『いつの間にか仲良くなっている人たちの世界』(野口敏著)では、あなたの身の回りにもきっといる、「いつの間にか、他人と仲良くなっている」=「いつ仲の人」たちがしている小さなコツについてお伝えしています。
今回は本書から一部抜粋し、人付き合いがうまい人たちが使う「関係をつくるサイン」と、彼らに仲間入りをする方法について紹介します。
「仲良くなる」前に目指すべき意外な目標
これからお話しすることは、「いつ仲の人」に自分も近づきたいと思う人のためのものです。あなたもきっと「いつ仲の人」たちのような人付き合いが、できるようになるでしょう。ただし、あなたが最初に目指すのは、「いつ仲の人」になることではありません。自分を性急に変えようとするとハードルが上がり、挫折してしまうかもしれません。
あなたの最初の目標は、「いつ仲の人」から見つけてもらうこと。そして「よければお近づきになりませんか」と、お誘いを受けることです。
「お近づき」とは、最初は顔見知りになって、あいさつや軽い雑談をすること。「いつ仲の人」は、しだいに気心が知れたら、お茶を飲んだり趣味の会にお誘いをしたりして、お互いの世界が触れ合えたらいいと考えています。
もちろん、あなたが「付き合いはここまでにしたい」と思えば、そこから先には入ってきません。「いつ仲の人」はあなたの気持ちがわかるので、その意思を尊重してくれます。
「いつ仲の人」は、ふだんから居心地のいい付き合いができる人を探しています。だから彼らのアンテナに引っかかるコミュニケーションをとっていれば、むこうのほうから近づいてきてくれるのです。あとはコミュニケーション上手な彼らに任せていればいいので、あなたの努力は必然的に、ハードルがとても低いものになります。
「いつ仲の人」は職場にも学校にも必ずいる
では、「いつ仲の人」に見つけてもらうための、小さいけれど大切なことをお話ししましょう。「いつ仲の人」なんてどこにいるの? そう感じている人もいるでしょう。「いつ仲の人」は、あなたの職場にも、学校にも、お子さんの保護者会にも必ずいます。あなたに、まだ気がつく準備ができていないだけかもしれません。
「いつ仲の人」に見つけてもらうためには、まずはあなたのコミュニケーションの質をほんの少し上げることが必要です。ほんの少し、で大丈夫。
あなたのコミュニケーションにいまよりもほんの少し温かさが加わったとき、その世界の扉は急に、あなたの前に開かれることでしょう。
保護者会で下を向いていない?
子どもの保護者会でも、自分が1人浮いてしまっているようでつらいという声をときどき耳にします。保育園や幼稚園のころとは校区が違っていたり、他の地域から引っ越してきたような状況だと、そこでまたはじめから関係をつくらねばなりません。
ここでも焦りは禁物。初日から誰とも知り合いになれなかった、他の人たちはもうグループをつくっていたなどと嘆く必要もありません。
保護者会は一度で終わるものではなく、定期的に開かれるものですから、チャンスはいくらでも待っています。
それに、子どもたちは教室で必ず関わり合いになるし、友達もできます。子どもの友達の親と知り合いになれるよう、そのときがくるまでゆっくり待てばいいのです。
保護者会に参加したら、必ず顔を上げて教室に入り、視線が合う人にはやわらかなアイコンタクトと会釈を送ります。「こんにちは」って明るい声で言えたら最高ですね。そうすればあなたの顔は必ず覚えてもらえるでしょう。
あとは、子どもが友達の家に遊びに行ったら必ず、SNSかスマホのショートメッセージでお礼の連絡をします。そこで電話をしてもいいかどうか尋ねて、「OK」の返事をもらえたら電話をして、多少のお話をしてください。電話でお話をしてくれる人は、「いつ仲の人」の可能性が高いです。
こうすれば、ママ友としての関係がゆるやかにスタートしたと考えていいでしょう。
次の保護者会では、教室に入ったらまっすぐにその親のところに行き「いつも子どもが遊んでもらってありがとうございます」と伝えましょう。これでもう、ママ友のでき上がり。
その中で、あなたと相性の合う人を選んで、知り合いを増やしていけばいいのです。
他人との関係づくりは「話しかける用件」を材料に近づく
「いつ仲の人」は「話しかける用件」を見つけて、それを材料にして連絡をとっています。子どもが友達の自宅に遊びに行った。忘れ物をしたら、友達が親切にも貸してくれた。子どもが迷惑をかけた。友達の忘れ物を預かった。そういう機会のたびに小まめに連絡をとります。連絡をした回数に比例して、その人との関係が近づいていきます。 野口敏(のぐち さとし)プロフィール
1959年生まれ。株式会社グッドコミュニケーション代表取締役。関西大学経済学部卒業。熊本県天草市出身。1989年より「コミュニケーション教室TALK&トーク」を主宰。コミュニケーション指導歴35年を超える。「今日受けた人が今日うまくなる」がモットーの指導には定評がある。大阪淀屋橋、東京有楽町、Zoomでコミュニケーション講座を開き、全国から生徒が絶えない。「話を聞く」「絵が浮かぶように話す」「顔を上げて歩く」「相手を主人公にして話す」など、常に新しい発想をコミュニケーション界に提案している。2024年からは結婚相談所グッドコミュニケーションも運営し、現代の結婚難打開に尽力している。