貯蓄

投資信託が無配に…それでも積み立て続けていいの?

投資信託の価格が下がったり、分配金が出なくなったりすると不安になりますよね。この記事では「価値=将来受け取れるお金」と捉え、投資を続けるか見直すかの考え方を分かりやすく紹介します。価格ではなく、将来の収益のイメージが大切です。※サムネイル画像出典:PIXTA

中原 良太

中原 良太

エビデンスに基づく資産活用&マネープラン ガイド

個人投資家・トレーダー。いちおう準富裕層。主に株式投資とマネー(お金)について発信します。IQ上位2%のMENSA会員。18歳に株を始め、25歳でYahoo!株価予想達人で「ベストパフォーマー賞」を受賞。モットーは「地道にコツコツ」。メルマガ『株式予報』を毎日発行。年間300万通以上を配信。ルービックキューブ大好き。

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先日、読者さまより以下の相談をいただきました。

「積み立ててきた投資信託の価値が下がっています。持っている投資信託の無配(分配金が出ない)が続き、がっかり。それでも、少し預金ができればスポット購入し、積み立てています。これが正しいことなのかも分からず、続けています。これで大丈夫でしょうか」

2024年に新しいNISAが始まってから、つみたて投資枠で投資信託を買っている人が増えましたね。ご質問者さまは「投資信託が無配でがっかり」と書いていますが、どんな投資信託を買ったのか気になります。

筆者もiDeCo(個人向け確定拠出年金)でTOPIX(東証株価指数)に連動する投資信託に積立投資をしています。20代後半から積立投資を始めてもう7~8年がたっています。おかげさまで拠出額の2倍近くに増えました。

とはいえ、「ずーっと右肩上がりに資産が増えてきたか?」というと、そうでもありません。 長らく停滞していた時期もあり、拠出先を何度か変更しました。

本記事では、筆者が投資信託に積立投資をするときに、「このまま買い続けてもよいのか?」「大きく買い増ししても平気か?」「もう売ったほうがよいか?」などを判断するときに、重視しているポイントをまとめていきます。

投資先の価値とは何か?

本題へ移る前に、まず以下のグラフをご覧ください。
筆者が理想とする株式投資のイメージ

筆者が理想とする株式投資のイメージ(図版は筆者作成)

かつて、投資の神様と呼ばれる投資家ウォーレン・バフェットは「価値とは受け取るもの、価格とは支払うもの」と言いました。

彼が言うには、投資先の価値というのは、「投資先から何を引き出せるのか?」で決まります。つまり、近い未来に受け取れる配当収入とか、その配当収入の成長性とかですね。
 
金融所得=配当+成長投資(図版は筆者作成)

金融所得=配当+成長投資(図版は筆者作成)

株式投資の場合だと、金融所得は「配当+成長投資」のように表せます。配当というのは、投資先企業が稼いだお金を、僕ら投資家に分配してもらうお金のことです。

成長投資というのは、投資先が稼いだお金を、配当として配る代わりに、人を雇ったり、設備投資をしたり、M&Aを行ったりといった事業拡大に使うことです。その結果、企業の利益が増え、将来的により多くの配当を出せるようになることを目指します。

株式や不動産に投資をすると、長きにわたって所得を受け取れます。今すぐ受け取れるお金もあるし、遠い未来に受け取れるお金もあります。それらを全部ひっくるめて「今のお金に換算するとどれくらいだろうか?」と計算したものを、「割引現在価値」と言います。

投資の神様バフェットは、「価値>価格」になるような取引さえ徹底していれば、ゆっくりではあるものの、誰でもお金持ちになれるだろうと説きます。

筆者が重視する「右肩上がりの金融所得」

さて、そうはいっても、僕らのような一般人からすると「投資先の価値を見極めなさい」とか言われても、分かりません。割引現在価値を計算したくてもできない人が大半です。

そこで僕は、もう少し分かりやすいように以下のグラフを作りました。
筆者が理想とする株式投資のイメージ

筆者が理想とする株式投資のイメージ(図版は筆者作成)

これは、僕が資産運用でゴールにしているグラフです。

僕が投資信託を買ったり、個別株を買ったりするときには、このグラフのように、右肩上がりに金融所得が増えるように投資することを目指しています。

投資先の価格が上がるか下がるかでは判断せず、投資先を通して得られる「収入がスムーズに右肩上がりに増えていれば、それで成功だ」と考えるようにしたのです。

実はこのグラフは「価値の推移」を表していて、配当や成長投資がスムーズに右肩上がりに増えていく投資を目指していれば、自ずと「価値>価格」の取引ができます。

例えば、家賃収入が月1万円しかもらえない不動産を売って、月2万円受け取れる不動産に乗り換える、みたいな感じで、目先の利益を確保しつつ、当然ながら遠い将来にも金融所得が右肩上がりに増えていくように投資していれば、それが成功だよね、と思うのです。

ご相談への回答「本当に価値が下がっているのか?」

さて、この視点を理解してもらった上で、ご質問に戻ります。

「積み立ててきた投資信託の価値が下がっています。持っている投信の無配が続き、がっかり。それでも、少し預金ができればスポット購入し、積み立てます。これが正しいことなのかも分からず、続けています。これで大丈夫でしょうか」

単なる言葉遣いの問題かもしれませんが、ご質問者さまが「価値が下がっている」と表現している点が、とても気になりました。

筆者は「価値=受け取るもの、価格=支払うもの」と考えているので、「価格が下がっている」と言われても別に気にならないのですが、「価値が下がっている(=金融所得が減っている)」ときには、深刻に受け止めます。

特に、「投信が無配のせいで、さっきの右肩上がりのグラフが腰折れしてしまうのではないか?」は気掛かりです。

もともと無配方針のファンドに投資をしていて、それが続くというのなら特に気にしないかもしれません。しかし、今まで順調に分配金を出してくれていたのに、突然、無配になったというのならば大問題です。

無配になった原因は何なのか? また分配してくれるように戻るのか? 何か危機的な状況に陥っているのか? 他の投資信託に乗り換えたほうが、実は受け取れる金融所得が増えるのではないか?

こうしたことをもろもろ考えた上で、「これから受け取れる金融所得をもっと増やせる、もっとよい方法はないか?」を考え、ベストだと思ったポートフォリオを考えます。

スポット購入や積立についても、「右肩上がりの金融所得」がイメージできる限り問題ないと思いますが、逆に、他にもっとよい投資先があるなら別の投資先に乗り換えることも考えます。

右肩上がりに金融所得が増えていくイメージを持てないのであれば、つまり尻すぼみに金融所得が減っていくということで、そんなところに投資するのはリスキーだと思うので、多分、売って、別の投資先を探すと思います。

まとめ

まとめると、
  • 価値は受け取るもの、価格は支払うもの
  • 価値=金融所得=配当+成長投資(株式投資の場合)
  • 金融所得がスムーズに右肩上がりになる限り問題ないと思うが、そうならないと思うなら、何かおかしいから見直したほうがよいと思う
という3点にまとめられます。

筆者も株式投資をしていますが、楽しみにしていた配当がなくなったりすると、残念な気持ちになります。

一時的なものならよいのですが、業績が悪くなって永遠に払われなくなってしまう場合もあります。順調なときは放ったらかしでよいでしょうが、悪いニュースが出たときほど、しっかり見直すのがよいと思います。
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