そんな漠然とした不安は、何もしなければなかなか消えてくれません。だからといって、「老後資金をしっかり貯めなきゃ!」と気負うと、かえって気が重くなることもあるでしょう。
そこでおすすめなのが、“自分らしさ”を大切にした「ゆるライフデザイン」。これは、将来の暮らしや大切にしたい価値観をざっくりとでもイメージし、ゆるやかに備えていくという考え方です。今回は、そんなライフデザインの視点から、無理なく安心を育てるヒントをご紹介します。
「なんとなく不安」は“立ち止まる合図”
おひとりさまとして自由に過ごす毎日。けれども時折、「このままで本当に大丈夫?」「老後はどうなるんだろう……」と、理由のはっきりしない不安に心がざわつくことはありませんか?その“なんとなく不安”は、実は「少し立ち止まって、自分と向き合ってみて」というサインかもしれません。この気持ちを放っておくと、いつの間にか焦りや落ち込みへとつながってしまうこともあります。
そんなときは、いったん立ち止まって「今、自分は何に不安を感じているのか?」を見つめてみましょう。ノートなどに書き出してみるのもおすすめです。頭の中のモヤモヤを言葉にすることで、気持ちが整理され、次の一歩が見えてきます。
「老後のために貯金」はモチベーションになりにくい?
頭の中のモヤモヤ。その多くは「お金」に関する不安からきていることが少なくありません。これは、おひとりさまに限らず、多くの人に共通する悩みです。しかし「この先ちゃんと暮らしていけるのかな」「将来に備えて貯金しなきゃ」と思っても、現実にはなかなか行動に移せないこともあります。
その理由の1つは、“老後”という言葉があまりにも漠然としていて、自分のこととしてイメージしにくいからです。
よく「老後資金は2000万円必要」などの情報を見かけますが、数字だけではリアリティーがなく、「どうせ無理かも……」と気持ちが後ろ向きになってしまいがちです。
「節約しなきゃ」「今月は○万円貯めよう」と頑張ろうとしても、日々の出費や想定外の支出に押されて、途中で挫折してしまう……。そんな人も多いのではないでしょうか。
だからこそ、ただ「老後のために貯金」ではなく、自分の気持ちやライフスタイルに合った“ゆるい設計”が大切です。
「自分らしい暮らし」を軸に考える
そんなときは、まず「どんな暮らしをしたいか?」という方向から考えてみましょう。例えば、
・自然の多い場所で静かに暮らしたい
・趣味を楽しみながら、マイペースで働きたい
・ペットと暮らせる場所に住みたい
・体が元気なうちにリフォームしておきたい
・年に1回は旅行に行きたい
このように、自分にとって心地よい生活をイメージすることで、将来の選択肢が見えてきます。
完璧な計画を立てる必要はありません。大切なのは、「私はこう生きたい」という気持ちの軸を持つことです。
「自分らしい暮らし」を叶えるための働き方・節約を考えよう
将来の不安を小さくするには、「自分で選んでいる」という感覚を持つことが何より大切です。どんな暮らしがしたいかをざっくりでも描けたら、次に考えたいのが“それを支えるためのお金の準備”。その際、貯蓄額や資産形成の方法も大切ですが、まずは「節約」と「働き方」に焦点を当ててみましょう。
節約と聞くと「我慢」や「削ること」を連想しがちですが、本来は“ムダを省いて、大切なことにしっかりお金を使う”ためのもの。無理な節約は続きませんが、日々の生活を見直して自然に続けられる方法を探すことで、ムダづかいによる不安を減らし、気持ちにも余裕が生まれます。
また、働き方も「自分らしい暮らし」の大切な柱です。例えば「〇歳までは週3日だけ働きたい」「在宅でできる仕事を続けたい」といった具体的なイメージを持つことで、収入の見通しが立ち、将来への安心感も高まります。年齢にとらわれず、無理のないペースで収入を得られることは、心のハリや生きがいにもつながります。
節約も働き方も、誰かのまねではなく「自分にとって心地よい形」を見つけることが大切。その積み重ねが、「これで大丈夫」と思える自分らしい暮らしへとつながっていくでしょう。