いざというときに困らないためにも、ぜひ知っておきたいのが「生命保険契約照会制度」です。
この制度を利用すれば、家族がどの生命保険に入っていたのかを確認できます。今回は、生命保険契約照会制度の仕組みや利用方法を分かりやすく解説します。
生命保険契約照会制度の仕組みとは?
生命保険契約照会制度は、亡くなった人や認知症などで判断能力がなくなった人について、保険に入っていたかどうかを親族らが調べられる制度です。2021年7月に始まった比較的新しい制度で、一般社団法人生命保険協会を通して手続きします。保険証券が見つからない、どこの保険会社か思い出せない……というときでも、一度の手続きで41社(2024年11月25日現在)全てにまとめて確認できるため、とても便利です。
ただし、この制度で分かるのは「保険に入っていたかどうか」「どの保険会社に契約があるか」までです。保険の保障金額や保険の種類など詳しい内容までは教えてもらえません。契約があると分かった場合は、保険会社に直接問い合わせて詳細を確認する必要があります。
なお、生命保険契約照会制度で調べてもらえるのは、今も有効な個人向けの生命保険です。
次のようなケースは調査の対象外になります。
・死亡保険金がすでに支払われた
・解約済み
・保険料の未払いなどで無効になった(失効)
・財形保険・財形年金保険
・すでに年金の支払いが始まっている保険
・保険金などが据置きになっている
また、死亡した人について調べる場合は、「死亡日からさかのぼって3年以内」に有効だった契約が対象です。
生命保険契約照会制度を利用するには?
生命保険契約照会制度を利用するには、まず「生命保険協会」に申し込みをします。ここでは、どんな理由で照会できるのか(利用できるケース)、誰が申し込めるのか(照会できる人の範囲)、利用にかかる費用はいくらかといった、制度の利用方法について解説します。
●照会できるのはどんなとき?
生命保険契約照会制度を利用できるのは次の3つの場合です。
・死亡したとき(平時の病気、事故などによるもの)
・認知判断能力が低下したとき
・災害救助法が適用された地域で被災したことによる死亡または行方不明のとき
●照会できる人の範囲は?
生命保険契約照会制度を利用できるのは、状況によって異なります。
【亡くなった場合】
亡くなった方の「法定相続人(配偶者や子どもなどの相続できる人)」が照会できます。また、相続人の代理人(委任された人や弁護士など)や、遺言の執行人(遺言の内容を実行する人)も照会できます。
【認知症などの場合】
成年後見制度(せいねんこうけんせいど)を利用している場合は、本人の法定代理人(成年後見人など)が照会できます。成年後見制度を利用していない場合は、本人の3親等以内の親族(例:配偶者・子ども・兄弟姉妹・おい・めい・孫など)が照会できます。
●どうやって照会を申請する?
生命保険協会の「契約照会システム」からオンラインで照会申請ができます。
・照会したい人が死亡したとき
・照会したい人の認知機能が低下したとき
●かかる費用は?
生命保険契約照会制度を利用するには、1回の照会につき3000円(税込)の利用料がかかります。なお、2026年4月1日からは、利用料金が「Web申請6000円(税込)」「書面申請7000円(税込)」に改定されます。
ただし、災害による照会(災害救助法が適用される地域など)については無料で利用できます。
また、手続きには本人確認のための戸籍謄本や、医師による診断書(協会所定の様式)などの書類が必要になります。これらの書類をそろえるための発行手数料などは別途かかるので注意しましょう。