Q. 株安のタイミングで、思い切って個別株を買うべきでしょうか?
「株価が下がっている時が『買い時』とは言いますが、なかなか踏ん切りがつきません。NISAの成長投資枠が余っているので、思い切って買うべきでしょうか? iDeCoとかNISAなどの積立しか経験がなく、スポットで買ったことがないので勇気が出ません」(べにこさん/41歳)<金融資産>現金1000万円、リスク資産3045万円
A. 余裕資金があれば、積立額を少し増やしてみてもいいが、勝負をかけるような個別株の買い方はおすすめしない
中野:「下がったら買いだ」という情報が多く出ている影響もあって、そういう考えの人が増えています。「下がったから買えばいいんでしょ」と、単純に考えてしまいがちですが、実際はそんな簡単な話ではありません。今が底だと、確信を持てるような状況ではなく、むしろ今後さらに下落する可能性も十分にあるという前提で、慎重に状況を見ていく必要があります。
とはいえ、以前より価格が下がっていることも確かです。余裕資金があるなら、積立額を少し増やすというのはいい方法だと思います。仮にこの先さらに下がったとしても、買い下がる形で投資を続けられますから、そういうやり方であれば私も反対しません。
ただ今は、「ここで勝負をかけよう」という状況ではないと考えています。そもそも、2025年4月に起きたのマーケットの急変やその後の落ち着きも、トランプ氏の一言二言に反応しているだけで、根本的な不透明感は何も変わっていません。だからこそ、今このタイミングで大きく行動を変えるのはおすすめしない、というのが私の結論です。
※本記事の内容は、2025年4月23日に公式YouTubeチャンネル「All About マネー」で配信された内容を基に作成しています。
回答してくれたのは……
中野晴啓(なかの・はるひろ)なかのアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長。
元セゾン投信創業者。長年にわたり「長期・分散・積立」投資を提唱し、日本の個人投資家に向けた資産形成の啓発に尽力。2023年、なかのアセットマネジメントを設立し、個人投資家本位の資産運用をさらに追求している。温かく率直な語り口と、実直な投資哲学に定評がある。著書に『ほったらかし投資はやめなさい』(宝島社)など、資産運用に関する書籍を多数執筆。
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