亀山早苗の恋愛コラム

「ああ、うっとうしい」夫と二人で出掛けるのが嫌……。53歳女性が夫婦生活で「諦めたこと」

子育てが大変だったころは夫婦二人きりに戻る生活を楽しみにしていたという53歳女性。だが、今では夫と出掛ける気にはなれない。彼女の気持ちが変わってしまったきっかけ、そして夫婦生活で「諦めたこと」とは。※サムネイル画像:PIXTA

亀山 早苗

亀山 早苗

恋愛 ガイド

どうして男女は愛し合うのか、どうして憎み合うのか。出会わなくていい人と出会ってしまい、うまくいきたい人とうまくいかない……。独身同士の恋愛、結婚、婚外恋愛など、日々、取材を重ねつつ男女関係のことを記事や本に書きつづっている。

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もはや夫を理解しようとも思えない(画像出典:PIXTA)

もはや夫を理解しようとも思えない(画像出典:PIXTA)

子どもたちが大きくなると、夫婦で過ごす時間が増える。恋人同士だった若い時代を思い出す人もいるだろうが、現実はそれから何十年もたち、互いに気持ちが変化しているという人が多いのではないだろうか。

二人で過ごす時間への思いの違い

「娘が就職して独立したのが3年前、息子は今、大学3年生となって、うちには寝に帰ってくるようなもの。週末だってアルバイトだの友達との付き合いだのとほとんど家にいることはありません。必然的に夫との時間が増えてきました」

ショートカットが似合うマミさん(53歳)は、笑顔ながらも少し眉間にしわを寄せた。マミさんは職場結婚したが、下の子が産まれたタイミングで退職。下の子が中学に入ったころからパートとして仕事を始めた。

「いつの間にか子どもは大きくなるんですよね。今年のお正月だって一応、元日の朝は家族がそろったけど、その後は娘も息子も友達に会うと出掛けていった。午後から夫が『初詣に行こうか』と言ったけど、私は面倒で『うちにいる』と答えて。すると夫も『じゃあ、オレも行くのやめた』って」

その昔、子育てが大変だった時期には夫と「夫婦二人きりになったら、一緒にゴルフをしよう」「週末は1泊旅行するのもいいね」とよく話していたのだが、実際には二人きりになると、あまりアクティブにはなれなかった。

「私はパート仲間や学生時代の友達にはよく会うようになりました。最近、週末はスポーツジムに行くか、学生時代の友達に会うか。あるいは一人で映画を観に行くこともあります。なぜか夫と出掛ける気にはなれないんですよね」

夫との1泊旅行に出掛けたが

というのも、何度か夫と出掛けたのだが、そのたびに「ああ、うっとうしい」と思うことがあったからだ。

「ある温泉地に1泊で出掛けたとき、私は近くの美術館に行きたかったんですが、夫は行きたくないと言う。だったら一人で行ってくるねと出掛けたんですが、宿に戻ると夫はぶすっと不機嫌な顔。一緒に旅行に来たのに私が一人で出掛けたから怒っていたみたい。でも美術館に行きたくないと言ったのは夫ですからねえ。『オレに合わせてくれないの?』と言いたかったようですが、私はそんなに優しくないので(笑)」

似たようなことは他にもあった。そもそもマミさんは一人で行動することをなんとも思わないのだが、夫は一人で行動するのが苦手らしい。せっかく自由な時間が増えたのだから、一人で気ままに過ごしたいと今のマミさんは考えている。若いころとは夫への気持ちが微妙に変わった。

「わがままだよ」と冗談交じりに言われて

つい先日、マミさんは友人夫婦と食事の約束をした。夫に「一緒にどう?」と尋ねると、夫は「そういうのはまずオレの予定を聞くべきなんじゃないの?」と不満そうだった。

「でもそれはもともと私と友人が食事をする約束をしていたところに、友人の夫が僕も混ぜてほしいと言ってきたんですよ。私は彼のことも知っているのでOKした。でもうちの夫はその夫婦とはほぼ初対面だし、夫の予定を聞くほどのこともないと判断したんです。夫は『マミは案外、わがままというか自分勝手だよね』って。まあ、半分冗談っぽくですが、そう言われました。その日が土曜日なので、『オレは一人で家で食事をすることになるんだよね』と嫌な言い方までつけ加えて。家にいるときは食事の支度をしても、後で食べるなんて言うこともある。夫の方がよほど自分勝手なのに……」

ケンカになりそうな雰囲気だったから、マミさんはあわてて自室に逃げ込んだ。ケンカするのももはや面倒なのだという。

夫を理解しようとも思わない

「ケンカって相手に期待したり、相手を理解したいからこそするものなのかもしれないと最近、思うようになりました。私は夫とは揉めたくない。揉めると私自身の精神衛生上、よろしくないから。夫を理解しようともあまり思ってないということかもしれません。別に離婚したいとは思わないけど、四半世紀も一緒にいると、相手の意外な反応にすら驚かなくなりますね」

夫をこれ以上、理解しなくてもいい。そういうことに労力を使う気になれない。このまま何ごともなく日常生活が続けばいい。それがマミさんの本音だ。

「老後に関してもそうですね。同い年なので定年退職の時期も同じころでしょうけど、退職したから長い旅に一緒に行こうとも思わない。できる限り別々の行動を取って、互いに動けなくなったら施設にでも入りたいと思っています。もちろん同部屋じゃなく……。違う施設に入って訪ね合った方が楽しいかもしれませんね」

本音とも冗談ともつかない口調で、マミさんはそう言った。
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