『第一志望合格率96.8%の塾講師が教える 中学生の成績は「親の声かけ」で9割決まる!』(建部 洋平著)では、1万人以上の中学生と向き合ってきた塾講師の著者が、成績アップに直結する“親の声かけ”のコツを解説しています。
今回は本書から一部抜粋し、子どもの成績を確実に伸ばす「フィードバック術」について紹介します。
テストの結果より大事なこと
親は子どものテストの結果だけに一喜一憂しがちです。でも、テストや成績は結果を見てハイ終わりではありません。本当に大事なのは、そのあとです。結果がよくても悪くても、テストや成績が戻ってきたら、必ずフィードバックをするようにしてください。
「フィードバック」とは、ただ点数を確認するだけではなく、「どこができていたのか? どこでつまずいたのか?」を親子いっしょに整理して、次の目標に向かって軌道修正をすることです。実はこれができていない家庭が非常に多いのです。
では具体的に「フィードバック」はどのようにやればよいのでしょうか?
結果が良くても悪くても、親がすべき「たった一つの質問」
テストや通知表でよい結果を出せたときは、まずは親子いっしょに喜びましょう。そして、「今回、うまくいったのはどうしてだと思う?」 と、ニコニコしながらその理由を子どもに聞いてみてください。子どもなりに「とにかく英単語を必死に覚えたのがよかったのだと思う」「いつもは目で見て覚えようとしていたけど、今回は書いて覚えたのもよかったのかも」などと答えてくれるでしょう。
そうしたら親は「そうか、それがよかったのかもね。この調子で続けてみるといいかもね」と、次につなげます。もし本人がよさに気づいていなくて、親が気づいていたら、「毎日、教科書を音読していたのもよかったのかもしれないね」などと一言加えると、本人も「そうか、音読も効果があったのかもしれないな」と気づけます。
一方、結果が悪かったときは、「どうしてこんな点を取った?」 と責めるのではなく、「何が原因だったと思う?」 とやさしく聞いてみましょう。やさしく、ですよ……。
すると、子どもは「提出物を出すのが期限ギリギリになってしまって、テスト勉強が十分にできなかった」「得意な数学ばかりに力を入れてしまって、理科・社会の勉強をあと回しにしてしまった」「テストの最後に見直しをしなかったので、ケアレスミスが多かった」など、自分なりの反省点を言ってくるでしょう。
そうやって、まずは子ども自身にうまくいかなかった原因を考えさせるのです。その後は、「じゃあ、次はもう少し計画的に進めてみようか」とアドバイスをして、「またがんばろうね」と背中をぽんと押しておしまい。
「また失敗するかも」と親が不安そうな顔をしてしまうと、子どもも余計にプレッシャーを感じてしまいます。だからこそ、「次はきっと大丈夫!」 とにっこり笑顔を見せることが大切です。
「自分で振り返りなさい」が成績を低迷させる
ここまで読んでみて、「振り返りくらい子どもが自分でできるのでは?」 と思った方もいるのではないでしょうか?確かにこれを自分1人でやれる子もいます。でも、そういう子は常に学年トップ5にいるような、相当できた子に限ります。ほとんどの子は、自分だけの力ではまだできません。
なので、ほとんどの中学生はまだ親の関わりが効果的です。勉強の中身を教える必要はありませんが、このフィードバックはぜひ親子でいっしょにやってください。そうすれば、子どもも安心して「よし、次こそがんばろう!」 と思えるのです。
よい結果が出ても、悪い結果が出ても、必ずきちんと親が子どもに振り返りをさせて、次へとつなげていく。このフィードバックを大切にしている家庭で、ずっと成績が低迷という子を私は見たことがありません。
成績が一度下がったりしても、必ずどこかで上がっていきます。
建部洋平(たてべ ようへい)プロフィール
1977年生まれ、愛知県育ち。大学卒業後、大手学習塾に就職し、生徒アンケートは6年連続1位、歴代最速で本部長に就任。独立後、小学生~高校生を対象にした学習塾Abilityを2校舎経営し、のべ約1万人の生徒を指導。学年トップから学習障害のある子まで幅広く支援し、劇的な成績向上を多数実現してきた。塾生のテスト結果を30点から80点台まで引き上げたような実績をいくつももち、高校受験の第一志望合格率は96.8%(2024年度)、95.2%(2025年度)。また、「ほめる教育」の重要性を伝えるため、日本ほめる達人協会の特別認定講師資格を取得。企業研修や講演活動も行い、2023年認定講師コンテストでは準優勝。