亀山早苗の恋愛コラム

妻25歳、夫49歳で“年の差婚”した夫婦の30年後とは。55歳女性が直面した「厳しい現実」

年の差婚した夫婦の「その後」とはどんなものなのだろうか。結婚したころは「本当に幸せ」「とにかくすてきな人」と年上の夫に夢中だった妻たちも、30年たてばさまざまな現実に直面せざるを得ない。中には結婚を後悔する人もいるようだ。※サムネイル画像:PIXTA

亀山 早苗

亀山 早苗

恋愛 ガイド

どうして男女は愛し合うのか、どうして憎み合うのか。出会わなくていい人と出会ってしまい、うまくいきたい人とうまくいかない……。独身同士の恋愛、結婚、婚外恋愛など、日々、取材を重ねつつ男女関係のことを記事や本に書きつづっている。

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結婚したころはラブラブだったが……。年齢差のある夫婦のその後とは(画像出典:PIXTA)

結婚したころはラブラブだったが……。年齢差のある夫婦のその後とは(画像出典:PIXTA)

年齢差のあるカップルが年を重ねていくとどうなるのだろう。もちろん、相手が年上でも穏やかに暮らせるケースもあるだろうが、中には「年齢差からくる嫌悪感」を白状する妻たちもいる。

18歳年上の夫

「結婚したのは私が23歳、彼が41歳のときでした。彼が離婚協議中のときに知り合ったので、『不倫』というわけではなかったけど、私の親は大反対でした。それを押し切って結婚したときは本当に幸せだった」

マリエさん(52歳)は、昔を思い出しながらそう言った。短大を出て就職した会社で上司だったのが彼だ。仕事を通して、その人間性に惹かれた。公平で穏やかで、こんな人と結婚したらいい人生が送れるだろうと憧れていた。だが彼は妻帯者。最初から諦めていた。

「ところがあるとき、彼から食事に誘われました。それまでも一緒に食事したことはあるけど、いつも同じ課の人たちがいたのに、そのときは二人きり。彼は思いつめたような顔で、『きみのことが好きになってしまった』と。自分が言える立場じゃないけど、気持ちを知ってほしかった、と。そしてもともと妻とはうまくいっていなかったので、今は離婚協議中だと教えてくれました」

離婚が成立したら結婚してほしい。そんな言葉を期待したが、彼はそうは言わなかった。約束を迫ることで、きみの生き方を狭めることはできないと苦しそうにつぶやいた。

「それから半年後、離婚が成立しました。課内で『私事だけど離婚しました』と言っている彼に、こっそり『仕事が終わったら待っています』とカフェを指定しました。そして『私と付き合ってもらえませんか』と告白したんです。彼の目が潤んでいたのを覚えています」

子どもが独立し夫婦二人暮らしに

一途に恋していたのは彼女の方だったのだ。彼はそれを知ってしみじみうれしそうだった。二人が結婚したのはそれから1年後。社内で不倫だったのではないかといううわさも飛ぶだろうけどどうすると言われて、彼女は転職した。

「彼は専業主婦になってもいいと言ったけど、私はやはり自分で稼ぎたかったし仕事も続けたかった。息子を産んでからも仕事は続けました」

一人息子が大学を卒業して就職し、一人で暮らすようになったのは3年前。以来、夫婦二人で暮らしているが、彼女は今、毎日げんなりしているという。

「夫は先日、70歳になりました。仕事もやめて毎日が日曜日。だからといって積極的に家事をするわけでもなく、家でテレビばかり見ている。定年になったら、いろいろやりたいことがあると言っていたのに何もしていません。私は時々同僚と食事に行ったりしますが、連絡すると『オレはご飯、どうしたらいい?』って。大人なんだから好きなようにしてと言うんですが、『きみには思いやりがない』と言い出す始末。体が悪いわけでもないのに、これほど自分のことができない人だったかしらと不思議になるくらいです」

息子に言わせれば、「オヤジは寂しがり屋なんだよ。お母さんしか頼る人がいないから」だそうだ。今からでも友達を作ってもらいたい、家から出て、少しは世間を見て歩いてほしいとマリエさんは願っている。

二回り年上の夫

55歳のミヨさんの夫は、今年79歳になる。結婚30年を迎えた。

「若いときの私にとって、彼は本当に大人に見えた。彼はバツイチだったんですよ。大人の分別で私をよりよい人生に導いてくれる。社交的だから友達も多い。とにかくすてきな人だと“勘違い”していました」

結婚してすぐ、夫の恋人を名乗る女性が家に乗り込んできた。なんと夫は二股をかけており、結婚後もその女性と付き合い続けようとしていたらしい。

「いきなりの裏切りで、私も大騒ぎして親を巻き込んでしまいました。義父から土下座までされたのでびっくりして離婚は思いとどまりましたが……」

その後、夫は子どもをほしいと思っていないことが分かり、ミヨさんは本気で離婚を考えた。それでも離婚できなかったのは、夫の両親が非常にいい人たちだったからだ。ミヨさんは高校生のときに父を、その後、母を病気で亡くしている。義父母は「息子よりミヨさんのほうが自分の子みたいだ」と言い、彼女自身も実の両親より気が合うと感じていた。

「夫は威張り散らすタイプではなく、単なる女好きなんですよ。友達が多いのはいいけど、週末はいつも一人で遊びに行ってしまう。二回りも年上のくせに、とんでもないお子ちゃまだったんです」

老いていく夫を受け入れられない

どうしても子どもがほしいならと、ある日、夫はなんと子犬を連れ帰ってきた。友人から譲り受けたのだという。子どもと犬は関係ないとミヨさんは叫んだが、子犬を放っておくわけにもいかず面倒を見始めた。

「それ以来、犬は欠かせないパートナーになりました。先に逝ってしまうのがつらいので、もう飼いたくなかったけど、先日、また夫が子犬をもらってきて」

15年ほど前から夫の背筋が少し曲がってきた。加齢臭もひどい。夫の枕カバーやシーツを洗うときは二重マスクをする。洗濯ものも別々に洗っている。

「正直言って、老いていく夫を受け入れられないんです。私だって老いてきたけど、それでも24歳という年齢差は厳しい。30周年の結婚記念日に一緒に食事に行ったんですが、『オレが身動きとれなくなってもよろしく』と言われ、頷けない自分がいました」

夫は健康で、今のところ体調面では大きな問題はないのだが、年齢によるもの忘れは日に日にひどくなっているという。

「義父母は二人とも100歳近くまで生きたので、夫も長生きだと思うんです。あと20年もこういう生活が続くのかと思うと、一緒に暮らしていく自信がない。今さら投げ出すわけにもいかないんでしょうけど」

55歳の今、彼女は仕事を続け、帰宅すると座る間もなく夕飯の支度をする。どうして自分だけこんな忙しい思いをしているのか……。ついつい考えてしまうとため息をついた。
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