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熱中症で入院!そのとき保険は使える?知らないと損する備えの話

毎年、暑さが厳しさを増す日本の夏。熱中症はもはや特別な病気ではなく、誰にでも起こりうる身近なリスクです。今回は、そんな“もしも”に備えるための医療保険や補償制度、熱中症の治療にかかる実際の医療費、そして予防に役立つ対策について分かりやすく解説します。※サムネイル画像出典:amanaimages

舟本 美子

舟本 美子

おひとりさまのお金・ペットのお金 ガイド

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毎年、暑さが厳しさを増す日本の夏。熱中症はもはや特別な病気ではなく、誰にでも起こりうる身近なリスクです。特にここ数年は、5月の段階から救急搬送される人が続出しており、油断できない状況が続いています。

今回は、そんな“もしも”に備えるための医療保険や補償制度、熱中症の治療にかかる実際の医療費、そして予防に役立つ対策について分かりやすく解説します。
熱中症で入院!?そのとき保険は使える?(画像出典:amanaimages)

熱中症で入院?そのとき保険は使える?(画像出典:amanaimages)

熱中症で搬送された人の症状の重さは?軽症が7割

熱中症は、夏になると誰にでも起こりうる可能性があります。総務省消防庁では、熱中症によってどれだけの人が救急車で搬送されたか、その状況をデータで公表しています。

<参考>総務省消防庁「2025(令和7)年5月の熱中症による救急搬送状況」

例えば、2024・2025年の5月に救急搬送された人の状態を比べると、どちらの年も大きな傾向は同じでした。症状の重さに応じて、次のように分類されています。

・軽症(約70%)
めまいや立ちくらみ、筋肉痛、汗が止まらないなどの症状。外来の診察だけで済み、入院の必要はありません。

・中等症(約30%)
頭痛や吐き気、体のだるさ、脱力感などがあり、入院が必要になる状態です。

・重症(約1.5~2.3%)
意識がもうろうとしたり、けいれんを起こしたり、体温が異常に上がるなど、命にかかわるような状態で、3週間以上の入院治療が必要になることもあります。

軽い症状で済めば通院だけで治りますが、症状が重くなると入院が必要になり、その分治療費も高額になる可能性があります。

熱中症による医療費の実際

先ほどご紹介したように、熱中症で救急搬送された人のうち約3割は入院が必要な「中等症」と診断されています。つまり、「ちょっと具合が悪い」程度では済まず、医療機関でしっかり治療を受けなければならない人が、実は結構多いことが分かります。

では、実際に熱中症になると、どれくらい医療費がかかるのでしょうか?

ジェイアイ傷害火災保険株式会社が、2022年~2024年の過去3年間に支払った熱中症関連の保険金の事例を調査したところ、平均の自己負担通院治療費(3割負担換算)は4744円という結果でした。

なお、費用の幅は以下のとおりです。

・最低:970円
・最高:2万4710円
・平均通院日数:1.36日


また、医療費とは別に、薬代(解熱剤や胃薬など)、交通費、経口補水液などの市販品代もかかるため、トータルではさらに高額になるケースもあります。

<参考>ジェイアイ傷害火災保険株式会社

熱中症に備える民間保険、入る必要はある?

熱中症で医療機関を受診した場合は、公的な健康保険(健康保険・国民健康保険など)が使えるため、医療費の自己負担は3割。後期高齢者の方は所得によって1~3割です。さらに、入院して費用が高額になった場合でも、高額療養費制度を利用すれば、自己負担額には上限が設けられています。そのため、熱中症の治療にかかる医療費だけを心配し過ぎる必要はないとも言えます。

●民間の医療保険でもカバーされる
熱中症で入院や通院が必要になった場合、医療保険に加入していれば保険金の支払い対象になります。

医療保険の入院保障には、

・1日でも入院すれば一時金がもらえる
・短期入院でも10日分の給付金が受け取れる

など、短期間の入院にも手厚く対応するタイプが増えています。

もし今入っている保険が短期入院に対応していない場合は、熱中症に限らず、将来のさまざまな病気やケガに備えるためにも、医療保険を見直してみるのも1つの方法です。

熱中症は「予防」が何より大事!情報を活用してしっかり対策を

熱中症は、しっかり対策をすれば未然に防げる病気です。他の病気と比べても、予防しやすいのが特徴。だからこそ「知って備える」ことが何より大切です。

重症化すると、命にかかわったり、後遺症が残ったりすることもあるので、「暑いけどまだ大丈夫」と油断せず、早めに対策をとりましょう。

●熱中症対策として役立つグッズや行動の例
・首を冷やすネッククーラーや、頭や背中などを冷やす保冷グッズなどの使用
・室内ではエアコンを適切に使う
・こまめな水分補給(のどが渇く前に飲むのがポイント)
・十分な睡眠と休息で体力を保つ
・外出時は日傘や帽子で直射日光を避ける

ちょっとした工夫やアイテムを上手に取り入れることで、熱中症リスクはぐっと下げられます。

また、環境省が発表する「熱中症特別警戒アラート等」をメールで配信するサービスがあります。環境省のサイトから登録すれば無料でメールを受け取れます。

<参考>環境省・熱中症予防情報サイト・熱中症警戒アラート等のメール配信サービス

アラートが出た日は、外出を控えたり、無理な運動を避けたりなど行動の目安にもなります。

「なんとなく大丈夫」と油断せず、情報を活用し、予防グッズや生活の工夫で暑さに負けない毎日を送りましょう。
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