成20年7月4日)。
この事件は、被告が販売している幼児向け教育用DVDに収録されている博士風イラストが、原告販売の幼児向け教育用DVDに収録されているイラストによく似ているとして著作権侵害が争われたものです。
【画像1】の左側が原告イラストで、右側がそれによく似ているとして争われた被告イラストです。

【画像1】左が原告イラスト、右が被告イラスト ※画像:判決文別紙
しかも、原告と被告との関係性と経緯から、右の被告イラストは、左の原告イラストに基づいて制作されたものであると裁判では認定されたので、作風が共通していることは裁判所もおおむね認めていると考えられます。
しかし、両者の絵に共通性があることを認めつつも、その共通部分はアイデアに過ぎないし、実際のそれぞれの絵を見比べると以下のような相違点があるため、双方は類似しない……すなわち著作権侵害ではないと裁判所は判断しました。
1:全体の質感と輝き、顔や全身の縦横の比率
2:耳の有無、鼻の形、瞳の色、眉の形と色、髪の色
3:角帽のかぶり方、蝶ネクタイの有無、ガウンのデザイン
一見よく似ていて、作風もそっくりという印象がありつつも、最終的には著作権侵害ではないと判断された事例です。
次に参考になるのが、マンション読本事件です(大阪地判平成21年3月26日)。
この事件は、被告が作成した『マンション読本』という冊子のイラストが、原告イラストレーターが著作した『独り暮らしをつくる100』という書籍内のイラストによく似ているとして争われた事件です。
【画像2】の左側が原告イラストで、右側がそれによく似ているとして争われた被告イラストです。

【画像2】左が原告イラスト、右が被告イラスト ※画像:判決文別紙(原告イラスト目録)、判決文別紙(被告イラスト目録)
こうした裁判例などを踏まえると、「どうぶつの森風」「ジブリ風」のイラストをAIで生成することは法的にどう考えられるでしょうか。
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