今回は、女風取材をフィールドワークとする筆者が出会った40代女性の体験談をご紹介します。
<目次>
女性用風俗はどんな人が利用しているの?
女風を利用するのは、「夫とずっとセックスレスでつらい」「セックスが怖くてできない」など、セックスに対する悩みを抱えている人が多いです。あるいは、「イクという経験をしたい」「いつもと違う快感を味わいたい」「夫のことは好きだけどエッチがあまりうまくない」など、性の喜びをさらに極めたいという人もいます。また、ドラマにも取り上げられた「人間関係に疲れているので癒されたい」「私の話を聞いてただ受け止めてほしい」という人などさまざまです。私が実際に取材したのは、外見も話し方も「普通」な人ばかりです。
そして、よいセラピストに巡り合えた人の多くは、「人生観が変わった」「自分に自信が持てるようになった」「夫にやさしくできるようになって、レスが改善した」「性に関する恥ずかしさが薄れて生まれ変われた」など、だいたいの人がよい効果を得ています(ネガティブな事例もあるのですが、それは次回ご紹介します)。
女風体験の成功例として、以前私のところに相談に来られた夏実さん(仮名・40代)の話をご紹介しましょう。
夏実さん(仮名・40代)の場合
夏実さんは、夫のモラハラやDV、強引なセックスなどに悩んでいました。もともと“俺様タイプ”の夫は、彼女と付き合っていたころから横暴なところがあり、夏実さんを支配するような言動が多かったそうです。しかし内気な夏実さんは自分に自信がなく、「私みたいな何の取柄もない女と結婚してくれただけでありがたい」と、自分を納得させていました。結婚生活を重ねても夫のモラハラ言動は減るどころかエスカレートするばかり。そのうちに夏実さんは夫といると体に不調を感じるようになります。
「家にいても、夫がもうすぐ帰宅すると思うと動悸が激しくなって、心臓が痛くなります。また、夫が私のことを怒鳴ったり、罵倒するたびに息苦しく視野が狭くなるような感覚がして、立っていられなくなります。それでソファーに座って呼吸を整えていると、『怠けるな!』とリモコンを投げつけられたりします。
ところが、夜になって自分がしたくなると、私がいくら拒否をしてもパジャマや下着を無理やり脱がせて、自分の性欲だけを満たすように挿入してくるのです。もちろん、離婚をしたいとは思いましたが、子どもはまだ中学生。私はパート勤めで経済的にも無理だと諦めていました」
女性としての喜びを知らないままなんて
夏実さんが私の主宰する「恋人・夫婦仲相談所」に相談に来たとき、彼女は夫のモラハラによって、すっかり無気力になっていました。彼女は「私はもう40代。離婚はできないけど、このまま一生あの男と暮らし続けて、女性としての喜びも知らないまま年をとって死んでいくのがむなしくて悲しくて……」と涙ぐみながら話しました。私は迷わず彼女に、女性用風俗の利用をお勧めしました。女風体験が彼女を癒し、「あなたはすてきな女性です」と励まし、前向きに生きる力を与えてくれるのでは、と思ったからです。夫から虐げられて縮こまった心を、健全な状態にしてくれるという確信がありました。
最初は「風俗なんてとんでもない」と拒否をしていた夏実さんでしたが、ご自身でいろいろ調べて、半年ほど悩んだ結果、女風の利用を決心しました。
女風利用を決意したきっかけ
「最終的に背中を押してくれたのは、セラピストの施術を受けた同世代の主婦のレビューでした。皆さんがつづる感動の言葉を何度も読んで『私もこんな体験をしたい。私だって癒されていいんだ』と思いきることができました。セラピストさんと初めてホテルの部屋で会ったときには、緊張で足が震えましたが、やさしくカウンセリングをされるだけで涙があふれてしまいました。だって、男の人にこんなに優しく親身に話を聞いてもらったことなんか、人生で一度もなかったからです。あまりに嬉しくて、このときはずっとおしゃべりをしていて、性感マッサージはほとんど受けないうちに、時間になってしまいました。でも、心が幸せな気持ちで満たされて、大満足。すぐ1カ月後に同じ人の予約を入れました」
震えがくるような快感
「2回目はシャワーを浴びた後にやさしくオイルマッサージ。肩こりなので、気持ちよ過ぎて恥ずかしさがだんだんなくなっていました。そのあと性感マッサージも受けましたが、もう何もかも衝撃でした。優しくささやきながら、丁寧にキスをされて、今までの人生で経験したことがなかったことばかり。何度も声を上げてしまいました。普段夫とのセックスでは痛みしか感じたことがなく、私は不感症なのかと思っていました。でも、セラピストさんの舌や指が首筋を這うだけで震えがくるような快感が全身を駆け抜け、『私のカラダってこんなに気持ちよくなることができるんだ』と、自分でも驚きました。
そしてそのとき、本気で夫の奴隷のような生活から脱出する、と心に決めました」
「離婚」というゴールへ向けて
それからの夏実さんは、離婚というゴールに向けて着々と準備を重ねていきました。仕事もパートから正社員へ。少しずつ貯金も増やし、最終的にはお子さんが専門学校に進学した時点で、家を出て別居を開始。1年後に離婚を勝ち取りました。夏実さんにとって女風の体験は、「自分は大切にされるべき存在である」「自分は豊かな感性を持ったすてきな身体を持っている」という確信を得ることができた時間でした。
そしてそれは、自分に自信を持つきっかけとなりました。その高い自己肯定感があったからこそ、夫のモラハラ支配を脱出する意欲が生まれ、長期計画を粘り強く実行する強い気持ちを持ち続けることができたのです。
人生を変える大切な発見
人は誰しも「大切にされるべき存在」です。もちろん風俗はお金でセラピストの時間を買い、客として“もてなしてもらう”仕組みではあります。セラピストは仕事として優しさを与えてくれます。
しかし、プロのテクニックや言動で得ることのできる「私は大切にされるべき存在なんだ」という気付きは、その人の人生を変えるような大切な発見となるでしょう。
ただし、気を付けなければいけないこともあります。女性用風俗にはよい話ばかりあるわけではありません。悪徳な店、質の低いセラピストもいます。またお客の方がセラピストに恋愛感情を持ち、執着して付きまといをするなどのトラブルもあります。
次回は、実際に起きたトラブル事例についてご紹介します。
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