『第一志望合格率96.8%の塾講師が教える 中学生の成績は「親の声かけ」で9割決まる!』(建部洋平著)では、1万人以上の中学生と向き合ってきた塾講師の著者が、成績アップに直結する“親の声かけ”のコツを解説しています。
今回は本書から一部抜粋し、先生を味方につける「プリーズペアレント」という考え方について紹介します。
「モンペ扱い」を恐れて黙っているのはNG
今はどの学校にも、理不尽な要求を突きつけたり、学校側に過度な干渉をしたりする「モンスターペアレント(モンペ)」、またはその予備軍となる親がたくさんいます。でも、モンスターペアレントは先生に面倒な親だと思われるし、子どもの印象も悪くなるだけで、いいことはありません。
とはいえ、学校がやっていることや、先生の言動に正直、「これってどうなんだろう?」「なんかおかしくない?」 と思うこともあるでしょう。
「でも、それを指摘したらモンスターペアレントと思われるかもしれない」「こんなことを言ったら、子どもの評価に不利になってしまうかもしれない」と、ガマンしてしまう親御さんも少なくありません。
でも、ただ黙っていると、それこそあなたのお子さんはその他大勢の中に埋もれてしまいます。
「プリーズペアレント」のすすめ
そこで「プリペ」です。プリペイドカードの「プリ」ではなく、プリーズ(お願い)の「プリ」、「プリーズペアレント」になりましょう。学校の先生に「これは違うのではないか」と意見を言いたいとき、「こうしてほしい」と訴えたいとき、文句を言う「モンペ」ではなく、お願いする「プリペ」をめざすのです。
つまり、同じことを伝えるにしても、文句を言うのではなく、お願いしてみるのです。たとえば次のようにです。
「うちの子は人前で話すのが苦手なタイプで、なかなか手を挙げられないのですが、本人もなんとかがんばろうと努力しているようなので、ときどき見ていただけませんか?」
「この通知表にある『興味・関心』はどういうところを見て評価されているのですか? 今後の参考にしたいので、教えていただけますか?」
「うちの子はのんびりした性格で……。いつも提出物がギリギリになってしまうので、私からも声をかけてはいるのですが、先生のほうから一声かけていただいてもいいですか? ご協力いただけると、とても助かります」
といった感じで、「お願いするスタンス」を貫くのです。これなら先生に、「この親は面倒くさい親だなぁ~」と煙たがれることはまずありません。
「この親子のためなら」と思わせる禁断のフレーズ
親が言っている内容は、「うちの子のことをちゃんと見てほしい」「内申点は先生の主観じゃなくて、ちゃんと正しく評価しなさいよ」と主張強めだったりもしますが、「お願い」というスタンスであれば、先生にまったくそう感じさせないから、あらふしぎ。むしろ、先生に「そうか、今度はよく見てあげよう」「声をかけよう」と気に留めてもらえるようになります。これをマメにやると、先生もしっかり見てくれるようになることは結構あります。
ポイントは「マメに」です。そして、文句を言うのではなく「子どもが心配だからお願いする」。
先生の心を動かすのは、「先生だからこんなことも話してしまうんです」「先生だから、こんなお願いをしてしまいますが……」といった特別感と信頼感。先生だって自分を頼ってくれるのはうれしいものです。
その喜びのツボをうまく押して、押して、押しまくり、わが子に目を向けてもらうようにしましょう。
すると、先生が子どものちょっとしたつまずきを早く発見してくれたり、がんばる姿を見つけてくれやすくなったり、プラスが増えていくはずです。
建部洋平(たてべ ようへい)プロフィール
1977年生まれ、愛知県育ち。大学卒業後、大手学習塾に就職し、生徒アンケートは6年連続1位、歴代最速で本部長に就任。独立後、小学生~高校生を対象にした学習塾Abilityを2校舎経営し、のべ約1万人の生徒を指導。学年トップから学習障害のある子まで幅広く支援し、劇的な成績向上を多数実現してきた。塾生のテスト結果を30点から80点台まで引き上げたような実績をいくつももち、高校受験の第一志望合格率は96.8%(2024年度)、95.2%(2025年度)。また、「ほめる教育」の重要性を伝えるため、日本ほめる達人協会の特別認定講師資格を取得。企業研修や講演活動も行い、2023年認定講師コンテストでは準優勝。