
1000万円を賢く使うなら?(画像:PIXTA)
「いま、1000万円を賢く使うなら、どうしたらいいでしょうか? 教えてください」
なぜ「1000万円の使い道」にインフレ対策が必要なのか?
コロナ禍以降、物価が上がる「インフレ」が当たり前になりました。しかし、物価が上がっても預金利息は低いまま。銀行にお金を預けていても、みるみるお金の価値が薄れてしまうので「どうしたものか」と悩ましいものです。
貯金が少ないうちはインフレなんて気にする必要ありませんが、貯金が1000万円くらい貯まると、インフレによる価値の目減りもばかにできなくなります。
それこそ1年に2%も物価が上がっていけば、1000万円の価値の2%……20万円くらいか薄れていき、対策を打たないとどんどん価値がなくなってしまうからです。
そこで本記事では、個人投資家である筆者が、インフレ時代で「1000万円を賢く使う方法」を考えていきます。
資産運用の未経験者は「平均点を目指す投資」から始めよう
まずはゴール設定から。本記事では「1000万円を賢く使って、効率よく金融所得をつくること」を考えていきます。資産形成・資産運用をやったことがない、という方も多いと思うので、「資産運用が未経験」ということを前提に話を進めます。
まず、資産形成・資産運用の基本的な考え方からお伝えすると、「いまあるお金を使って収入をつくること」がゴールとなります。
資産運用は「敗者のゲーム」とも呼ばれ、投資判断にミスをすればするほどお金を損したり、チャンスをつかみ損ねたりするゲームです。
だから、「どうすれば投資判断のミスを効率よく減らしながら、金融所得をつくれるか?」を考えて、学習プランを考えていくのがよいと思います。
また、最適な運用プランは人によって千差万別ですから、「あれを買いなさい」「これを買いなさい」という話をする代わり、自分で判断できるように、何を勉強すべきかにフォーカスします。
右も左も分からないうちは、筆者はまずは資産形成に関する入門書を買うところから始めます。
始めのうちは怪しい金融商品を買って失敗するリスクが高いので、なるべく資産運用の全体像が分かるような勉強をして、無難な投資法から学ぶとよいと思います。
例えば、山崎元さんが書いた『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』や『資産運用実践講座』(I、IIの2冊あります)などの本が分かりやすくてオススメです。
この本にはインデックス投資と呼ばれる投資法が紹介されています。これは「コストが安くて指数に連動する投資信託を買って、みんなで平均点を目指そう」というもので、ほとんどの方にとってはこれで十分かと思います。
これらの本を読んだ上で、「1000万円で、どんな金融商品を買うか?」を考えてみるのが最初の一歩だと思います。
本気で投資を学ぶなら「プロの視点」と経営知識がカギ
大多数の方はインデックス投資で十分で、それ以上の勉強をしたり、銘柄を選んだり、タイミングを考えたりするのは「趣味」の領域かと思います。平均点以上を取ろうと思うと生半可な努力では成功できず、トップ2~3%くらいの実力者にならないと成功できませんので、ここから先は「修羅の道」です。
世の中には株取引で大儲けして目立つ方もいますが、彼らの裏には損をした方が山ほどいますから、厳しい世界なんだ、ということを忘れず、謙虚に努力を重ねる必要があります。
いわゆる投資家は「金融商品を鑑定するプロ」で、鑑定力が高い人が成功し、鑑定力が低い人が失敗します。本気でプロを目指す場合は、さらに金融商品の価値を分析するための勉強が必要です。
ここまで目指すのであれば、ベンジャミン・グレアムの『証券分析』や、グリーンウォルドの『バリュー投資入門』あたりは読んでおくのがよいと思います。
また、投資の神様バフェットは「私は投資家だからよい経営ができるし、私は経営者だからよい投資ができる」と言いました。投資家は「経営のよし悪し」も判別する必要があるため、最低限の経営知識も必要です。
だから、マイケル・ポーターの『競争の戦略』や、楠木建先生の『ストーリーとしての競争戦略』、クリステンセンの『イノベーションへの解』、エリヤフ・ゴールドラットの『ザ・ゴール』あたりは読んでおくとよい気がします。
理論的な話はこれくらいで、あとはやりながら感覚をつかんでいき、スキルとセンスを磨き続ける繰り返しですね。
厳しい世界ではありますが、地道に努力していれば結果もついてくると思います。
おわりに
そこそこ上手にやれば1000万円で年収120万円くらいはつくれると思います。月に1%くらいのリターンですね。ただし、この水準は中~上級者向けのハイリスクな運用も含まれる可能性があります。結果が出なかったとしても仕事で役に立ったり、趣味として楽しんだりすることもできるでしょうから、ちょっとくらいはチャレンジしてみてもよいと思います。